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第130回 「まさかのBREXIT」

2016年06月27日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2016年7月


 まさかのBREXITで市場は大荒れである。投票数日前に、残留派が多数を占めたという情報が流れ、皆が安心したところだったから、当座のショックがとくに大きかったようだ。しかし残留派優勢という情報は実は英国外から出たらしく、英国内の地元の雰囲気は離脱の流れが着々と固まっているというものだったらしい。だから、ショックを受けたのは国外の人達で、英国人にとっては「来るものが来た」という感じもあったようだ。現にロンドンの株価下落は国外に比べると格段に小さい。


 後智恵的な云い方だが、この結果は三つの亀裂を露わにしたのだと思う。一つは、ブリュッセルに鎮座するEU本部の官僚と加盟国市民との亀裂である。欧州議会とか欧州理事会という上部機構は一般市民の声や想いと無縁の存在になり、またそれを改善しようという動きもなかった。その亀裂は英国のような特別な立場にある国とか、ギリシャのような劣等生との間でとくに顕著だったようだ。5月にローマで前イタリア首相のマリオ・モンティと話した時、彼がそのことに強い危機感を持っていたのを思い出す。


 第二の亀裂は英国内の亀裂である。そもそもBREXITが話題になり始めてから一貫して伝えられていたのは、「エリートと庶民の態度が全然違う」ということだった。そしてエリート達はそれを知っていたにもかかわらず、「困ったものだ」という他人事風で、「何とかしないと大変だ」という切迫感は最後まで無かった。庶民達は経済問題等の理屈では反論できず、苛立って、ますます目先の感情的な反応に先鋭化していった。英国的に安定した階級社会はもう保たなくなったのである。


 第三はヨーロッパと英国の亀裂である。英国のヨーロッパ大陸に対する立ち位置は歴史的にもデリケートかつ流動的なものだった。ある意味で英国は何時もヨーロッパの一員、英連邦の盟主、太平洋を挟んだ米英同盟の一員という3つの立場を操ってきたとも云える。EUを脱退したからと云っても、それでは他の二つのどれかに戻れるという簡単な話ではない。英国民にとって  BREXITというのは第一段階の選択だった。しかしそれで終りではなく、世界における英国の立ち位置をどうするかという第二段階の選択が待っているのである。


 BREXITは日本にとってどういう意味合いを持つのだろうか。目先BREXITによる国際的波乱の影響で円高や株安が起っているのは当然であろう。今後は中長期的に貿易・投資・金融等に反応が生ずるだろうが、とくに日本にとって特別大きな打撃を生ずるような事態が起ることはないだろう。個別のケースを除けば、BREXITそのものが持つインパクトは過大視さるべきではない。2008年の世界危機と違って、金融機関のバランスシートが急激に悪化するわけでもなく、世界的に需要が消滅するわけでもない。BREIXTによって実体経済が悪化するだろうという証拠はないのである。EUの体制に対する影響についてはEUが考えるべきであって、日本が心配しても仕方ない。


 それにしても、一寸皮肉な見方をすると、この度の英国民のように自分の運命を左右するような選択を行なう責任と義務を与えられ、それを72.2%の投票率で実行するという稀有の経験を持った人達は幸せかも知れない。というのも、われわれ日本人は歴史的に見て、自らの運命を自ら選択するという機会を、幸か不幸か、持ったことがなかった。選択は何時も誰か上にいる偉い人達か、外部の環境の圧力で行なわれてきたのである。


 7月10日に選挙でわれわれは何を選択するのだろうか。



※本コラムは、通常は毎月の月初めに更新しておりますが、執筆者の要望により、今回は特別に本日(6/27)公開とさせていただきました。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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