英国では6月10日よりメイ首相の後任を巡る保守党党首選が正式に始まり、10人の候補者が確定しました。
今回の党首選はハードブレグジット(合意なき離脱)を主張する「強硬離脱派」と、EUと関係を保った離脱を重視する「穏健離脱派」の候補者達が競う構図となっています。
党首選のスケジュールは以下の通りです。
日時 | イベント |
6月13日 | 第一回議員投票 確定した候補者を絞り込んでいくため、6月13日に第一回議員投票が行われます。 第一回議員投票では得票数16票以下の候補者が脱落します。 ※全候補者が17票以上獲得した場合は得票数最下位の者が脱落します。 投票結果は日本時間で13日21時から発表される予定です。 |
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6月18日 | 第二回議員投票 第二回議員投票では得票数32票以下の候補者が脱落します。 ※全候補者が33票以上獲得した場合は得票数最下位の者が脱落します。 |
6月19日~20日 | 第三、第四回議員投票 第三回以降の議員投票では毎回得票数最下位の候補者が脱落し、候補者を2名に絞るまで行われます。 |
7月22日~26日 | 決選投票(次期首相選出) 保守党所属の下院議員による投票を繰り返すことで候補者を2名に絞った後に、全保守党議員による決選投票が行われます。 7月22日から26日までに次期首相(保守党党首)が決まります。 |
現時点で有力視されている候補者は以下の通りです。
現時点で次期首相の最有力候補とされているのがジョンソン前外相です。
ジョンソン前外相はバックストップ案の撤廃など完全な離脱を目指す強硬離脱派の一人であり、10月末の離脱期限までに合意がなされないのであればハードブレグジットに踏み切る姿勢を示しています。
ジョンソン前外相は2016年に行われた国民投票の最中、EU離脱のメリットを主張するために虚偽の発言をしたとして2019年5月に出廷命令を受けていましたが、6月に裁判所が出廷命令を無効とする判断を下したたことが追い風になっています。
ハント外相は「困難な英国の状況に対する唯一の解決策は離脱協定案を変更することだ」と述べ穏健離脱派の立場を示しています。
また、EU側が離脱協定案について再度交渉する意向があるとドイツのメルケル首相が示唆したことを明らかにし交渉に自信を見せています。
ハント外相はハードブレグジットの可能性を完全に否定しているわけではありませんが、「ハードブレグジットは総選挙を引き起こすことになるだろう」と述べています。
ゴーブ環境相はカナダ協定をモデルとした自由貿易協定によるソフトブレグジットを目指していますが、EUと納得できる合意を得られない場合には、「離脱を撤回するくらいならハードブレグジットを選択する」と発言しており、強硬離脱派・穏健離脱派のどちらともとれる立場をとっています。
ラーブ前EU離脱担当相は強硬離脱派の中でも過激な発言が目立つ議員です。
「より公正な離脱協定、イギリスの労働者によってより公正な協定」を目指すとしていますが、「10月31日までに離脱が達成されないようであれば議会を閉会してハードブレグジットを行う」と発言したことが問題視されています。