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第121回 「習伯伯の行方」

2015年10月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2015年10月


 何かと中国の話題が多い昨今である。天津の工場爆発に始まって、上海株の乱高下、人民元切下げ、成長減速、対日勝利70周年、習近平訪米等々。これらの出来事はそれぞれが何等かの形で中国が現在抱えているさまざまな課題を投影していることは明らかである。その中には中国の前進に暗い影を投げかけるようなものもあれば、明るい光を感じさせるものもある。


 株とか為替とかマーケットにかかわる一連の出来事が露呈したのは、中国における経済運営の現場におけるインフラがまだまだ整備されていない事実だった。意志決定や政策履行のプロセスが錯綜しているため効率性や透明性がない。市場との対話は依然不充分だ。習近平改革の大きな柱の一つである国有企業改革は率直に云って、今度どういう方向で進められるのか判らなくなった。分割民営化だろうと思っていた海外投資家からすれば、むしろ当面は統合によって国際競争力を強化する国家資本主義路線への回帰に見える。


 汚職撲滅は依然続いているが、それと併行するように、反体制の動きに対する弾圧が強化されている。思想・表現の自由、人権保護、民主化の動きに対して明らかに逆風が強まっている。南シナ海を中心とする海洋進出は全く止まらない。米国が手を拱いている間に、この海域はあっと云う間に中国の空海軍拠点と化してしまった。


 習近平政権の立場からすると、最近の事態の進展は悪いことばかりではないことは充分理解しておく必要がある。成長減速は国際的には怨嗟の的になっているが、中国にしてみれば想定内の話だし、今迄のところそれが中国国内経済に深刻な打撃を齎らしている証しはない。大多数の国民は依然消費水準の向上を享受している。汚職撲滅は国民的支持を得ているし、反体制運動弾圧も一般大衆にとってはまだ他人事である。


 戦勝70周年パレードはきわめて単純な国威発揚行事であり、その目的は100%達成された。スタートした時は模倣であろうと、盗作であろうと、今や中国が米国に互する軍事大国であることに国民は納得した。習近平は依然として頼り甲斐のある習伯伯(習おじさん)なのである。


 今回の習訪米のきわ立った印象は、習がオバマとの間で懸案の政治的・軍事的課題を何とか解決しようという意慾を全く持っていなかったということだろう。その代りに刮目すべきだったのは、最初に立ち寄ったシアトルで行なわれた「米中インターネット産業フォーラム」だったろう。習近平を囲んで米国からアマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、アップル等々、中国からはアリババ、バイドウ、テンセント、シャオミイ等々、世界的インターネット企業のCEOが一堂に会したのである。その光景は今や米中両国がインターネット産業で世界を制覇するという新しい大国関係を樹立したことを印象付けるものだった。


 中国経済の成長鈍化に愚痴を云っても何の役にも立たない。日本の10倍の人口と2倍の経済を持ち、5倍のスピードで拡大しているこの隣人は日本にとっては宿命的与件である。その隣人がいま歴史的な変化の過程にあり、その行方は定かでない。日本は余程の鋭利で機動的な判断力と対応力を用意しておく必要がある。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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