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第118回 「新しい成長モデルは何処に?」

2015年07月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2015年7月


 南米リオデジャネイロでの国際会議に出席した。数年前迄は一次産品のスーパー・サイクルと中国の爆買いで大いに潤い、BRICSの竉児と持てはやされたブラジルだった。ところが、資源価格の下落、中国の成長鈍化で一挙に輝きを失ってしまった。経常収支、財政の赤字拡大、インフレの昂進、リアルの下落に国営石油会社のペトロブラスの汚職騒ぎ迄加わり、今年はマイナス成長だろうという有様である。昔から南米経済はぶれが激しいので有名だが、それを地で行っている。しかし、これも南米らしさだが、町の雰囲気は決して暗くない。18種類の肉料理が次々に出て来る有名なレストランは、家族連れや観光客で超満員だ。


 当面の経済運営で最も重要な2人、財務大臣と中央銀行総裁は共に若く優秀なテクノクラートで、「2015年は必要な調整を終える年で、来年からは成長を取り戻す」と自信有り気だった。


 会議では日本経済がゆっくりとだが確実に回復しているという認識が共有されていた。さまざまな構造改革の努力についても意外な程良く知られており、とくにコーポレート・ガバナンスの改革については積極的な評価が多かった。


 しかし、日本経済の先行きについて、海外の識者達には根本的な疑問が一つ有るようだった。それは、日本はこれから一体どういう成長のモデルを想定しているのかということである。かつて日本は輸出主導で成長したが、貿易摩擦と競争激化でもたなくなり、内需主導に転向した。しかし、人口の少子高齢化が進み、成長力も弱まると、内需主導も容易でない。円高で生産力の海外移転も進んだ。国際環境も変っている。かつてアジアにおけるサプライ・チェーンは日・韓・台が部品を作り、中国がそれを製品化して米・欧に輸出するというものだった。しかし今や中国は自らが世界最大の生産・消費市場となり、他の諸国も着実に先進工業国への歩みを進めている。ということは、アジアでは完成品レベルでの競争が激化するということである。そこで物を云うのは、さまざまな意味での非価格競争力になるだろう。


 最近日本では「実質2%、名目3%の成長」などという数字が何の根拠もなく流布し、金融の緩和と弾力的財政だけでそれが実現するかの如き雰囲気である。しかしこれは非常に危険な兆候だと云わざるをえない。持続的な経済成長を支える鍵は生産性、換言すればその経済構造が持っている強靭さにあるのであって、それは個人と組織の技術力・創意・弾力性等意識的な努力で創り出されなければならないものなのである。米国でも中国でもドイツでも、そのプロセスはたえず進行している。


 日本経済が本当に20年の停滞を脱して再び成長の軌道に乗るためには、これからどういう経済構造を作って、どういう成長のモデルを追うのかを考えなければならない。日本も世界も変ったのであり、「回復する」ということは「昔に戻る」ことと全く違うのである。そのことを案ずる海外の眼は意外に鋭いなと感じながらコパカバーナのビーチから戻ってきた次第である。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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