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第132回 「リスクは消えたんだが」

2016年09月01日

株式会社マネーパートナーズホームページ寄稿 2016年9月



 一ヶ月程前まで「世界経済の一番大きなリスクは何か?」という質問に対する常識的な答えは「第一にBREXIT、第二に米国の利上げ、そして第三に中国経済の減速」ということだったろう。幸いと云うべきか、その後の動向が示しているのは、どうもこの三つのリスクはいずれもそれ程深刻なものではなさそうだということのようである。

 第一のBREXITに関して云えば、そもそもまだBREXITが具体的にどういうことを齎すのか全く決まっていないのだからその影響について何も判らないのは当たり前ではある。しかし、BREXITがまき起したショックとしての側面の影響はかなり沈静化した。英国内では「反省」めいたムードもあるし、他のEU諸国の間ではBREXIT後のEUの生存可能性についてそれなりの安心感が生まれているようだ。その結果、当面のEU経済のパフォーマンスに関して云えば、BREXITが喫緊の大きなリスクであるとは云えなくなった。

 第二の米国の利上げについては、そもそも2015年にFEDが出口政策を模索し始めた頃から、途上国を中心に米国利上げに反対するキャンペーンが行なわれ、先進国の市場もそれに汚染されて、米国の利上げが世界経済にとってリスクだというムードが定着してしまった。2015年12月の第一回利上げで事態は多少矯正されたが、利上げ恐怖症が完全に払拭されたわけではなかった。しかし、ここへ来て雰囲気は明らかに変った。米国経済の回復が順調である限り金利正常化は当然であり、世界経済にとってのリスクは米国金利が上昇することではなく上昇するのかしないのか判らないことだという感じになってきた。FEDもそれに沿ったフォワード・ガイダンスを始めており、リスクは消滅している。

 第三の中国経済については状況はいささか不透明である。中国経済が現在歴史的な転換期にあることは間違いない。従ってその先行きについて悲観楽観両論があるのは当然であり、とくに日本では悲観論側にバイアスがかかっていることは否定できない。悲観論の根拠である不良債権、国有企業の改革困難、政権内路線対立等々が事実であることは間違いない。しかし同時に、過剰供給力の整理、内需主導型経済への変革が進んでいること、その上で、中国経済の量的質的発展が続いていることもまぎれもない事実である。世界経済にとって中国経済は依然リスクであるよりはチャンスなのである。一時のように中国経済のハードランディングを予想する声は殆んど聞こえなくなった。

 というわけで、世界経済につきまとうリスクについての印象はこの所明らかに改善しているのである。それなのに何故世界的に見て「暗雲が晴れた」という想いが出てこないのだろうか?どうやらそこには非経済的事情があるように見える。具体的に云うと、各国の指導者達の思考の中から「国際協調を重視しなければいけない」という回路が驚くほど急速に退化してしまっているのである。ロシア、トルコ、中国、フィリピン、北朝鮮等々、非協調路線を売物にする政権が急速に増えている。その結果、個々の経済事象には喜ぶべきものがあっても、それが世界的な改善につながるという確信が誰の心にも生まれてこない。

 考えて見ると、1990年代から勢いを増したグローバリゼーションの流れの中で、世界のマーケットは一体化し、ヒト・モノ・カネは自由に動き廻るようになった。2007年に始まったサブ・プライム危機はまさしくグローバリゼーションの申し子だった。残念なことに、今の世界を見ていると、悪いことはすぐに世界中に広まるけれど、良いことは一向に広まらない。


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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

コラム一覧

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