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デイリーレポート
デイリーレポート

2009年12月25日

●米景気循環をベースにした金利とドルの関係

2009年はあと1週間を残すだけとなった。
年初は、各国首脳から「世界経済は崖から落ちた」といった厳しい見方が示されるなか、経済の重要先行指標となる製造業景気指数や企業景況感指数が軒並み急激に落ち込み、警戒感が広がった。 市場ではリスク忌避的な投資行動により、世界的な株安と原油など国際商品が下落、為替マーケットでは米ドルと日本円が広範に買われる展開となった。
しかし、各国政府および中央銀行による大規模かつ大胆な財政支出と金融緩和策によって、企業の生産活動はV字型の回復を見せ、主要株価も3月1週をボトムにして上昇に転じる。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「景気は最悪の状態だ」と公言した数日後の3月3日、オバマ大統領は「株価は長期投資家にとって魅力的な水準に近付きつつある」と述べている。 この時のNYダウの終値は6,726.20㌦であり、それが12月24日は10,520.10㌦まで上昇し、年初来高値を更新している。

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 要人発言は、時として"潮目の変化"を示唆するシグナルとなっているが、株式の専門家でもないオバマ大統領の発言通りの相場展開となっているのは、米国経済のポリシー・ミックスが積極財政・金融緩和・通貨安の政策総動員による"リフレ政策"が採られていたためである。 
リフレーションの過程では短期金利の低下に伴ってマネーは短期金融市場からよりリスクの高い(内外の)株式などにシフトする。 
これが「ドルキャリー・トレード」の背景となるが、リフレ政策には長期金利の上昇という副作用があり、FEDは11月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)で初めて低金利を維持することで生じるマイナスの副作用について議論していたことが議事録(11月24日)で明らかになっている。 バーナンキFRB議長は11月16日の講演で、「雇用の最大化と物価安定という2つの責務に対するリスクを防ぐためFRBはドルの価値の変化が及ぼす影響を注視している」と述べ、異例の「ドル安監視」発言を行っている。
ここでも要人発言が潮目の変化を示唆する重要なシグナルとなっていたわけであり、主要6通貨に対するICE(インターコンチネンタル取引所)のドル指数先物市場では、通貨・株式・商品などの先物・オプションを中心に運用するヘッジファンドのドル売りポジションが「ドル安監視」発言を境にして一気に買い戻され、足元では4週連続の買い越しとなっている。
そして、11月の米雇用統計の発表以降は景気回復基調を示唆する指標が相次ぎ、米金利先高観とともにドルが買われる展開となっている。
昨日は米雇用市場の基調をより正確に示すとされる新規失業保険申請者件数の4週間移動平均が465,250件と昨年9月20日以来の低水準へ改善したことで、米長期金利の指標となる10年債利回りが3.8048%と、今年8月7日以来の高水準へ上昇している。
しかし、この日の米株式市場は長期金利の上昇という重しを跳ね返して、主要3株価指数が揃って年初来高値を更新している。
つまり、米株式市場が過剰流動性相場から業績相場へ移行しつつある証左とすることができ、これが事実とするならば足元の長短金利の上昇は良い金利上昇となってくる。
とはいえ、米家計部門が膨大な債務の返済というバランスシート調整の真只中にあるうえ、米商業用不動産価格は下落に歯止めが掛かっておらず、拙速な長期金利の上昇は回復基調を腰折れさせる要因となりかねない。

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来週は、米財務省が総額1,180億㌦規模の米国債入札(2年・5年・7年債)を実施するが、金利先高観が高まっている状況下ではこれまでのような順調な応札が見込みづらくなっている。
米景気循環をベースにした金利とドルの関係では、「第Ⅳ象限」に位置するものとみられる。
 この局面では、米マクロ経済指標の好転とともに景気回復期待が醸成され、長期金利が上昇に転じ始める。 米金利先高観からドル高になるとの見方が浮上し始めるが、歴史的には危機的なドル暴落を経験してきた局面でもある。
債券投資の観点からは、債券の利回りは循環的なボトムにあるため投資家は買い控える。
なおかつ、これから先の金利上昇過程で債券価格の下落が想定されるため、既存の債券投資者は一斉に売り逃げようとする。
つまり、債券投資が最も忌避される局面であり、米金融当局は急激な資本流出やドル暴落を促すリスクを回避するため、「強いドル」への言及と同時に「低金利政策を維持する」と言い続けることになろう。 今年のドル相場は、水星が逆行した3回のうち全てでドル安方向へ振れており、12月26日から始まる水星逆行は要注意となりそうだ。

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(12月25日 11:15記)

お知らせ:
2009年のデイリー・コメントは本日が最終号となります。 本年もありがとうございました。
次回の発行は1月6日(水)を予定しています。
当レポートでは、値動きの背後にあるストーリーを考えるという観点から市場のテーマや注目点を採り上げて参りました。 来年も多角的な観点からマーケットを観察して参りますのでよろしくお願い致します。
フォレックス・ウォッチ 森 好治郎

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月24日

●短期買いシグナルを点灯中のユーロの反発力に注目

昨日のマーケットは、世界の主要株価指数が薄商いのなか概ね堅調を維持し、米S&P500、米ナスダック、メキシコ・ボルサ、独DAX、仏CACが終値ベースで年初来高値を更新している。
為替マーケットは、米ドルがカナダドルやスイスフラン、ユーロに対して売り戻されたため、ドルの全面高には歯止めが掛かったが、堅調地合いは薄れていないようだ。 
この日は11月の米新築一戸建て住宅販売が前月比▲11.3%の35.5万戸と、1月以来最大の減少率となり、ドルの失望売りが誘発された。
22日発表の11月の中古住宅販売が前月比+7.4%の654万戸と、2007年2月以来、約3年ぶりの高水準となっていただけに、明暗を分ける格好となった。 住宅購入者が価格の安い差し押さえ物件に流れている状況を示す結果となったが、米住宅市場全体に占める新築住宅の割合はわずか5%程度であり、マクロで見た場合は米住宅市場の改善傾向は続いているといえよう。
 米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖指数」)は19.71となり、心理的な節目となる20を2日連続で下回り、投資家が楽観に傾斜していることを示唆している。

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一方、ユーロはムーディーズによるギリシャの格下げ(「A1」⇒「A2」)が22日に行われ、当面のリスクイベントは出尽くす格好となっている。
ユーロ/ドルは22日に1.4218㌦まで続落幅を拡大し、波動論から導かれるE-計算値の1.4201㌦処に応答する安値を示現している。 
また、日柄面では今週は発足来高値1.6040㌦から「一巡」(76週目)の節目に当たるため、22日の安値1.4218㌦が目先的なボトムとなって自律反発に向かう可能性も念頭に置いておきたい。
1時間足・均衡表チャートでは、昨日24時の足で『遅行線』が転換線を上抜けて"買いシグナル"を点灯しており、Minor Fibonacci retrace pointの1.4437㌦処や1.4480㌦(10/02)に向けた反発を想定しておきたい。
但し、反発力が弱く1.4400㌦に届かない場合は、値幅調整ではなく、日柄調整となる可能性が指摘されるため、この場合は1.4200㌦を下限域とするRange-Boundを想定しておきたい。 このほか、ポンド/ドルは1時間足・均衡表チャートで『遅行線』が転換線を上抜きつつあり、これが実現する場合は超短期のリバウンド狙いとして注目したい。
一方、昨日のドル/円は22日の高値91.88円に顔合わせする形で反落している。 いわゆる2日連続で同値の高値となる「毛抜き天井」(高値行き詰まり)のパターンを示唆しており、91.88円を上抜く前に91.31円が破られる場合は急落の可能性に留意したい。 この場合、1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が基準線を下抜いた時点で下げを狙ってみるのも面白いかもしれない。
もっとも、本日はクリスマス・イブです。 米金融資本市場は短縮取引になることもあり、薄商いが故の乱高下のリスクが高まるため、基本的には無理をしないようにしたい。 

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(12月24日 11:00記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月22日

