【新興国通貨は再び下落】
今週もここまではドルの上昇が目立っています。ドルトルコリラは2.7%、ドルランドは4.8%、ドルメキシコペソは3.1%上昇し、ランドの下落が目立っています。
コロナウィルスの感染拡大が新興国経済に悪い影響を与えています。
またFRBは3月23日の無制限QEの宣言に引き続き、新たなドルの供給の仕組みを発表しました。
ニューヨーク連銀が保有する各国中央銀行保有の米国債を担保に0.25%の金利で翌日物のドル資金を供給する仕組みを発表しました。この資金は翌日以降も継続できるもので、FRBはドルの供給体制を強化しています。
これらのFRBの政策によってパニック的なドル資金への殺到は収まっていますが、ドルインデックスは100付近に上昇してきており、引き続き堅調に推移しています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【南アフリカの格下げ】
27日に格付け会社のムーディーズは南アフリカのソブリン信用格付けをBaa3からBa1に引き下げました。これによって南アフリカの国債は投資適格から投資不適格(ジャンク債)となってしまいました。
格下げの理由は財政状況の脆弱性が続いていること、成長が構造的な問題によって弱いことを上げています。
さらにムーディーズは長期的な見通しを示すアウトルックもネガティブとしているために、今後はさらに格下げの可能性が残ります。
他の格付け会社であるS&Pとフィッチは2017年にジャンク債への引き下げを行っており、唯一投資適格としていたムーディーズがジャンク級に引き下げたことで、南アフリカ国債はジャンク級となってしまいました。
これによって世界の国債投資のベンチマークとなっているWGBI(世界国債インデックス)から除外されるため、南アフリカ国債の売りと南アフリカからの資金流出が起こる可能性が生じ、資金流出の規模は110~120億ドルに及ぶという試算もあります。
南アフリカ準備銀行は国債買い入れや、商業銀行に対するレポ取引の条件緩和を発表しており、これらが南アフリカ国債のサポート材料になるのではという観測もあります。
【トルコリラ円の予想】
3月25日の高値17.449が高値となり下落トレンドは継続しています。3月9日の安値16.261円を下抜けして15.894円まで下落しました。
2018年8月の安値15.525が視野に入ってきています。
17.449~15.894円のフィボナッチ・リトレースメント23.6%が16.29になっており、ここが上抜けできると38.2%戻しの16.51付近への上昇が予想されます。
ここを抜けると50%戻しの16.69付近が視野に入ります。
一方で15.894を下抜けすると15.525を試しに行くと思われます。
3日の消費者物価指数、10日の雇用統計が注目されます。
TRY/JPY 1時間足BIDチャート
【南アフリカランドの予想】
26日の高値6.47から下落トレンドが継続しています。2016年の安値6.264を下抜けしたことで今週は5.733円と歴史的な安値まで下落しています。
下落トレンドは継続しており、6.47~5.733のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の5.91円、38.2%戻しの6.02付近が戻りの目途になります。
ここを上抜けできない場合は、6.47起点のフィボナッチ・エクステンション3.618倍の5.53付近が下値のめどになります。
3日の総合PMI、9日の製造業生産が注目されます。
ZAR/JPY 1時間足BIDチャート
【メキシコペソ円の予想】
ペソ円は27日の高値4.79円まで上昇後に下落し今週は4.348円まで下落しています。戻り高値の4.79付近がレジスタンスになり、日足の一目均衡表の転換線も4.56付近に位置し上値を抑えています。
安値の4.348付近がサポートできれば4.348~45.79のレンジ、下抜けした場合は、節目の4.2、そこを抜けると4円、6円起点のフィボナッチ・エクステンション2.618倍の3.95付近が目途になります。
MXN/JPY 1時間足BIDチャート