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デイリーレポート

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ユーロの乱高下は不安心理の裏返し

2012年02月03日

 昨日の為替マーケットは、オセアニア通貨が豪12月貿易黒字拡大を手掛かりに対ドルで年初来高値を更新する一方、ユーロは要人発言に一喜一憂する神経質な展開となった。 
 この日のユーロ/ドルは、温家宝首相が「同国は欧州金融安定ファシリティー(EFSF)と7月に発足する予定の欧州安定メカニズム(ESM)への関与拡大を検討している」と述べたと伝わり、一時1.3193㌦まで急伸する場面もみられたが、東京午前に付けた高値1.3197㌦を上抜くには至らなかった。 温首相は「債務問題の解決は欧州自身の努力が基礎でありカギである」と従来の見解を繰り返し、「いかなる形でユーロ支援に参加するかは依然として検討中」と述べるにとどめ、具体的な金額などには一切触れていない。 
 つまり、温首相の発言は、同国を訪問中のメルケル独首相に対するリップサービス以上のものではないという解釈になる。
 困った時の中国詣では、サルコジ仏大統領やEFSFのレグリングCEOなど相次いでいるが、ギリシャの債務問題が表面化して以降、いち早く支援に乗り出した中国は、すでに購入したギリシャ国債などで巨額の含み損が発生しており、追加支援に慎重にならざるを得ない事情がある。
 こうした中国の慎重な対応を正当化する発言が直後に報じられ、ユーロ/ドルは一転して1.3086㌦へ急反落している。 発言の主はユーログループ議長を務めるユンケル議長(ルクセンブルク首相)であり、ギリシャの債務交換協議(PSI)について『極めて困難』だと指摘したほか、先月末のEU首脳会議で示された政府債務危機への対応についても『概して不十分』だと述べている。
 この日は欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)が、ギリシャのPSI交渉は週末までに合意に達する公算が大きいとの見方を示したが、当局者から合意間近との発言は聞き飽きるほど相次ぎ“オオカミ少年化”しており、市場はむしろユンケル議長の『超困難“ultra difficult”』との本音トークに反応している。

 ギリシャ向け第2次支援策に関する最新情報によれば、民間債権者による自発的な損失負担規模を含む詳細は週内に合意に達し、来週6日(月)のユーロ圏財務相会議で承認される可能性があるというものである。 PSI交渉は、事実上のデフォルト状態にあるゾンビ国家の債務負担を約1,000億ユーロ削減することを目指し、すでに7ヶ月目に入っているが、3月20日の大量償還から逆算した事務手続き上の合意期限は来週8日前後となる。
 当然の帰結として、土壇場では無秩序なデフォルトの回避に向けた救済シナリオ(ECBなどによる公的関与)が発動されると推測されるが、ここに至る前にマーケットでは相応のネガティブ・インパクトを受ける事態が想定されそう。
 足下では、米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数が17.98と、昨年夏の欧州債務危機後の最低水準を更新するなど、楽観に大きく傾斜している。
 こうした状況下、リスクオン・ムードのけん引役となってきたオセアニア通貨が年初来高値を更新する一方で、これまで豪ドルと同時相関性が極めて高かったコモディティーが金を除いて軒並み逆行安となるなど、潮目の変化を示唆する兆候が現れている。 市場では、昨年12月末のECBによる期間3年の「LTRO」(=Backdoor Easing:裏口金融緩和)による成功体験から、早くも今月末に実施される「LTRO・第2弾」に対する期待感から株式・債券が買われているが、ユーロ/ドルにみられる乱高下は不安心理の裏返しでもあり、しばらくはジェットコースター相場が続くものとみておきたい。 本日のNY序盤には、1月の米雇用統計が発表される予定となっており、NFP(非農業部門雇用者数)が事前予想の前月比15万人増を上回れば、リスクオンの先行により株高・ドル安/その他通貨高といった反応が想定されるが、ギリシャ問題を抱える状況下では直近高値1.3235㌦を上抜くのは至難といえよう。 週足均衡表では、抵抗帯へ再び突入した『遅行線』の挙動次第の展開が想定され、雲の下限(=1.3080処)を巡る攻防が最大の焦点となる。 『遅行線』が雲の下限でサポートされる場合は、抵抗帯をコアレンジとする日柄調整的な中段揉み合いがしばらく続くものとみられるが、雲の下限が破られる場合は中期的な売りシグナルを再び点灯するため、C波3-5の下落波動に備えることとしたい。 米雇用統計を受けた今晩のNYクローズの着地点が来週以降のユーロ/ドルの方向性を決定することになる。
(2月3日 11:45記)

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プロフィール

  • 森 好治郎(もりこうじろう)
    日本テクニカルアナリスト協会
    認定テクニカルアナリスト(CMTA1)会員番号200762
    米国CTA(商品投資顧問)出身の異色ストラテジストフューチャーズアナリスト時代に培った独自分析手法を武器に外国為替ストラテジストに転身、現在に至る。"国内外の新聞・テレビ・ラジオ"出演多数。

    1993年
      全米証券取引業協会(NASD)商品投資顧問(CTA)
    資格NFA ID:0260098
    1994年
      日本ファイナンシャルプランナーAFP資格
    ライセンスNo.30078027
    1998年
      金融先物取引業協会内部管理責任者資格
    2001年
      証券内部管理責任者資格

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