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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第342回 当面、ドルはQE3実施を織り込む展開か?

2012年1月30日

 ギリシャ債務減免交渉における「4%未満」の攻防はなおも続いており、結局、本日行われるEU首脳会談までの合意形成には至らなかった。最も重要なことは、ギリシャに財政再建目標を達成させることであり、そのためには民間債権者側が最大限譲歩する(=新国債の表面利率を3%台とすることを受け入れる)しかなかろう。
 その意味で、そう遠くない将来において交渉は決着するのだろうが、結果、民間債権者側は70%近くもの債務削減を受け入れさせられることとなり、直ちに必要な対応を迫られることとなる。つまり、交渉が決着すること自体は歓迎すべきなのであろうが、交渉決着自体が次の問題を呼び覚ますということもまた事実なのである。

 とまれ、交渉が決着に向かって「前進」している間は、あくまでショートカバー主導ながらもユーロが戻りを試す展開を続ける可能性がある。その実、先週末にかけてユーロ/ドルは1.3200ドル台までの戻りを見ており、ついに一目均衡表の日足「雲」下限にまで到達した。1月24日現在、シカゴ通貨先物市場における大口投機家のユーロ売り越し枚数は17.1万枚にまで膨らんでおり、ともすると買い戻しが進みやすい状況であることは否定できない。欧州中央銀行(ECB)が昨年12月に実施した期間3年物の資金供給オペ(LTRO)によって、足下で欧州各国の国債入札がそこそこ順調に進んでいることもユーロの買い戻しに加勢する格好となっている模様だ。

 ユーロ/ドルが昨年10月安値=1.3148ドルを上抜けてきたことで、今後は昨年10月高値から直近(1月16日)安値までの下げ幅に対する38.2%戻し=1.3244ドルが目先の上値メドとされやすい。仮に、同水準をも上抜けてきた場合には、昨年1月安値と昨年10月安値を結んだライン(=三尊天井のネックラインが位置する水準)までのリターンムーブが見られる可能性もあろう。
 もちろん、あくまで大きな流れは依然としてユーロ売りであり、足下に個別の買い戻し材料が存在していることは認めながらも、この2週間ほどのユーロの戻りには少々の違和感を禁じ得ない。振り返れば、昨年の8月にも1ヶ月ほどに渡って「ユーロの問題」が完全に棚上げされた時間帯というのがあった。このところの動きは、その当時を彷彿とさせる…。

 また、先週開催されたFOMCの声明文で「少なくとも2014年終盤まで異例の低金利を継続」との見方が示されたことも、足下でドル売り(=ユーロ買い戻し)の材料とされていることは否定できない。今回からFOMCメンバーの顔ぶれが一段とハト派色の強いものとなったこともあり、市場では「量的緩和策第3弾(=QE3)実施へのカウントダウンが始まった」との見方も強まりつつあるものと見られる。
 結果、先週25日に一時、レンジ上限の78.30円近辺まで上昇したドル/円は、再びレンジ下限の76.60円近辺まで下押す格好となっている。今後しばらく、ドルはQE3実施の可能性を織り込んで行く可能性が高いものと思われるが、その一方で日本の財政収支が31年ぶりの赤字に陥った(2011暦年ベース)という事実を市場は折に触れて意識する…。

 ドル/円の当面の焦点は、まずレンジ下限の76.60円処で下値がサポートされ続けるかどうか。下抜ければ、あらためて76.00円処を試す可能性があろう。一方、先週25日に一時的にも上抜けた長期レジスタンスライン(07年6月高値から)を再び試すような動きとなるかどうか。
 いずれにしても、いましばらくは「市場参加者が神経をすり減らす日々が続く…」ということになりそうだ。
(01月30日 10:15)

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プロフィール

  • 著者近影田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。
    《HP》 南青山投資経済研究所

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