●白川日銀、試されるデフレファイターとしての本気度

※東京市場休場のため、23日の配信はお休みとさせて頂きます

週明けのマーケットは、クリスマス・ウィークで取引が薄くなるなか株式市場はほぼ全面高となり、為替はドルが続伸するなか円安も顕著となった。
今年3月以降は、「ドル安・株高」といったセンチメントが醸成され、リスク資産選好の動きを後押ししたが、足下では「ドル高・株高」に伴い、ドル建てで取引される原油・金など国際商品の過熱調整(ガス抜き)が促される格好となっている。

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最近のドル上昇については、「今年は年末のポジション調整の勢いが例年より強い」などと、あくまでドル買い戻し(=ショート・カバー)といった解釈が多く、年明け以降のドル安再開を目論む市場関係者が少なくない。
しかし、通貨・株式・商品などの先物・オプションを中心に運用するヘッジファンド(⇒マネージド・フューチャーズと呼ばれるCTA)のポジション動向を見ると、ドルについてはショート・カバーを上回る勢いでロング(買い持ち高)が積み上げられていることがわかる。 つまり、積極的にドル買いポジションを構築しているわけであり、単なるポジション調整とは次元が大きく異なることを示している。

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きっかけとなっているのが11/16のバーナンキFRB議長による「ドル安監視」という発言であり、この直後からCTAのドル安戦略が転換していることがわかる。 (参照:11/17付けレポート「軽視できないFRB議長による「ドル安監視」発言)
例年は、クリスマス休暇明けからヘッジファンドなどの新年度のアセットアロケーションの変更が出始め、年末の動きが1月末までのトレンドを示唆する傾向にあるといわれている。
しかし、今年に関しては日米欧の金融政策運営に関する変更が、大きく影響しているといえよう。
その一つがECBによる無制限・1年物資金供給オペの終了(⇒12月が最終)を11月の理事会で決定したことが挙げられる。 これにより、ECBから大量の資金を借り入れ、相対的に金利の高いギリシャ国債への運用を行うキャリー・トレードができなくなるとの連想を呼び起こし、ギリシャ国債が売り込まれるなか、同国の債務問題が炙り出される格好となったわけだ。
ECBが非標準的措置の出口戦略に着手したにもかかわらず、ユーロが売られ始めたのはこのためであるが、ギリシャ国債の歪みが拡大する事態を放置することなく、1年物資金供給オペの終了を決定したことは、正常化に向けた動きと評価することができよう。
そして、今月に入ってからの日銀による政策決定及びアナウンスメントを挙げることができよう。
まず、12/01の臨時会合で総額10兆円規模の資金供給オペを導入し、白川総裁自ら「広い意味での量的緩和」と述べたことである。
発表直後は多くのアナリストらが、「資金需要は乏しく、無意味な政策だ」などと一蹴していたが、実情は「ウルトラ・モンスター・オペ」と呼ばれており、過去2回の入札はいずれも予定額8千億円の8倍超の応札が集まっている
そして右グラフが示すように、日銀当座預金残高は12月から右肩上がりで増加しており、市場では資金余剰感が一段と高まっているといえよう。
(⇒民間の資金需要が乏しくても、金融機関が国債を担保に資金を借り入れ、日本国債で運用すれば利鞘が稼げるほか、長期金利の低位安定を通じて経済活動を活性化する要因となってくる)

----- 12/02付けレポートからの抜粋 ---------------------------------------
市場では、日銀の臨時会合召集との発表で国債買入れなど量的緩和観測が広がっていため、この日決定された10兆円規模の「新型オペ」に対する反応は失望に近かった。
しかし、来年3月末で終了が決まっている「モンスターオペ」(企業金融支援特別オペ)に代わる資金供給策として金融市場を安定させる効果は有しているといえよう。
昨日の臨時会合後の会見で白川日銀総裁は、この新型オペについて「広い意味での量的金融緩和策」と解説している。 つまり、この新型オペは国債も担保資産としているうえ、この手段による供給に終了期限が設けられていないのである。 「新型オペ」により年0.1%の固定金利で資金を借り入れ、中長期国債で運用すれば利ザヤを稼ぐことができ、日銀の狙いの通りに期間がやや長めの金利にも低下圧力が掛かることになる。中長期の金利が低下すれば、株式などリスク資産の上昇を促すことにもなり、デフレの進行や急激な円高に歯止めを掛ける効果も期待されよう。
こうしてみると、日銀の「出口政策」は果たしなく遠く、追加緩和策によって米政策当局によるポスト・リーマン・ショックとしての「株高演出」に加担する役割を果たすことになりそうだ。
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さらに12/18の金融政策決定会合では、「中期的な物価安定の目安として、消費者物価の前年比上昇率がマイナスとなることを許容していない」との見解を公表し、「デフレファイター」ぶりをアピールしている。 
今回の異例の変更で、日銀はデフレから脱却するまで金融緩和を続ける姿勢を鮮明にしたわけであり、白川総裁は「広い意味で時間軸効果と呼ぶのであれば、そうした効果はあると思う」と述べている。
そして、白川総裁は昨夜のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)に出演し、デフレスパイラルを防ぐために必要なら「迅速果敢に行動する態勢を常に整えている」と明言しており、市場には追加緩和期待が広がっている。 デフレファイターとしての決意表明であり、次なる一手としては今月1日に導入した「ウルトラ・モンスター・オペ」の期間を3ヶ月から延長することや、資金供給額を10兆円から増額することが想定されよう。
白川総裁は先週末の会見のなかで「表現変更だけでデフレ脱却ができると思っているわけではない」とも述べており、本日16時から行われる講演においてもデフレファイターぶりを発揮してアナウンスメント効果(円安方向への"のりしろ"作り)を高めることになろう。

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(12月22日 11:25記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月18日

●二つのクリスマスプレゼント

昨日の為替マーケットは、クリスマス休暇が進行する薄商いのなかユーロと豪ドルが凄まじい下げを演じてくれた。 チャートポイントを抜ければ"追撃売り"で参戦するモメンタム系の短期プレイヤーにとって、年内最後の一儲け的なビッグチャンスであったわけだ。 一足早い"クリスマスプレゼント"であり、筆者も4つのFX口座のうち、2つを活用して久々のデイトレを楽しませて頂いた。
ユーロ/ドルは断続的な売りがクロスベースでも持ち込まれ、一時1.4304㌦まで続落幅を拡大している。 同水準はFibonacci pointの1.4305㌦処(=76.4% of 1.4045⇒1.5145)に応答する安値となるが、テクニカル的には押し目の限界値でもあるため、ここが破られる場合は【1.3748⇒1.5145】の上昇波動に対する調整として1.4282~1.4078㌦処に向けた下落余地を想定する必要が出てくる点には留意したい。
こうしたなか、ドル/円に連れ高していたユーロ/円は127.39円処まで急落しており、16日付けのレポートで指摘した違和感は解消されている。 
もっとも、1時間足・均衡表チャートでは、『遅行線』が昨日午前10時の足で基準線を下抜けて"売りシグナル"を点灯しており、このあと127.00円(07/08)と127.40円(11/27)を結ぶネックラインが破られると、下落余地を拡大することになる。
そして、ドル/円は欧米株が全面安となるなかドル高にけん引され、90.38円まで上昇したが、12/04の高値90.78円の手前で抑えられている。
また、今年のドル/円と順相関の関係にある米2年債利回りが急低下するなか、逆行高となっており、今朝のマーケットでは修正を余儀なくされる格好で急落している。
もっとも、1時間足・均衡表チャートでは、『遅行線』が午前8時の足で基準線を下抜けて"売りシグナル"を点灯しており、波動論からはN-計算値の88.89円処(=90.38-【89.81⇒88.32】)や、V-計算値の88.74円処(=89.56-【89.56⇒90.38】)が短期的なターゲットとなってくる。
今朝10時過ぎに88.89円処まで急落しており、ひとまず短期のターゲットを達成しているが、1時間足(実線)が終値ベースで基準線(下向き)を上抜けない限り、売りシグナルは継続することになる。

