●平時への道程の険しさを認識させる春の嵐
昨日の為替マーケットは、ギリシャの格下げ懸念を引き金とする欧州ソブリンリスクの再燃や、米経済指標の悪化を受けた世界景気の腰折れ懸念からリスク回避姿勢が強まり、欧州通貨や資源国通貨が全面安となる一方、日本円が全面的に買い戻される展開となった。
リスク回避による資本フローの基本は、「キャッシュ化(⇒手仕舞い)」「質への逃避(⇒安全志向)」「ホームバイアス(⇒母国回帰)」であり、手仕舞い相場ではファンディング通貨の位置付けにある日本円に最も強い上昇圧力が掛かることになる。
昨日の場合は、欧州主要3通貨に対して日本円が年初来高値を更新するに至っている。
質への逃避(Flight to quality)が促される局面では、グローバル・マネーは流動性や信用力の高い米国債などに向かい、昨日行われた320億㌦の米7年債入札は、応札倍率が2.98倍と7年債が再導入された過去1年間で最高を記録している。
世界経済は、①リーマン・ショック後の流動性危機というパニックの解消、②在庫調整の進捗、③各国の大規模な景気刺激策の実施、に支えられ、急速に持ち直している。 しかし、今回の危機に至る根本的な原因である欧米諸国における信用バブル崩壊に伴うバランスシート調整という問題は依然として残っており、日本の失われた10年の経験が示すように経済には慢性的な下押し圧力が掛かり続けている。
ここにきて米国の主要経済指標が軒並み悪化しているのはこのためであり、バーナンキFRB議長が半期・議会証言で「異例の低金利を長期間維持する」と繰り返す理由もここにありそうだ。
また、こうした事情は欧州も同様に抱えており、欧州委員会が昨日発表した2010年のユーロ圏のGDP経済予測は、1-3月期から7-9月期までの3四半期連続で0.2%増と、年率で1%にも満たない低成長が続くと想定している。
米欧経済はともに低成長を余儀なくされる状態が予想されているものの、大規模な財政出動を行った歪みからソブリンリスクが高まっており、景気下支えはもっぱら金融政策に頼らざるを得ない状況となっている。
こうした状況が、昨年のマーケットの流行語となった「ニューノーマル(新たな標準)」であり、「米国の役割縮小」、「潜在成長率の低下」、「構造的失業率の上昇」、「財政状況の悪化」、「超低金利政策の長期化」、「インフレ圧力の低下」―――といった市場環境のなかで主要通貨相場は"不人気(不美人)投票"の勝者選び的な値動きとなってこよう。
さて、昨日のユーロ/ドルは東京終盤に1.3451㌦まで続落幅を拡大したものの、ユーロ/円が119.66円まで急落したNY中盤は1.3458㌦で下げ渋り、このあと急速に切り返す格好となっている。
とはいえ、現状では下向きで推移する日足-転換線がNYクローズのレジスタンスとなっており、同線を上抜かない限り、昨日のような急落に対する警戒は怠れない。
週足均衡表では、『雲の下限』(=1.3598㌦処)が本日週末のNYクローズで破られるかどうかが焦点となり、ここが破られる場合は『遅行線』が基準線を下抜く可能性も高まるため、この局面では<C波-3>が値幅および日柄を延長する事態を想定したい。
(2月26日 11:30記)
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