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第120回 「何時迄も晴れない空」

2015年09月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2015年9月


 またマーケットがざわついてきた。「通貨戦争」とか「世界同時株安」とか、何時か見た見出しが帰って来ている。当然のことながら、何か悪い原因が生じたのである。それにしても2007年にサブプライムローンの破綻をきっかけに始まった世界金融危機から8年も経っているのに、世界中でまだ誰も本当に空が晴れたと思っていないということは、考えて見れば由々しい事態ではある。


 どうして楽観的になれないのだろうか。それはやはり世界の経済や政治の実態が実際良くなっていないからだろう。第一に、世界経済は明らかに成長力を失っている。先進国も発展途上国も資源輸出国も、10年前の高成長期待の頃と比べると明らかに歯車が逆回りしている。第二に、世界中見廻しても、基盤が強固で十分な指導力を発揮しているという政府が何処にもない。皆内憂外患でよろよろしている。第三に、そんな中で世界のあちこちで武力衝突が起りそうなリスクがくすぶっている。まあこれでは気分が晴れなくても仕方がない。


 しかし、最近の主要経済で起っているさまざまな不具合を見ると、それは決して不可抗な時の流れの故ではない。米国は相対的に回復が進み、当然ながら6年に及ぶゼロ金利という異常な金融緩和策を正常化することが可能でもあり、必要でもある状態にある。ところが、いよいよ利上げかと思うときまって雇用や賃金のかんばしくないデータが出て、先のばしになる。これを繰返しているうちに、「政策の透明性」の掛け声とは裏腹に先行きの透明性は失なわれ、マーケットは日に日に神経質になり、不安定さを増している。FEDは実のところ自らの政策変更の国際的影響などそれ程考えていないのに、国内外の非難を惧れて確信を以って政策変更することができない。


 中国も丁度大改革の真只中にあって運が悪いと云えるが、どうも最近は指揮命令系統の不整合と混乱が目立つ。為替相場政策と証券市場対策と景気対策を総合的に判断する人的・組織的体制がない。加えて、汚職撲滅のための政治的社会的規制強化が政策全般の弾力性を損なっている。もっとも、中国経済が混乱の震源だと非難する日米欧もいい加減なものである。誰一人として、それでは中国経済がどうあって欲しいのかと云える者がいない。


 ユーロ圏も似たり寄ったりだ。ギリシャ救策は何とかまとまったが、さあこれで新しい門出だ、という明るいムードは全くない。ユーロ圏に蔓延しているのは、どうせまた上手く行かないさと云うニヒルな諦観のように見える。根本的な問題の解決に向けて遂に第一歩を踏み出した、という高揚感が、ギリシャにもドイツにも、EUにもないのである。


 日本も残念ながらパッとしない。回復を確信させるようなデータが一向に出てこないで4‐6月期のGDPのような後向きの話が多い。想定内だ、次は良くなると云われてもそれで片付く話ではない。安倍政権は安保法制に夢中で経済を重視していないという疑惑を民心に生んでしまったのは明らかな政策ミスだった。疑惑を晴らすためには実績を示す他はないのだが、株価下落、円安ストップで状況は厳しい。


 こうして世界を見ると、最近の停迷にはかなり人為の側面がある。しかも際立つのは、あちこちで合成の誤謬のようなことが起っているのに、主要国の間で経済政策の協調を真剣に語り合おうという動きが全くないことである。これは1980年代と比べると明らかに退歩である。グローバリゼーションははるかに進んでいるのに、それに伴なって必要になった政策協調はむしろ消滅してしまっている。これでは憂うつな気分になるのも無理はない。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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