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さて、今年3月から下落基調にあった米ドルが上昇に転じる一方、世界の主要株価が軒並み調整色を強め、コモディティー市場でも金が大幅な下げに見舞われている。
これまでの広範な米ドル安とリスク資産の上昇について、「ドルキャリー・トレード」として解説がなされており、実際、米財務省が16日に公表した10月のTIC(米証券投資状況Treasury International Capital System)によれば、米国投資家は今年3月から10月まで8ヶ月間連続して海外証券投資を買い越しており、その額は合計で1,542.76億㌦に達している。
こうした対外証券投資フローがドル安の一因であったと解釈することができ、先月末のドバイショックを契機にしてリパトリ(母国回帰)が進行している可能性が指摘されよう。
米国投資家にとっては、世界的な株高による値上がり益と広範なドル安による為替差益という二つのキャピタルゲインを得ることになり、果敢なリフレ策を講じた米金融当局からの"クリスマスプレゼント"となっている。

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(12月18日 11:10記)

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2009年12月17日

●FEDの低金利長期化の時間軸政策はトリプル高を促す

今週最大の注目イベントであったFOMC(連邦公開市場委員会)は、政策金利の誘導目標を年0.0-0.25%に据え置き、焦点の声明文は「FFレートを長期間異例に低水準とすることが正当化される可能性が高い」と前回声明を踏襲している。
FOMCメンバーの米景気と物価の情勢判断を映す"スナップショット・パラグラフ"(声明文の第一段落)では、①労働市場の悪化は鈍化している、②住宅セクターには過去数カ月の改善を示す一定の兆候が見られる、③家計支出は緩やかなペースで拡大している模様、と前向きの兆候を指摘する一方で、弱い労働市場、穏やかな所得の伸び、住宅資産の減少、信用のひっ迫によって依然抑制されていると慎重な見方も維持している。
物価情勢については、かなりの資源の緩みがコスト圧力を引き続き弱める可能性が高く、長期インフレ期待が安定的であることから、インフレが今後も当分の間、抑制されると予想している。
一方、信用緩和策の一環である政府機関が保証するモーゲージ担保証券(総額1兆2500億㌦)と政府機関債(約1750億㌦)の購入については、市場の円滑な移行を促進するため買い入れペースを徐々に落とすとしており、2010年第1・四半期末までの完了を見込んでいると再表記している。
このほか、特別流動性措置の大半についても、2010年2月1日で終了する見込みとし、その他のローンファシリティーについても段階的に縮小していくことを声明文に明記している。
今回のFOMC声明は概ね予想範囲内の内容でありサプライズはなかったものの、来年の利上げ実施に向けた地ならしと受け止められ、米国債市場では長期金利の指標となる10年債利回りが3.5994%と、8月13日以来の高水準へ上昇し、米主要3株価指数は伸び悩む格好となっている。 
市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、来年6月の25bpの利上げの確率が前日の66%から58%へ低下しているが、引き続き8月までの25bpの利上げ(⇒追加利上げの確率は40%から28%へ低下)を織り込んでおり、為替マーケットでは小幅ながらドル買いで反応している。
 やや気になるのが、米長期金利が上昇傾向(=債券価格は下落)にあることであり、米景気回復を反映した"良い金利"の上昇なのか、リフレ策の副作用である"悪い金利"の上昇なのかのかが、足元のドル上昇の行方を左右することになろう。
もっとも、FEDが異例の低金利を長期に亘って維持(=時間軸政策)すると市場に約束しているのは、イールドカーブ(利回り曲線)の「ブル・スティープ化」(=短期金利低下幅>長期金利低下幅)を狙っている可能性も指摘されよう。
つまり、FEDが低金利を長期に亘って維持する「時間軸政策」を止めない限り、米国債市場では残存年数が短くなるにつれて債券価格が上昇(=金利は低下)する「ロールダウン効果」が得られることになる。 これにより、過去最大の財政赤字の安定的なファイナンス(=資金調達)を促すことができ、金融資本市場ではトリプル高(=株高・債券高・ドル高)が想定されることになろう。

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さて、ユーロ/ドルは1.4700㌦の節目を巡る攻防が続いていたが、本日10時半過ぎに均衡が破れ、急落している。 筆者の今週の下値目標であった1.4463㌦処を突破しており、ここからはオーバーシュートの可能性に留意しなければならない。 1時間足・均衡表チャートでは、『遅行線』が転換線の上抜け攻防に失敗して急降下しており、"売りシグナル"を点灯した状態にある。
ここまで急落すると自律反発を狙いたい誘惑に駆られる参加者が多くなるが、現状での買いは餌食にある可能性が高く、まず本日のLDN勢の動きを見る必要があるほか、『遅行線』が実線に接近(摩擦)する局面の挙動を見極める必要がある。 実際に買いシグナルが点灯するには、『遅行線』が転換線を上抜ける必要があり、まずは週足-基準線が居座る1.4447㌦処の下値攻防に注目したい。

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(12月17日 11:15記)

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2009年12月16日

●FEDが異例の低金利を長期に亘って継続する理由

昨日の為替マーケットは、米ドルとユーロが明暗を分ける相場展開となった。
ユーロは、ギリシャ政府による財政赤字削減への取り組みが十分でないとの懸念に加え、オーストリアの国内銀行を巡る懸念から売りが強まり、対ドルで1.4503㌦まで続落幅を拡大している。
昨日は欧州の銀行株が全面安となっているが、IMFのストロスカーン専務理事が「銀行の損失の50%がバランスシートに隠されている可能性があり、この比率は米国よりも欧州の方が高いとみられる」(11/25)と警告していたとおり、不良債権処理の遅れが表面化する格好となっている。 
日本の「失われた10年」では、景気回復期待から不良資産の抜本処理を先送りし、問題の長期化を招いたが、同じ失敗が繰り返されようとしている。 足元では企業景況感や消費者マインド指数が改善しているが、金融機関のバランスシートに不良資産が残っている状況下では、貸し渋りなどにより本格的な景気回復は望めない。
今朝の日経新聞は一面トップで銀行の新資本規制の延期を報じており、バーゼル銀行監督委員会(⇒日米欧などの金融監督当局で構成)は10年以上の移行期間を設けて、2020年代前半以降に完全実施する方向で調整するとしている。
金融機関の自己資本が不足すれば貸し渋りが起こり、金融市場全体の流動性が低下するのは必至であり、今回のバーゼル銀行監督委員会の合意は当然の帰結といえ、事態は依然として予断を許さないということである。
こうしたなか、米国では11月の雇用統計の改善をはじめ、足元で発表された主要指標が軒並み予想を上回っていることで、米長短金利が軒並み上昇しており、ドル買い戻しが促されている。

