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デイリーレポート
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日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト(CMTA1)会員番号200762
米国CTA(商品投資顧問)出身の異色ストラテジストフューチャーズアナリスト時代に培った独自分析手法を武器に外国為替ストラテジストに転身、現在に至る。"国内外の新聞・テレビ・ラジオ"出演多数。

[1993年] 全米証券取引業協会(NASD)商品投資顧問(CTA)
       資格NFA ID:0260098
[1994年] 日本ファイナンシャルプランナーAFP資格
       ライセンスNo.30078027
[1998年] 金融先物取引業協会 内部管理責任者資格
[2001年] 証券内部管理責任者資格

2010年9月 2日

●問題の本質はバランスシート調整に伴う景気低迷とデフレ圧力

 昨日のマーケットは、世界経済の先行きを巡る懸念の後退によりリスク選好度が高まり、主要株価指数が全面高の展開となった。
 為替マーケットは、豪ドルなどリスク資産通貨が急速に買われ、スイスフランや日本円、米ドルが売り戻される展開となった。
 この日は9月初日ということで、月初恒例の各国経済の重要先行指標である購買担当者(PMI)の8月・製造業景気指数が発表され、先陣を切った中国PMI指数が51.7と4ヶ月ぶりに改善し、先月まで落ち込んでいた「新規受注」に持ち直しの兆しが出るなど安心感が広がった。
 また、豪州の4-6月期GDPが前期比+1.2%と3年ぶりの高水準を記録したことも、市場のリスク選好を促す手掛かりとなった。
 もっとも、週末の米雇用統計に対する警戒感は根強く、先行指標とされる8月のADP全米雇用報告で民間部門雇用者数が1万人減と、予想外のマイナスに落ち込むと、ドル/円は一時83.66円まで急落し、08/24の安値83.58円に迫った。
 流石に同水準は、本邦通貨当局の介入警戒域であり、このあと発表されるISM製造業景気指数に備えて持ち高調整が促される格好となった。
 この日のメインディッシュである8月のISM製造業景気指数は56.3と、低下予想に反して前月の55.5から改善するポジティブサプライズとなり、「株高・リスク資産通貨高」を加速させ、ドル/円も一時84.67円まで急伸した。
 ISM製造業景気指数に先行して発表されたフィラデルフィア連銀景況指数やカンザスシティ連銀製造業景気指数、シカゴPMI景気指数が軒並み悪化していただけに、やや違和感のある数字となっている。 今後の製造業の活動の先行指標となる「新規受注」は4-5月の65.7がピークとなり、8月は53.1と3ヶ月連続で低下している
 さらに、今朝発表された8月の米国内自動車販売台数は、前年同月比21.2%減の98万8,559台(年率1,147万台)となり、8月の販売台数としては27年ぶりの低水準で、景気の先行き不透明感を印象付ける結果となっている。 

※チャートやグラフはクリックすると拡大します。
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 米国の自動車販売といえば製造業の中心であり、現状は2007年当時の販売台数を3割弱も下回っている(⇒需給ギャップが存在)のが実情であり、昨日のISM製造業景気指数の改善にこだわると大勢を見誤るかもしれない。 今週末には、米経済の約9割を占める非製造業(サービス業)部門の景気指数が発表されるため、同指数の動向が今後のカギを握りそうだ。
 いずれにしても、FRB幹部らが「不快なほど高い失業率」がしばらく続くとの見方を示しているのは、米経済がバランスシート調整という構造不況の真っ只中にあるためであり、一朝一夕で解消されるものではない。 先週末のジャクソン・ホールでの国際シンポジウムでは、トリシェECB総裁がこの問題について言及し、「今後10年の欧米経済の課題は、日本の失われた10年を繰り返さないことだ」と語っている。
 トリシェ総裁は、過去数十年の過剰な信用創造で積み上がった債務の段階的な削減が「向こう10年間のカギ」と強調し、「銀行、家計、企業、政府、中央銀行のバランスシートを順序立てて整理する」ことが重要と述べている。 
 未曾有の金融危機の第1幕は、信用収縮に伴う流動性危機により、世界経済の生産活動が停止状態に追い込まれ、銀行は破たんの危機に直面した。 この段階でG20各国は需要創出に向け総額5兆㌦の財政出動を決め、銀行には公的資金が注入された。 そして、金融危機の第2幕では、膨大な政府債務が標的となり、欧州ソブリン債務危機として火を噴き、同時進行的に第3幕として米欧ではバランスシート調整に伴うデフレ圧力と景気低迷に直面しているのである。
 こうした観点からは、「偽りの夜明け」を本当の回復と見誤らないよう注意する必要があり、為替マーケットでは経常黒字国の日本円に通貨高圧力が掛かり続ける展開が想定されそうだ。

(9月2日 11:40記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

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