FX投資家なら誰もが願う思いに役立つ「連続予約注文」を活用してみませんか?
実践的で具体的な活用法をマネーパートナーズ臼田琢美がご紹介します。
ドル円東京市場におけるここ最近の平均的な一日の変動幅は、60銭前後。動くときはその2~3倍になることも。もちろん通貨ペアによっても戦略は異なりますが、ご自身のリスク許容度や相場観や狙いによって使い分けできますし両方使うのもアリ。
朝やお昼にその日の東京市場のレンジを想定し、小幅の利益を狙う連続予約注文を設定します。例えば、利食い10pips/損切り5pipsを20回分セットすれば、最大利益は200pips、最大損出は5pips。
この小さくコツコツ狙う戦略は、主に大きな相場変動がないレンジ相場での上下動を上手に捉えていこうという戦略になります。連続予約注文の場合、売買注文が利食いとなったら次の注文が発注されますので、 1つの連続予約注文につき常にポジションは1つまで。そして損切りとなったらその連続予約注文は終了となりますから、最大損失は基本的には設定した損切り幅までとなります。ですので20回仕込んだ連続予約注文を設定していても、最初の1回目で損切りとなったらそれで終了。例えば5pips5回利食い6回目で 5pips損切りとなったら「25-5=20pips」の利益となります。
朝やお昼に連続予約注文を設定し、夜に例えば「5pipsの損失か何pipsの利益か」を帰宅して確認し、その後に通常の裁量トレードを行う、といったことも一つ。あらかじめ指定したとおりの売買を行う連続予約注文と相場を見ながら行う裁量トレード。各々善し悪しありますからそれを組み合わせる価値もあるでしょうし、ご自身のトレードを見直し改良するキッカケにもなるかもしれません。機械的なトレードは考えたこともない、というような方にこそお試しいただく価値があるのではないかと思います。
この戦略は言うならば、釣り堀に毎日入場料を払って仕掛けを垂らし、さて今日はどれだけ獲れたかな?というイメージ。オケラの日もあれば大漁の日もあるでしょう。日々研鑽しご自身にとってより良い設定を見つけてください。
9:50、朝の相場動向とアナリストのレンジ予想 (この日は平均107.50~108.50)を踏まえて、
「107.90で買い107.98で売り」
これが利食いできたら
「107.98で売り107.90で買い」
これが利食いできたら
「107.90で買い→107.98で売り」を繰り返す連続予約注文を設定。
上記の連続予約注文を20回設定したので、
となる見込み。実際にはなかなか20回成功することは難しく、5~6回程度でも上出来。それでも25~30pips。
9:53に107.90で新規買い成立。
下の緑色のラインが損切りライン(107.85)10:23と11:04に損切りラインに近づくがギリギリセーフ。
11:47に107.98で利食い売り成立。
直後に107.98で新規売り成立。
上の緑色のラインが損切りライン(108.03)
12:36に108.03の損切りラインに達し損切り買い成立。
もし、5pipsでの逆指値(損切り)を設定していなければどうなったでしょう?
もし、5pipsでの逆指値(損切り)を設定していなければどうなったでしょう?