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昨日は、11月のPPIが前月比で+1.8%と、事前予想の+0.8%を上回る伸びとなり、本日発表される11月のCPIも予想以上に強い数字になるとの思惑から早期利上げ観測が再燃している。
ドル/円は89.95円まで急伸し、ユーロ/円も130.74円まで連れ高している。 (⇒個人的にはユーロ/円の上昇はかなり違和感を持っている)
しかし、FDIC(米連邦預金保険公社)が先月24日に公表した報告によれば、09年9月末に「問題リスト」に入った金融機関は552行と93年12月以来最多となり、 問題行の総資産は3,460億㌦と08年末(1,590億㌦)の2倍以上に膨らんでいることが明らかになっている。
現状では毎週末に金融機関の破たんが報じられ、先週末の3行の破たんにより、今年の破たん件数は133行と昨年の5倍超に拡大しているが、それでもなお破たん予備軍が552行も存在するということである。
 そして、こうした金融セクターの問題や膨大な債務返済に直面する家計部門の問題が、FEDに異例の低金利を長期に亘って維持することを正当化させている要因となっている。
こうした観点からは、本日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、景気認識を上方修正する可能性が指摘されるものの、米経済のかなりのスラック(需給の緩み)によりインフレは引き続き抑制されるとして、「異例の低金利を長期に亘って継続することが正当化される」との文言は踏襲されるとみておきたい。
11月のFRBの経済見通しによれば、2010年の失業率は9.3-9.7%と、引き続き高水準にとどまると予測しているほか、インフレ率は1.0-1.5%と警戒水準とされる2%超を大きく下回ると予測している。
市場の米金融政策見通しを反映するFFレート先物市場では、来年6月のFOMCで25bpの利上げを66%の確率で織り込み、8月のFOMCでは追加利上げを40%の確率で織り込んでいることを示している。
本日のポイントは、FEDが金融政策を巡る市場とのギャップをどのようなメッセージで埋めていくかということになり、この点を声明文から探ることになる。
但し、一部で報道されている「非伝統的支援措置の終了を示唆するシグナルを発する」との見方については、流動性危機というパニックが解消されたことにより日銀もECBも緊急措置の解除に動いており、同時に金融引き締めと混同しないようにとのメッセージを発しているため、惑わされないようにしたい。
より重要なことは、先月のバーナンキFRB議長のドルに関する発言が、これまでの「ドル安黙認」から「ドル安監視」へ変化していることである。
この点は、当レポートで繰り返し採り上げてきているが、その真意は「ここからのドル下落はメリットよりもデメリットの方が大きくなる」ということであり、尚早な利上げに代わるインフレ抑制策や金融機関の資本増強を側面支援するといった観点からも、「強いドル」政策へ傾斜している可能性には留意したい。

尚、本日はECBが今回で最後となる1年物無制限資金供給オペ(今回は変動金利方式)を行う予定となっており、ユーロ圏の信用状況の度合いを占う上で応札状況に注目したい。

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(12月16日 11:35記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月15日

●米ドルの買い戻しは来年1月まで継続

 週明けのマーケットは、リスクイベントの一つであったドバイ・ワールド傘下の不動産会社ナキールによる41億㌦のイスラム債償還(12/14期限)のデフォルト(債務不履行)が回避され、ひとまず市場のリスク回避姿勢は緩和された。
アブダビ政府がドバイ政府系企業の資金繰り支援のための基金に100億㌦を拠出する形で債券償還日を乗り切る格好となったが、ドバイ・ワールドの260億㌦の債務返済延期を巡るリスケ交渉はこれからであり、なお予断を許さない。
 この日の株式市場は小幅ながらほぼ全面高の展開となり、ボベスパ指数と米主要3株価指数は年初来高値を更新するに至っている。
為替マーケットでは、ドルが売り戻される一方、先週大きく売り込まれた欧州主要3通貨が買い戻される格好となったが、反発幅は0.3%未満と小幅にとどまっている。
つまり、今回のドバイ・ワールドの信用不安問題は、リーマン・ショック前のバブル期の宴の後始末が終わっていないことを示唆しており、成長神話を背景に大量資金を貸し込んだ英欧金融機関の不良債権問題に発展するリスクを孕んでいる。 先進国では、金融危機後の景気後退により失業率が高止まりし、各種ローンの延滞率の上昇や商業用不動産価格の下落につながっており、こうした債権を組み込んだCDO(債務担保証券)の下落に歯止めが掛かっていない。
また、商業用不動産価格がピークにあった2007年当事に世界中で不動産を買い漁った多国籍のファンド勢、そこに資金を貸し込んだ金融機関―――、正常債権は時間経過とともに不良債権化しており、日本が陥った「失われた10年」の悪夢が繰り返されようとしている。
米欧金融当局者が、足元の経済指標が改善傾向を示しているにもかかわらず、慎重姿勢を崩していないのはこのためである。
ユーロ圏では物価安定を至上命題とする金融政策の硬直性の歪みが景気後退に伴って、ギリシャ国債の格下げという形で表面化している。

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ECBは昨年7月に(余計な)利上げを実施しているほか、各国が大幅利下げに動くなか、政策金利を1.0%にとどめており、経済基盤の弱い南欧諸国は景気浮揚を財政に頼らざるを得ない状況に陥っている。
こうしたなか、外為市場で投機的な売買動向を見る際の指標となるIMMファンド筋のユーロの持ち高は、10月6日時点の51,045枚が買い越しのピークとなり、12月8日時点では511枚の売り越しに転じているのである。 (ご参考:1枚=125,000ユーロ)
米ドルに替わる外貨準備としてユーロのシェアは着実に拡大してきたが、ユーロ参加国の国債格付けが「BBB+」に引き下げられたことの意味合いは重く、目先的にはECBがギリシャ国債を引き続き適格担保として扱うかどうかの判断が注目されよう。
一方、米ドルはFEDが異例の低金利政策の長期化を声明に織り込んだ今年3月のFOMCを境にして下落基調にあり、ドルの主要6通貨に対するパフォーマンスを示すドル・インデックスは今月初めに昨年8月以来の安値を示現している。
しかし、バーナンキFRB議長が異例の「ドル安監視」発言を行った11月16日を境にして水面下では大きな変化が生じている。 
ICEドル・インデックス先物のファンド筋の持ち高状況を見ると、11月17日時点で大幅なショート・カバー(売り持ち高の買い戻し)が入り、11月24日時点で27週ぶりの買い越しに転じ、最新データとなる12月8日時点では3週連続の買い越しで、買い越し額は12月1日時点の3倍超に急拡大している。
市場では先月までドル悲観論が大勢であったが、米国の過剰消費抑制と家計の貯蓄率の改善、そして経常赤字の縮小傾向は、長期スパンでの不均衡是正とドル高材料であり、NY連銀が公表する「カストディ・アカウント」(海外の中央銀行から預かる米債・政府機関債の残高)では着実に米国債の残高(月平均500億㌦弱)が積み上がっている。
ドルの総合的な実力を示すFRB算出の実効為替相場は、選挙の無い年のシーズナル・サイクルに沿った変動をしており、中間選挙の年となる来年1月まではドル高傾向が継続することになろう。
選挙の年のシーズナル・サイクルのグラフは、来年初めのレポートで公開させていただきます。

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(12月15日 11:30記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月11日

●米家計部門の金融資産は2・四半期連続で増加

FRBが10日に発表した2009年7-9月期の資金循環報告によれば、米家計部門の金融資産は株価の上昇などにより2兆3,600億㌦増加していたことが明らかになった。
米家計部門の金融資産の増加は2・四半期連続となり、今年1-3月期の40兆1,930億㌦をボトムにして44兆4,150億㌦まで急回復している。(⇒2007年末は50兆7880億㌦だった)
一方、米家計部門の債務は14兆610億㌦となり、2008年7-9月期の14兆5,210億㌦をピークにして4・四半期連続で減少(⇒借金返済=貯蓄率の上昇)していたことが明らかになった。
つまり、米家計は過剰債務と資産の喪失によるダメージの修復を迫られていたわけであり、こうしたバランスシート調整の痛みを今年3月からの株高に伴う資産効果が緩和する構図となっている。
米財務省およびFEDの政策協調による「株高演出」であり、株価反発は3月のFOMCが「FFレートを長期間、異例の低水準とすることが正当化される」との時間軸を盛り込んだ時期と一致している。
また、この3月のFOMCでは「信用緩和策(米国版の量的緩和策)」として国債買入れを決定し、事実上のドル安誘導を行っており、ポリシー・ミックスは「積極財政」+「超緩和的な金融政策」+「ドル安」の組合せによる「リフレ政策」が採られていた。
一方、中国やロシアなど新興国は、FEDによる国債買入れ決定を受けて「国際基軸通貨構想(⇒IMFのSDR特別引き出し権)」を持ち出し、米国の事実上のドル安政策に揺さぶりを掛けるといった神経戦がしばらく続いた。 しかし、10月末にFEDが国債買入れを完了し、11月のFOMCでは低金利政策の長期化に伴うマイナスの副作用として「ドルの下落が加速する傾向には注意深い監視が必要」との議論がなされたほか、バーナンキ議長が講演で「FRBはドルの価値の変化が及ぼす影響を注視している」と述べたことで、一方的なドル安はひとまず歯止めが掛かる格好となっている。

