【米国の金融政策が注目された週】
今週は米国債の入札とパウエルFRB議長の講演があり、米国の長期金利の動きが注目された週でした。経済対策に巨額の資金を投入する米国政府は米国債の発行額を増加させて資金調達を行っています。今週は3、10、30年債入札が行われ入札の結果が注目されました。入札は比較的順調で米長期金利は低下しました。
米国の長期金利は低下しましたがドルインデックスは堅調に推移し、週初の99.70付近から100.50付近に上昇しました。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
ドルトルコリラは7日に一時1ドル=7.2680リラと安値を更新し、リラ円も14.611円と安値を更新しました。外貨準備の減少がリラ安の一因になっていますが、13日に発表された3月の経常収支は49.2億ドルに拡大しました。
先週シティ、UBS、パリバの3行がリラ建て債務を期限まで返済しなかったとしてリラの取引を禁止されました。この措置によってリラの売りが減少のしたのか急速にリラ高に向かい1ドル=7.1リラ付近、リラ円も15円を回復しました。
短期的には取引停止がリラの下落を一服しましたが、さすがにトルコ当局もこの措置は市場の信用を失いますから、11日に取引禁止措置は解除されました。
とはいえ外貨準備不足はトルコのアキレス腱になっており、トルコは米国とのスワップ協定を締結してドル不足を解消したいという意向です。一方でダドリー・ニューヨーク連銀総裁はトルコの抱える経済的な課題や米国との外交関係の悪化を理由にスワップ協定の可能性を低いと語っています。トランプ大統領から強い要請があれば別だが可能性は低いとも語っています。
ドルトルコリラは7.2680リラからリラ高が進み6.92リラ付近で推移しています。6.8リラ付近へ下落が予想されます。
TRY/JPY 日足BIDチャート
リラ円も15.25付近がサポートされれば一目均衡表の基準線の位置する15.52円付近への上昇を予想します。
【南アランドの材料と予測】
今週のランドは軟調に推移しています。週初に1ドル=18.22ランド付近で下が、一時18.7560ランドまでランド安が進みました。
13日にラマポーザ大統領は感染拡大のために全土で実施している封鎖措置の緩和をレベル4からレベル3に進めると発言しました。しかし一部の都市では6月までレベル4のままになるということで、ここら辺が市場を失望させランド売りになっている可能性があります。
ZAR/JPY1時間足BIDチャート
ランド円は週初5.798円と堅調にスタートし5.899円まで上昇しました。しかし封鎖措置緩和をめぐってランド売りの流れとなりサポートされていた5.8円付近を下抜けすると下落が加速しました。一時5.694円まで下落後5.81円付近に反発しています。4月の高値に続いて5.9円付近が再びレジスタンスとして機能しています。中期的に5.9円が上抜けできないようであれば5.6~5.9円のレンジが継続すると思われます。
【メキシコペソの材料と予測】
14日にメキシコ中央銀行は政策金利を6%から予想通り5.5%に引き下げ2016年12月以来の水準となりました。中銀の声明では第2四半期に感染の影響が一段と強まり経済が最大10%縮小するという予想もあります。
4月のインフレ率は2.15%と中銀の目標の3%を下回っておりさらなる利下げ余地があります。一部では向こう6か月間で政策金利を4.5%引き下げるという予想もありますが、ここからは利下げ幅が縮小する可能性もあります。
ドルメキシコペソは週初の1ドル=23.5509ペソからペソ安が進み一時24.4133ペソまでドル高ペソ安となりました。しかし5月7日の高値24.54付近を上抜けできず、利下げを受けてドルメキシコペソは一時23.75ペソまで下落し23.93付近で推移しています。24.40付近がレジスタンスとなり23.60~24.40のレンジの継続を予想します。
MXN/JPY1時間足BIDチャート
ペソ円は11日の高値4.546円から下落しましたが4.383円で底打ちし、利下げ後はペソ高となり4.517円まで上昇しました。
レジスタンスになっていた4.45円付近が短期のサポートとなり、4.45~4.55円のレンジが予想されます。