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第108回 「ふらつく金融政策」

2014年09月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2014年9月


 世界中の金融当局者達がどうも落着きがなくなっている感じがする。前例のない量的緩和の波が世界を覆い、それが金融危機の悪化を抑え、回復の芽を生んだことは誰もが認めている。しかし、6年も経ったのにまだ誰も「作戦完了」と宣言できる勇気がない。その理由は二つある。一つは、まだ世界経済には不確定要素が沢山あると皆が思っていることだ。2008年の底からは確かに回復してはいるが、回復の勢いは歴史的に見ても明らかに弱い。低成長、低金利、低インフレ、低雇用、低所得、低投資と「低」ばかりでひょっとしたら世界経済全体が構造的に活力を失なっているのではないかという不安がある。第二に超緩和作戦は世界にとって始めての経験だから、何時どうやって作戦を終了するかについて誰も権威のある教科書を持っていない。下手に動いて混乱を起したら大変だという心配だ。


 云う迄もなく皆が注目しているのは米国のFEDだ。米国経済は順調に回復し、4~6月のGDPは対前期比年率で4.8%増という好調ぶりだ。FEDが三次に亘るQE(量的緩和)を10月には打ち止めにし、来年半ば頃迄には0.25%の政策金利の引上げを始めるというのが大方の観測だろう。しかし、肝心のイエレン議長は余りはっきりしないのである。「予想より早くなるかも知れない。しかし遅くなるかも知れない。」という禅問答だ。だから円ドルも一寸円安に動きかけたがすぐ立止った。イエレン議長が云うように、確かに、雇用統計などを精査すると不安材料が残っていることは事実だ。しかしその結果FEDはぎりぎり迄決断を待つということになり、市場の不安も長引くことになる。


 ECB(欧州中央銀行)はFEDの難題を目の当たりにしているし、ドイツの圧力もあり、できればQEに踏み込みたくないと頑張っている。しかし、そのためもあってEU経済は刻々とデフレの岸辺に近づいている。目下のところ市場は息をこらしてドラギ総裁を見ている状態だ。ECBのQE参加で事態が改善すれば良いが、たとえ改善しても、今後の金融政策が複雑さを増すことは避けられないだろう。


 日本はFEDに次いでアベノミクスでQEは参加した。今のところまだアベノミクスの神通力は効いている。株価上昇と円安の効果は依然大きい。しかし問題はその恩恵が仲々実体経済に波及しないことである。企業は円安で水ぶくれした収益をもっと給与支払いと改良投資に使わなければいけない。銀行は国債の代りに手にした資金をもっとリスクアセットに振り向けねばならない。それができないと、日本経済は将来展望が改善しないまま、円安による輸入インフレで停滞に逆戻りしてしまう危険がある。


 中国では構造改革に必要な緊縮路線が基本的に維持されている。反汚職キャンペーンもそれに輪をかけている恰好だ。しかし、不動産価格下落に伴なう不良債権増加や景気減速のマイナスもあり、金融政策は選別的緩和を軸にした裁量的な色彩を強めている。筋から云えばそれは改革の足踏みであろう。しかしこの状態がしばらく続くだろうことは避けられない。


 こう見ると、世界各国の金融政策は率直に云って軸足の定まらない情況にあり、かつ、それはまだしばらく続きそうだということになる。


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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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