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市場では依然としてドル先安感が健在であるが、足元では家計の貯蓄率の上昇や貿易赤字の大幅な縮小など、米国の構造的問題は着実に改善しつつある。(⇒中長期なドル高要因)
2010年には、これまでの異例の金融緩和策や広範なドル安の効果がタイムラグを経て表れることになる。(⇒ドル安誘導の役割は終了)
また、2010年1月からは、9月の米ピッツバーグG20サミット(主要国首脳会議)で合意した「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み(世界経済のリバランス)」がスタートすることになり、(紆余曲折が想定されるものの)各国の均衡ある成長へ向けたマクロ政策への取り組みが市場原理に基づく健全な局地的ドル安調整を促すことになろう。
(⇒主に経常黒字国の通貨に上昇圧力が加わるため、日本を含むアジア通貨が高くなる)
もっとも、来年のマーケットではソブリンリスクの回避が重要なテーマの一つとなってくるため、財政健全化に向けたポリシー・ミックスが必要(市場の評価につながる)となり、米国では強力なリフレ政策の副作用でもある長期金利の上昇抑止と過去最大の財政赤字の安定的なファイナンスを促す観点からもドル高が重要になってくるとみることができよう。

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さて、足元の為替マーケットでは、これまでのドル独歩安に代わって欧州通貨の軟調が鮮明になりつつある。 昨日のコメントでは、ユーロ/ドルが1時間足・均衡表チャートで買いシグナルを点灯したことについて書いたが、買いシグナルを点灯して30分後に1.4759㌦まで上昇したが、このあと実線が転換線をした抜き、撤退を余儀なくされる格好となっている。 
一方、狙い目としたユーロやポンドなどクロス円の自律反発については、『遅行線』が終値ベースで転換線を上抜いて買いシグナルを点灯した状態にある。 ドル/円も同様のシグナルを点灯しており、4日の高値から9日の安値までの下落幅に対する38.2%~50% retraceを狙っていきたい。

(12月11日 11:35記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月10日

●ソブリンリスクは来年の通貨パワーバランスを左右するテーマに

昨日の為替マーケットは、ドバイ株式市場の大幅続落や前日のギリシャ国債の格下げに続くスペインの格付け見通し引き下げで、ユーロが急落する場面もみられたが、想定範囲内の動きと解釈され、売り一巡後はユーロ買い戻しが促されている。
つまり、南欧4ヶ国(P=ポルトガル、I=イタリア、G=ギリシャ、S=スペイン)は「PIGS諸国」と呼ばれ、ユーロ圏の中でも経済基盤が弱く、信用不安を抱える国々とされており、昨日のS&Pによるスペインの格付けアウトルックの「ネガティブ」への引き下げは、想定された動きでもあったわけだ。
もっとも、S&Pは声明で「スペインの公共財政の悪化は、今年1月の格下げ(「AAA」⇒「AAプラス」)時点から一段と深まり、経済の脆弱性も一層長期化している」と指摘しており、景気低迷下での長期金利上昇といった事態に見舞われるリスクを孕んでいるといえよう。
因みにスペインの失業率は最新データとなる10月が19.3%と、9月の19.1%から上昇、ユーロ圏16カ国の9.8%の2倍近い水準に達している。
ECBは通貨統合の憲法と位置づけられるマーストリヒト条約で「中期的な物価安定の実現」を唯一の政策目標として要請されているため、ユーロ域内で拡大する経済格差が解消されないまま蓄積されていくと、いずれユーロ離脱論に発展し、ユーロ売り材料となってこよう。
2010年の市場のテーマの一つに、異例の財政政策や金融緩和策の正常化が挙げられるが、構造問題に起因する経済格差や景気回復ペースの格差が通貨パワーバランスを左右することになろう。

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さて、昨日のコメントで採り上げたユーロ/ドルは、1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が今朝8時の足で転換線を上抜けて「買いシグナル」(⇒「買い」執行は9時となる)を点灯している。 
波動論からは、N-計算値の1.4776㌦処やE-計算値の1.4886㌦処がターゲットとなってくるが、実線が終値ベースで『転換線』を割り込む場合は、「撤退のシグナル」として受け止めたい。
(ご参考までにポンド/ドルは今朝7時の足で『遅行線』が転換線を上抜いて「買いシグナル」を点灯中)
尚、本日の狙い目はユーロやポンドなどクロス円の自律反発であり、それぞれ1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が終値ベースで転換線を上抜く場合は「買いシグナル」として捉えたい。
但し、上述のように実線が終値ベースで『転換線』を下抜く場合は、撤退のシグナルとておきたい。

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(12月10日 11:15記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月 9日

●市場が暴れるのは不均衡や構造調整のズレがあるため

昨日のマーケットは、信用リスクの再燃により日本円および米ドルが全面的に買い戻される展開となった。 昨日の日経新聞夕刊の「ウォール街・ラウンドアップ」では、7日のバーナンキFRB議長の講演について、「超低金利継続の基本スタンスと同時に説明した利上げの用意は、ドルキャリー・トレードが象徴する過度な流動性相場の幕引きが狙いだろう」とのニューヨーク支局の日経記者の鋭い解説がなされていた。
こうした警告に歩調を合わせるかのように、米格付け会社S&Pは7日、ギリシャの信用格付け「Aマイナス」について、引き下げの可能性を示す「クレジットウォッチ・ネガティブ」に指定し、ポルトガルの信用格付けアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げていた。
そして昨日はフィッチ・レーティングスがギリシャ国債の格付けを「BBBプラス」に引き下げ、アウトルックを引き続きネガティブとした。

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欧州の金融資本市場は、ドバイ・ワールドへのエクスポージャーに対する懸念再燃も加わり、銀行株主導により主要株価指数は続落し、欧州主要3通貨はユーロ悲観論者の筆者が待ち望んだ大幅安に見舞われている。
市場が暴れるときは、経済のどこかに不均衡や行き過ぎがあったり、構造調整のズレがあるときであり、ユーロ圏では統一通貨ユーロの構造的な脆さが金融危機後の長引く景気低迷により炙り出されたとみることができよう。
主要格付け会社によるギリシャの信用格付けが「A」を下回るのは10年ぶりのことであり、通貨統合以前に逆戻りする格好となっている。
ギリシャは慢性的な財政赤字やインフレにより、長期金利が高止まりいていたが、通貨統合により同国長期金利が域内で最も金利の低い独国債に鞘寄せする形で低下するという恩恵に授かることができた。
こうした長期金利の低下が同国の経済活動を活性化させると同時に、住宅ブーム(バブル)を形成していったのである。 しかし、リーマン・ショック後の信用収縮や景気後退が潜在的な信用リスクの格差を炙り出し、独国債に対するクレジット・スプレッドの高止まり(⇒長期金利の上昇)が常態化するようになった。
ユーロ圏の金融政策はECBが一手に引き受けるため自由に金利を引き下げることはできず、通貨統合前には可能だった自国通貨安を促すこともできず、勢い財政政策に付加が掛かる構図であり、当然の帰結としての信用格付けの引き下げである。  これは、ギリシャだけの問題ではなく、統一通貨ユーロが孕む構造問題であり、硬直した労働市場が域内格差の障壁となっているのである。
トリシェECB総裁は、7日の欧州議会での証言で、非標準的措置の段階的な解除を決めたことについて、「必要なら出口政策の休止も可能」との見解を示しており、出口政策が想定以上に遅れるシナリオも念頭に置いておきたい。 