先ほどのでの損切りラインにヒットせず、そのままポジションをキープし続け、
14:30に利食いの買い戻しが107.90で成立し、
直後に新規での買いが107.90で成立しました。
損切りラインの設定は損失の拡大防止には有効ですが、その幅が狭すぎるとどうしても「もう少し我慢していれば上手くいったのに」ということが増えてしまいます。証拠金の余裕や相場状況などから幅を持たせた損切りラインを設定するのも一考です。
逆指値(損切り)を設定しなかったことによりポジションは継続し、その後
16:30に107.90で利食い売りが成立。
直後に107.90で新規売りが成立。
とさらに1回利食いを伸ばせました。しかし、その後相場は上昇し評価損が膨らんでしまいました。逆指値を設定しないのは連続予約注文での利食いを伸ばす可能性が高まるメリットがあるものの、その反面評価損を拡大させてしまうというデメリットもあり、まさに諸刃の剣となります。
この連続予約注文での小さくコツコツ狙う戦略の大敵はレンジブレイクして相場の水準が変わってしまうことです。その場合、小さくコツコツ狙うことができなくなるので、設定を見直すか、潔く後日仕切り直すかということになります。また逆指値(損切り)を設定していなければ評価損は膨らんでしまいます。当初の例では、利食い8pips、損切り5pipsに設定していましたが、損切り8pipsにしていたら
この連続予約注文での小さくコツコツ狙う戦略の大敵はレンジブレイクして相場の水準が変わってしまうことです。その場合小さくコツコツ狙うことができなくなるので、設定を見直すか、潔く後日仕切り直すかということになります。また逆指値(損切り)を設定していなければ評価損は膨らんでしまいます。当初の例では、利食い8pips、損切り5pipsに設定していましたが、損切り8pipsにしていたら
17:00損切りラインに達し108.06で買い戻し成立となりました。
新たな投資戦略を取り入れるのは勇気の必要なことですが、資産運用の幅を広げたりスキルアップにも繋がる有意義なチャレンジだと思います。ここで紹介した連続予約注文による「小さくコツコツ狙う戦略」は、比較的多くの人が試しやすい手法ですし、マーケット環境にも左右されにくい投資スタイルです。ご自身の従来のやり方に追加することで生まれる価値を見つけられるかもしれませんし、本来のスタイルに好影響を与える可能性もあります。Webにはレンジ予想のニュースやデータをまとめたページもあります。それらを毎日客観的に見ていくだけでも様々なプラスがあるかもしれません。この戦略はあくまでも一例ですが、ご自身の投資を見つめ直す一つのキッカケやヒントにもなれば幸いです。
今回はレンジの上下で買い売り両方で仕掛ける例をご紹介しましたが、もちろん「○○円まで下がれば買い」のみで仕掛けるというのでも良いです。そこはお好み次第です。利食い回数を増やしたいというこの戦略では基本的には両方で仕掛けた方が利食い機会が増えるので向いているかと思います。他にも、レンジを外側に幅広く複数設定していくという戦略もあります。例えば、
107.50~107.60で設定した外側に107.40~107.70、さらに107.30~107.80、とレンジが大きく動いた場合に対応する連続予約注文を追加するやり方です。このように連続予約注文を活用しさらに応用することも可能です。貴方はどんなアイデアが浮かびましたか?
「釣り堀に毎日入場料を払って仕掛けを垂らし、さて今日はどれだけ獲れたかな?」というお話をしましたが、この戦略は「入場料をいくら払うか(損切りライン)」「仕掛けをどこに垂らすか(想定レンジ)」「仕掛けの大きさはどれくらいにするか(利食い幅)」この3つが大きなポイントです。タダほど怖いものはないと言いますが、入場無料はハイリスク、低すぎては即退場になりやすいし、高すぎてはコスト割れしてしまいます。想定レンジや利食い幅も同じですが、ご自身の目的や状況に合わせて「ほどほど」を見つけるために試行錯誤して改善していくことが4つめの大切なポイントだと思います。この戦略に限ったことではありませんが、そのためにもマーケットや取引動向を記録し検証することをお勧めします。
私たちマネーパートナーズはお客様の資産運用のお役に立ちたいと心から願っています。ここでご紹介した戦略は当然ながら絶対儲かるというわけではありませんが、投資を行う上でのやり方や考え方のヒントとしてお役立ていただけるのではないかと思います。当社の様々なサービスやツールが、皆様の良い投資成果の実現に貢献できれば幸いです。
証券会社、金融情報会社、年金運用会社を経て、証券会社設立に携わるなど長年金融業界で活躍。
ポータルサイト系FX会社の代表を務めたのち、2019年5月よりマネーパートナーズ 投資情報室に所属。
プライベートでは1996年にオンライン上の投資家コミュニティ立ち上げ、「る~さ~!」として広く知られる。テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・ウェブサイト等に数多く出演/連載。
主な著書に「株の世界の歩きかた」(日本経済新聞社) 「もうだまされない!1万円で今すぐ始めるこれがホントの『投資信託』入門!」(ダイヤモンド社)がある。