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第125回 「金融市場混乱の犯人」

2016年02月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2016年2月


 年が明けてから金融市場が荒れている。とくに日本市場は去年とは様変りで、折角アベノミクスの命綱だった株高と円安の効果が帳消しになる不安も出てきた。


 しかし、一体何故こんなことになっているのかと日本国内の論調を追ってみて感ずるのは、他人の故にする傾向が強いことである。曰く、昨年12月にFEDが金利を上げたためカネが米国に逆流し、途上国経済の先行きに不安が高まり、安全資産と思われている円に買いが入って円高になった。中国経済の減速が予想以上に大きく、上海株が暴落したので、その煽りで日本株も売られている。中国が突然人民元を切り下げたので、国際通貨市場が混乱している。


 しかし本当にそうなんだろうか。FEDの利上げはむしろ遅きに失したぐらいだというのが国際的な多数意見であるし、米国経済が雇用を中心にゆっくりと着実に回復している状況は今年になって変ったわけではない。


 中国では習近平政権が歴史的な経済構造改革を本気でやろうとしていることは明らかであり、供給力の抑制や債務の削減が進んでいることは事実である。その結果として成長率の鈍化や企業淘汰は基本的に想定内の話であり、現状ではそのために改革路線が修正されるという雰囲気は全くない。


 中国の資本市場は全く未成熟である。とくに株式市場は人民に市場経済の魅力を味あわせるために運営されている国営のカジノと云ってよい存在だった。だから、上海市場の値動きが中国経済の実体を反映するものだなどとはそもそも誰も思っていないのである。市場を操作しようとする当局の手法はまことに未熟・稚拙であり、権威は全く失墜してしまった。手痛い教訓を学んだ当局は、おそらく介入を大幅に減らすだろう。ということは、市場が昨年前半の官製バブルの部分をそぎ落して、曲りなりにも実需を反映した水準に落ちつく迄、調整は進むということだ。


 人民元の動きも決して想定外とは云えないだろう。対米配慮と国際的信任向上のため基本的に元高政策をとってきたわけだが、改革に伴い成長鈍化が本格化すれば今度は本気で元高是正を図らなければいけない。しかし同時に、人民元の国際通貨化のためには相場の弾力化と交換性の拡大を進めなければならない。更に、先安感が高じて資本流出が激化してはいけない。中国の人民元政策はこの3つの要請に配慮しなければいけないという難しい事情にあるのである。ドル・リンクを多通貨リンクに変え、変動幅を拡げれば当然人民元安になるわけで、人民銀行とすればむしろ自由化の一歩だとほめてもらいたいところだったかも知れない。しかし残念なことに、株式市場の場合と同じで、政策の決定・施行に当っての整合性も透明性もないものだから、市場にはあたかも当局が突然一方的に切下げ競争を始めたと受取られてしまった。しかも、元安が行き過ぎたと思って今度はドル売り元買いをしたりするから、混乱に輪をかける結果になってしまった。勿論、罪の一端はSDR構成通貨入りをゴリ押しした中国と、それに色眼を使ったIMFや欧州諸国にあることは云う迄もない。


 私が云いたいのは、昨今の金融市場混乱と云われている状況は、それぞれ海外市場で固有の事情で生起している事柄なのであって、日本市場も同じように混乱しなければいけない話ではないのだということである。そうはいっても、混乱は稼ぎのチャンスであることは事実だから、怒ってみても仕方がないかも知れないが。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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