さて、テクニカル面での注目は、1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が転換線を上抜くことができるかどうかとなってくる。 チャート上では12月3日の高値1.5142㌦をトップとして今朝8時過ぎの安値で三段下げ(=五波構成の下落波動)を完了しており、短期的には自律反発的な修正波として三波構成の上昇が期待される局面でもある。 現時点では、短期ボトム形成のシグナルは得られていないため、上述の『遅行線』が転換線を終値ベースで上抜いたことを確認できた場合は、自律反発狙いの買いエントリーしていきたい。
この自律反発は三波構成(a-b-c)の上昇波が想定されるため、『遅行線』が転換線を上抜くポイントが高すぎる場合は、2つ目の波動を押し目買いと捉え、3つ目の波動では利食いと同時に途転売りを検討することになる。

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(12月9日 11:05記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月 8日

●バーナンキFRB議長、市場の拙速な利上げ観測を戒める

週明けの為替マーケットは、先週末の米雇用統計の大幅改善を受けて急伸したクロス円の持ち高調整を主体とする値動きとなり、円が全面的に買い戻される展開となった。
 先週末のマーケットでは、米雇用統計の予想を上回る改善を受けて超低金利政策が想定よりも早く解除されるとの見方が浮上、米債券市場では長短金利が軒並み上昇し、FFレート先物市場では来年夏の25bpの利上げを織り込むまでに至っていた。
もっとも、米雇用統計発表後の金利先高観を手掛かりとするドル上昇は、今年6月と8月にもみられた光景であり、翌週には早期利上げ観測の後退によりドル安方向へ引き戻されている。
こうした経緯のほか、翌週にFOMC開催を控えて週明けのバーナンキFRB議長の講演は、普段以上に注目が集まる格好となっていた。
議長は米経済について「恐ろしい向かい風に直面しており、インフレ率が現在の水準から低下することもあり得る」と指摘、「自律的な景気回復が実現したと認めるまでは超低金利を続ける」と再度表明したため、米金利先高観の後退と共にドルが売り戻される展開となった。
もっとも、FRB議長の景気認識はこれまでと大きく変わっているわけでなく、市場の拙速な利上げ観測を戒める格好となった背景を探る必要がありそうだ。

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まず、今週は米財務省が740億㌦の米国債入札を実施する予定となっており、バーナンキ議長としては国債安定消化に向けて側面支援する必要があったと解釈することができよう。
金利先高観が強まる状況下では、債券入札が最も忌避されるため、金融当局者が景気に対して慎重な見通しを行うことで、行き過ぎた金利先高観を抑制することができるというわけだ。
とはいえ、今年2月に成立した大規模景気対策(⇒10年間で7,870億㌦)は、その半分以上の3,994億㌦が今年10月から始まる2010年度分であり、来年の中間選挙に向けて政策効果が出るように設計されているため、金利上昇抑止やインフレ期待の安定が重要な政策課題となってくる。
11月3-4日に開催されたFOMC議事録によれば、非常に低い短期金利を維持することで生じるマイナスの副作用として、①金融市場の過剰なリスクテークにつながる可能性、②インフレ期待がしっかり抑制されない状況につながる可能性、について言及している。 
そして11月16日には、バーナンキFRB議長が雇用の最大化と物価安定という2つの責務に対するリスクを防ぐため、FRBはドルの価値の変化が及ぼす影響を注視すると述べている。
FRBは、今年3月のFOMCで「超低金利政策の時間軸」と「信用緩和策による国債買入れ」を決定し、広範なドル安と株高を演出したが、ここからのドル下落はメリットよりもデメリットの方が大きくなると判断したと解釈することができよう。
つまり、「ドル安黙認」から「ドル安監視」への政策転換であり、主要6通貨に対するICE(インターコンチネンタル取引所)ドル指数先物のファンド筋のポジションは、先月16日のバーナンキFRB議長の講演の翌日11月17時点で大幅なドル買い戻しが発生し、その翌週11月24日時点で27週ぶりの買い越しに転じ、最新データとなる12月1日時点で買い越し額が3倍に増大している。

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ドルの代表的な実効為替レートである「FRBインデックス」のシーズナル・サイクル(選挙の無い年)は、「12月のドル高」という季節性を有している。 これは、年末決算に向けて「利益の出ている市場から順番に益出しをしていく」という年末恒例の"リパトリ相場"を示唆するものであり、今年の場合は3月を起点に進展した広範なドル安と世界的な株高という"2つのキャピタルゲイン"を伴って母国回帰することになろう。 この場合、為替マーケットでは今年上昇した通貨に売り圧力が掛かると考えられ、これに伴ってクロス円にも売り圧力が加わるため、ドル/円はドル上昇とクロスベースの円高に挟まれ、現行水準での神経質な値動きとなる可能性が想定されよう。

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(12月8日 11:30記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月 4日

●ECB理事会、非標準的措置は漸進的かつ段階的解除へ

昨日の注目イベントであったECB定例理事会・政策委員会は、主要政策金利を過去最低の1%で据え置く一方、焦点の無制限・1年物資金供給オペについて今月16日を最後とし、定例オペの最低応札金利の平均に設定することを決定した。 市場では、緊急措置として導入された「固定金利・無制限資金供給オペ」の解除は想定範囲内であったものの、1年物資金供給オペの適用金利が変更されたことで早期利上げのシグナルと解釈され、ユーロ/ドルは一時1.5142㌦と年初来高値1.5145㌦に3㌽まで迫った。 
しかし、トリシェECB総裁が1年物資金供給オペに関する決定に関して、「いかなる点でも金利を巡るシグナルと解釈されるべきでない」、「金融政策の引き締めについては一切、何もシグナルを出していない」と早期利上げ思惑をけん制したため、ユーロ/ドルは急反落している。
また、もう一つの焦点であったECBスタッフによる2011年のインフレ率(⇒HICP前年比)予想中間値が+1.4%と、ECBのインフレ誘導目標である「2%に限りなく近い1%台」にとどまったことも、早期利上げ思惑を後退させている。
ECBが非標準的措置として導入した固定金利による無制限の資金供給オペは、漸進的で時宜を得た段階的解除を行うとして、6ヶ月物オペも3月末で終了することを明らかにしている。
これについてトリシェ総裁は、「金融市場の環境改善は、流動性供給のすべての措置が従来と同程度に必要とはされていないことを示唆している」と説明しており、非標準的措置を解除しなかった場合のリスクを考慮したものといえよう。
つまり、「現在の金利水準は引き続き適切」とした過去最低水準の政策金利を維持するための必要条件と読むことができ、政策措置の影響が予想よりも強まる上向きリスクや、一段のユーロ高を回避する狙いもあったと解釈することができよう。

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さて、昨日のユーロ/ドルは、1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が15時の足で転換線を上抜いて買いシグナルを点灯し、22時の足で1.5142㌦まで急伸したが、23時の足で基準線を下抜いて売りシグナルを点灯している。 24時の足で1.5050㌦まで急落したあと再び基準線を上抜いて売りシグナルは消えたが、今朝6時の足で基準線を下抜いて売りシグナルを再点灯している。 このあと、『遅行線』が基準線を終値ベースで上抜くか、実線が『転換線』を終値ベースで上抜くまで売りは継続することになる。
一方のポンド/ドルの1時間足・均衡表チャートは、極めて素直なパターンを展開しており、『遅行線』は23時の足で基準線(=1.6607㌦処)を下抜いて売りシグナルを点灯し、今朝10時の足で1.6526㌦まで下落している。 このあと実線が終値ベースで『転換線』を上抜くまで売りは継続することになる。
本日の狙い目については、1時間足・均衡表チャートで買いシグナルを点灯中のユーロ/円とドル/円。
両通貨とも、右肩上がりの上昇トレンドを形成しているが、実線が下向きとなった『転換線』に絡む動きとなっており、前日の高値を越えない限り、『遅行線』は今から12~13時間後(⇒今晩22~23時)には実線に衝突(摩擦)する重要局面を迎えることになる。 このあと『遅行線』が終値バースで基準線を下抜くと、売りシグナルを点灯することになる。 但し、『遅行線』が転換線にサポートされ、実線に同調する場合は、高値圏での中段揉み合いを経て一段高となる可能性も浮上するため、値頃感での売りの誘惑に負けないようにしたい。
そして、ドル/円の『遅行線』が実線に急接近する時間帯に米国の11月雇用統計が発表される。 事前予想では、NFP(非農業部門雇用者数)が12.5万人の減少、失業率が前月と同じ10.2%となっている。

