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デイリーレポート
デイリーレポート
日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト(CMTA1)会員番号200762
米国CTA(商品投資顧問)出身の異色ストラテジストフューチャーズアナリスト時代に培った独自分析手法を武器に外国為替ストラテジストに転身、現在に至る。"国内外の新聞・テレビ・ラジオ"出演多数。

[1993年] 全米証券取引業協会(NASD)商品投資顧問(CTA)
       資格NFA ID:0260098
[1994年] 日本ファイナンシャルプランナーAFP資格
       ライセンスNo.30078027
[1998年] 金融先物取引業協会 内部管理責任者資格
[2001年] 証券内部管理責任者資格

2010年3月11日

●日銀による追加緩和の真相は・・・

 昨日のマーケットは、欧州タイムからドル売り・円売りの地合いが強まり、リスク選好の典型的な相場展開となった。

※チャートやグラフはクリックすると拡大します。
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 手掛かり材料の一つとされたのが2月の中国貿易統計であり、同月は春節に伴う大型連休で営業日が少なかったにもかかわらず、輸出の伸び率が前年比+45.7%、輸入が同+44.7%と事前予想を大幅に上回ったことがある。
 世界的な景気上向きに伴う需要回復と、中国の内需拡大が着実に進んでいると捉えられ、特に資源国通貨高を促す材料となった。
 貿易黒字が前月比ベースで減少している点に着目し、持続性を疑問視する指摘もみられたが、内需主導型への過渡期にあるとの観点からは特に違和感はないといえよう。
 そして、手掛かり材料の二つ目としては、欧州タイムで伝わった「日銀が来週の金融政策決定会合で追加の緩和策を発表する」との関係筋からの情報である。 先週末にも「日銀、追加緩和を検討」と報じられており、特に海外勢の期待値を必要以上に高める格好となっている点には注意が必要かもしれない。
 というのは、日銀は3月末で「モンスターオペ」という別名が定着した「企業金融支援特別オペ」を終了する予定となっている。
 予定通りに終了すれば、緩和策の一つがなくなるため、市場が"引き締め"と解釈する可能性も否定できず、政府からは政策の催促が強まる事態も想定されるため、昨年12月に導入した「新型オペ」(別名:ウルトラ・モンスター・オペ)を拡充することで、この難局を乗り切ることができる。
 また、「新型オペ」の供給額が設定規模の10兆円に迫ってきているため、「企業金融支援特別オペ」の残額である5.8兆円規模を上乗せする形で増額すれば、追加の緩和策となるのである。
 さらに資金供給期間を現行の3ヶ月から6ヶ月に延長することも考えられるが、追加緩和に対する市場の期待感が高まっている状況下では、終了予定のモンスターオペの残額を上積みしただけで"追加緩和"と評価するかどうかは疑わしい。
 日銀が自ら政策の判断余地を狭めるようなリーク情報を流すとは考えづらいが、これが事実ならば失望を招くリスクが高まっているといえ、来週の金融政策決定会合は円高のリスクイベントとして警戒したい。
 それから、手掛かり材料の三つ目が、「来週16日のFOMCでは、市場に対していかなる用語で利上げを意識させることが適切かの議論がメインテーマの一つになる」とのWSJ紙の報道である。
 「出口戦略」で最も重要なことは、拙速な利上げ期待を高めないことであり、この記事は「本当かいな」と疑いたくなるが、昨日の米債券・株式市場の反応を見る限り、軽視しているように見受けられる。
 市場に利上げを意識させれば、間違いなく長短金利は上昇することになり、トリプル安に発展するリスクを高めることになる。 FRBが議会から与えられている目標は「物価安定」と「完全雇用」の2つであり、米政府が追加の雇用対策実現に向けて努力している状況下で利上げのサインを送ることは想定しづらい。
 事実、米労働省が昨日発表した雇用データによると、1月の失業率は全米9州で低下したが、30州で上昇しており、雇用情勢の回復の兆候は限定的であることが示唆されている。
 さらに、長期金利が上昇すれば利払いコストが膨大な財政赤字をさらに圧迫することになる。
(⇒米財政赤字を補てんするため、国債の発行残高は過去最高の7兆4,100億㌦に膨張)
 米財務省が昨日発表した2月の財政収支は2,209.1億㌦の赤字で、赤字幅は過去最大となった。 また、2010年会計年度の5ヶ月間(09年10月-10年2月)の財政赤字は6,516億㌦となり、過去最大であった前年同期の5,898億㌦を上回るペースで拡大していることが明らかになっている。  
 筆者がリスクイベントとした昨日の米10年債入札は、入札前に価格押し下げ(=利回りを上昇させる)を狙った売りが出たことから、応札倍率が3.45倍と旺盛な需要が見られている。
 ただ、海外の中央銀行や大手機関投資家からの需要はふるわず、間接入札者比率は約35%と、2009年6月以降に実施されたリオープン入札の平均41%を下回っている。 米10年債入札の需要が旺盛だったことは、米景気の先行きに対する懸念が根強いという裏返しでもあり、市場の通貨選好の前提条件である「成長期待」「出口戦略」「ソブリン・リスク」の観点からは、米ドル安に対する警戒は怠らないようにしたい。

※チャートやグラフはクリックすると拡大します。
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P.S. 2月の中国消費者物価指数が前年比+2.7%と、インフレ警戒の3%に急接近しています。 これにより利上げに踏み切る可能性が一段と高まったと同時に、人民元の変動幅を拡大する可能性も高まったといえそうです。
 ドル/円は、日足均衡表の『雲の上限』をNYクローズで上抜かない限り、戻り売りで攻めていきたいと考えています。

(3月11日 10:55記)

※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は、作成時点における森好治郎個人の見解であり、その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。

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