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昨日発表された米新規失業保険申請者件数は前週比5千件減の45.7万件と、1年2ヶ月超ぶりの低水準となっているが、今晩の雇用統計の対象期間から外れるため、大幅な雇用改善は見込みづらいかもしれない。
ご参考までに米雇用市場の基調をより正確に示すとされる新規失業保険申請者件数の4週間移動平均は雇用統計の対象週で495,500件となっており、NFPの11~15万人減少を示唆している。

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(12月4日 11:20記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

2009年12月 3日

●ECB理事会、最大の焦点は「1年物オペ」の取り扱い

昨日の為替マーケットは、円が全面的に売り戻される展開となった。 日銀が1日の臨時会合で導入した「10兆円規模の新型オペ」は、多くのアナリストらの見解とは裏腹に、2日の金融市場では円の主要金利がそろって低下するなど、「短期金融市場における長めの金利のさらなる低下を促す」(1日・白川総裁)といった地合いとなっている。
日銀の金融政策見通しを反映する円3ヵ月金利先物市場では、全限月で金利が軒並み低下しており、同市場の取引の5割以上を占める海外勢が2010年中の利上げがないことを織り込んでいると解釈することができよう。

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また、白川総裁が1日の臨時会合後の会見で、新たな資金供給手段は「広い意味での量的緩和」、金利については「実質ゼロ金利」との認識を示したことが、市場にジワリと浸透する格好となっている。
特に「広い意味での量的緩和」と述べたことが、2002~03年当時に政府・日銀がデフレ克服で実施した「量的緩和+非不胎化介入」の思惑を浮上させたほか、先月30日の玉木財務官の訪米目的が協調介入に向けた地ならしとの憶測も燻っている。 
そこに、昨夕の鳩山首相による「円独歩高は放置できない」との発言が伝わり、「鳩山-白川会談」が円高阻止に向けた政府・日銀による一段の政策協調思惑を高める格好となっている。
一方、過去1ヶ月のドル安・円高の要因の一つであった米2年債利回りは、10月26日の1.0287%をピークにして11月30日には0.6672%まで低下していたが、昨日は0.7223%まで上昇している。
次回FOMCでの政策判断材料となるベージュブック(米地区連銀経済報告)が、10月から11月半ばにかけて「景気は緩やかに改善もしくは拡大」したと報告したことが、材料視されている。
また、リッチモンド地区連銀ラッカー総裁が昨日の講演で、「経済が来年、適度なペースで成長する可能性は非常に高い」とした上で、「政策当局者らはいつ、どの程度の速さで金融刺激策を引き上げるかという課題に直面している」と語ったことも、政策金利の動向に敏感な2年債利回りを上昇させている。

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こうした地合いがいつまで続くかが、ドル/円の行方を左右することになり、今週末発表の11月の米雇用統計が極めて重要となってくる。 尚、今晩発表される米新規失業保険申請者件数については、50~59.9万件でNFP(非農業部門雇用者数)は24.5万人減少、45~49.9万件でNFPは4万人減少、40~44.9万件でNFPは6.5万人増加―――といったデータを米紙WSJが公表しており、目安にしたい。
 さて、昨日の狙い目としたポンド/ドルとユーロ/ドルについては、まずポンド/ドルは1日の17時に1時間足・均衡表チャートの『遅行線』が転換線を上抜けて買いシグナルを点灯した状態にあり、焦点の『遅行線』は実線に衝突することなく、実線に同調して一段高のコースを歩んでいる。
ユーロ/ドルは、3日の深夜2時に『遅行線』が基準線を下抜けて売りシグナルを点灯したが、2時間後には再び基準線を上抜いたことにより、売りシグナルはダマシに終わっている。
このあと、『遅行線』が実線を上抜いて転換線を終値ベースで上抜くと、逆に買いシグナルを点灯することになる。 但し、転換線がレジスタンスとなる場合は、今から12時間後(⇒22時前後)に再び基準線を下抜く可能性が高まるため、1時間・均衡表チャートの『遅行線』の挙動をわくわく感を持って眺めていきたい。

『遅行線』が基準線に急接近する22時前後には、ECB理事会が金融政策を発表(21:45)する。
そして、22:30からはトリシェECB総裁が記者会見を行う予定となっている。
 本日のECB理事会では、政策金利は過去最低の1%に据え置かれる見通しとなっており、市場の関心は1年物オペによる資金供給策の取り扱いに集まっている。
前回11月のECB理事会では、資金供給に関する方針は12月に詳細を発表すると表明しており、最大の焦点は今月16日に実施される期間1年の無制限・資金供給オペの条件設定となる。
1%の固定金利のオペに金利が上乗せされる場合や変動金利(⇒政策金利に連動)とされる場合は、ECBが1年以内の利上げを想定していると解釈されるため、ユーロ買いが加速する可能性に留意したい。
但し、ECBは出口戦略を実施するにあたりユーロ高を考慮していると報じられているほか、ECB高官は金融機関に対して16日実施の期間1年の無制限・資金供給オペを自粛するよう働きかけており、本日の理事会では条件設定が見送られる可能性も否定できない。 つまり、16日のオペが終われば、金融危機対応で導入した措置の多くは年明けに期限を迎えることになり、自然消滅の道を歩むこともできるわけだ。
尚、今回の理事会後に発表されるECBスタッフ予想には2011年の経済見通しが初めて含まれるため、インフレ予測がどう変化しているかも重要となりそうだ。

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(12月3日 11:25記)

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2009年12月 2日

●バブルの傷は新たなバブルの形成によって癒す

 昨日のマーケットはアジア株を筆頭に全面高の展開となり、NYダウ、カナダ・トロント300、メキシコ・ボルサ、ブラジル・ボベスパが終値ベースで年初来高値を更新するに至っている。
為替マーケットでは、リスク選好型の典型であるドル安・円安/その他通貨高の展開となった。
懸案のドバイワールドの債務問題は、260億㌦の債務見直しについて銀行団と「建設的」な交渉を開始したと報じられ、不透明感は払拭された。 けんあん
こうしたなか、昨日のマーケットで材料視されたのは各国経済の重要先行指標であるPMI(購買担当者)製造業景気指数(米国はISM)が11月も拡大基調を維持したことである。
中国のPMI製造業景気指数は55.7と前月の55.4から上昇し、2004年4月以来の高水準を記録したほか、ユーロ圏のPMI製造業景気指数は51.2と前月の50.7から上昇し、2ヶ月連続で拡大基調を示す50を上回った。 

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米国のISM製造業景気指数は53.6と前月の55.7から低下したものの、拡大基調の50を4ヶ月連続で上回ったほか、ISM景気指数を構成する主要3項目の「雇用」「生産」「新規受注」が揃って50を上回っており、製造業部門の先行きに対する楽観論を浮上させている。 
さらに、日銀が政府の経済対策に足並みを揃え追加の金融緩和策を決めたことも、市場のリスク志向を後押しする格好になったといえよう。
市場では、日銀の臨時会合召集との発表で国債買入れなど量的緩和観測が広がっていため、この日決定された10兆円規模の「新型オペ」に対する反応は失望に近かった。
しかし、年内で終了が決まっている「モンスターオペ」(企業金融支援特別オペ)に代わる資金供給策として金融市場を安定させる効果は有しているといえよう。
昨日の臨時会合後の会見で白川日銀総裁は、この新型オペについて「広い意味での量的金融緩和策」と解説している。 つまり、この新型オペは国債も担保資産としているうえ、この手段による供給に終了期限が設けられていないのである。
 「新型オペ」により年0.1%の固定金利で資金を借り入れ、中長期国債で運用すれば利ザヤを稼ぐことができ、日銀の狙いの通りに期間がやや長めの金利にも低下圧力が掛かることになる。
中長期の金利が低下すれば、株式などリスク資産の上昇を促すことにもなり、デフレの進行や急激な円高に歯止めを掛ける効果も期待されよう。
こうしてみると、日銀の「出口政策」は果てしなく遠く、追加緩和策によって米政策当局によるポスト・リーマン・ショックとしての「株高演出」に加担する役割を果たすことになりそうだ。

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昨秋の金融危機の震源地である米国では経済の原動力となってきた家計部門が膨大な債務を抱えるに至り、米国再生の鍵はバランスシートの修復が握っている。
このため、まず金融不安を強引に封じ込め、異例の低金利政策の長期化と信用緩和策によって資産効果を高める株高を演出しているのである。 しかし、G7各国はデフレと高失業率によって景気回復は緩慢であり、成長エンジンをG20の新興市場国に求めている。
今年3月3日、オバマ大統領は、「株価は長期投資家にとって魅力的な水準に近付きつつある」と宣言した通り、主要株価指数は3月1週の安値をボトムにして右肩上がりの上昇となっている。
FRBの資金循環統計によれば、米家計部門の債務残高は昨年9月末の14兆5,150億㌦をピークにして今年6月末まで3四半期連続で減少している。 この期間に4,470億㌦が債務返済に回され、その分の消費が抑制されている計算になる。 しかし、金融資産は3月以降の株高などにより、4-6月期には1兆7,770億㌦のキャピタルゲインが発生しており、これまでのドル安・株高といった政策が功を奏しているといえるかもしれない。 (⇒来週10日には7-9月期の資金循環統計がFRBから発表される)
とはいえ、「バブルの傷は新たなバブルの形成によって癒す」という金融危機後に繰り返された手法が今回も通用するかどうか。
一方的なドル安が孕む副作用、新興国に集中する投機マネー、強引に封じ込めた金融機関の不良資産、―――など市場には歪みが蓄積されており、ドバイショックを上回る危機が勃発する可能性は否定できない。
この点は2010年の主要テーマの一つとして別の機会に採り上げさせていただきたい。

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さ、本日の狙い目は、ユーロ/ドルとポンド/ドル。
1時間足均衡表チャートでは、『遅行線』が実線に急接近する重要局面を迎えることになる。
現行の相場水準が維持される場合には、本日のNY序盤頃に衝突(摩擦)することになり、このあと『遅行線』が実線に同調する場合は一段高が想定されるが、実線を下抜いたあと、転換線⇒基準線の順で下抜く場合は"追撃売り"のシグナルとなってくる。 『遅行線』がこれらを下抜く場合の判定は、あくまで終値ベースであることをお忘れなく。

(12月2日 11:40記)

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2009年12月 1日

●日銀・臨時金融政策決定会合(12/1追加コメント)

日銀は、最近の金融経済情勢の動向を踏まえ必要な金融調節事項の検討を行うため、本日午後2時から金融政策決定会合を臨時招集すると発表した。 白川総裁が4時半に会見する予定。
政府はデフレや急激な円高に対する経済情勢に対処するため、今週中に対応策を打ち出す方針を示しており、本日の日銀の臨時会合は協調姿勢を最大限引き出す目的があるといえよう。
また、日銀は明日2日に政府と協議する予定となっており、中央銀行の独立性という観点からは政府からの要請により量的緩和など一段の金融緩和に追い込まれる事態は回避する必要があり、本日の会合につながったといえよう。 

白川日銀総裁は20日の会合後の会見で、デフレは需要不足が原因であるため、流動性を供給するだけでは物価は上がってこないと、量的緩和策に慎重な考えを示していたが、ドバイ発の信用不安の台頭により、大義名分ができたといえるかもしれない。 
また、急激な円高問題については、G7の国際公約もあり安易に市場介入に踏み切れない事情があるため、デフレ克服と円高回避には政府との政策協調が不可避であったといえよう。
こうした観点からは、本日の臨時金融政策決定会合では、市場の失望を誘うような政策判断がなされる可能性は低いといえ、国債買入れ増枠といった量的緩和策の強化に踏み込む可能性を想定しておきたい。

ドル/円については、Fibonacci pointの87.69円処(=38.2% of 92.33⇒84.82)や88.01円(10/07)を上抜くことができるかどうかが焦点となってこよう。

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(12月1日 12:30記)

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●市場のリスク忌避モードは継続

週明けのマーケットは、ドバイの債務問題を巡る不透明感から神経質な値動きとなったが、信用不安を増幅する事態は回避されており、株式市場では米主要3株価指数が小幅反発、為替市場では先週大きく売り込まれた資源国通貨が買い戻される展開となった。

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米国株の代表的な投資家センチメント・インディケーターであるVIX指数(別名「恐怖指数」)は、11月24日の20.47から24.51まで跳ね上がったが、警戒領域とされる30には至っておらず、「ドバイショック」を冷静に受け止めていることを示している。
ドバイの資金繰り問題を巡っては、アラブ首長国連邦中銀が29日に同連邦の銀行間取引市場に資金供給を実施すると発表したことで、金融システムへの影響は阻止されるとの見方につながっているが、ドバイワールドの債務問題については依然として不透明であり、この日のドバイ金融市場総合指数は7.3%安と1年ぶりの大幅下落となっている。
今回のドバイ発の信用不安は、同地域に多くのエクスポージャーを抱える英欧金融機関の問題だけではなく、リーマン・ショック前の世界的な金融バブルの処理が終わっていないことを示す事象であり、年末に向けて問題債権を抱える金融機関の信用リスクが高まる可能性も否定できない。
IMFストロスカーン専務理事は、11月25日に掲載された仏フィガロ紙とのインタビューのなかで「(銀行には)公になっていない重要な損失が依然存在する」、「(銀行の損失の)50%がバランスシートに隠されている可能性がある」、「この比率は米国よりも欧州の方が高いとみられる」と述べている。
金融機関がバランスシート上に不良債権を抱える状況下では、持続的な景気回復が見込めるはずもなく、今回のドバイの信用不安のような外的ショックに対して経済を弱体化させることになり、政府・中銀による「出口政策」も後ズレを余儀なくされることになろう。 (⇒過剰流動性相場の温床となる)
一方、ドバイショックを契機に投資家のリスク資産を選好する動きも見直され、ファンダメンタルズに基づく選別が行われることになろう。

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さて、市場がリスク忌避モードに傾斜するなか、今朝CFTC(米先物取引委員会)が発表した『Commitments of Traders Report』によれば、11/24時点におけるIMMファンド筋の主要6通貨に対する米ドルの総合ポジションは186.54億㌦の売り越しとなり、売り越し額は3週連続で増加していたことが明らかになった。 
IMMファンド筋の通貨別のポジションでは、米ドルに対する買いの主体は買い越し額の多い順に『日本円』『豪ドル』『ユーロ』『スイスフラン』『カナダドル』の5通貨となり、日本円が2週連続でトップとなっている。
売買内訳によれば、日本円はロングが10/27の36,076枚から65,224枚へ4週連続で増加しており、ショートは11/10の20,166枚が直近のピークとなり13,514枚まで減少している。
(ご参考: 1枚=1,250万円)
これにより、円の買い越しは51,710枚となり、昨年04/29の55,450枚以来の水準となっている。(過去最大の買い越しは昨年03/25の65,920枚)
ポジション的な過熱感を測る買い越し額の取組高占有率は39.22%となり、過去最高となった今年02/03の43.1%に迫りつつある。

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IMM日本円通貨先物市場では、円高・ドル安が進展するなか総取組高が急増しており、積極的に円を買うための資金が流入していることを示している。 但し、現在取引中心の12月限は今月3週にLTD(=Last trading day取引最終日)を迎えるため、順当ならば反対売買が誘発されることになる。 (⇒円先高観またはドル先安観が強い場合は3月限へロールオーバーされる可能性も)
いずれにしても、膨大な円ロングの行方が当面の円相場の方向性を決定付ける要因の一つとなるため、IMM市場が毎日公表する出来高や総取組高の増減も注視していきたい。

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(12月1日 11:15記)

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