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第137回 「普通の国になったアメリカ」

2017年02月01日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     2017年 2月

 トランプのアメリカに世界中が戦いている。保護主義と孤立主義、アメリカ第一を掲げて次々と大統領令を乱発する異端の指導者に、人々はまるで未知のモンスターが現われたかのように、驚愕と当惑と恐怖に囚われてしまった。

 しかし本当にそういうことなんだろうか。第二次大戦が終ってからの70年間、アメリカは唯一の超大国として世界に君臨してきた。その圧倒的な軍事力でアメリカは世界の警察官として眼を光らし、介入した。その技術力、生産力、市場と基軸通貨ドルでアメリカは世界中に需要をばらまき、世界経済を支えてきた。何よりも、自由と人権という理想に支えられたデモクラシーの理念は20世紀の人類の規範として認知されていた。つまり、アメリカは世界の中で、他とは非常に違った特別な国として存在していたのである。アメリカだけが、自分のことだけでなく、世界のことを考える国だったのだ。

 そして重要なことは、世界中の他の国、ヨーロッパも中国も日本もロシアも、皆こういう特別な国アメリカに、ある時は依存し、ある時はそれを利用してきたのである。ヨーロッパは、安全保障では米国主導主義のNATOに依存し、経済、外交では米国と共に世界の共同指導者として負担を分つという意志も能力も示さず、ひたすらヨーロッパ域内の統合に専念してきた。中国は、米国市場をフルに活用して高成長を遂げ、米国の一極支配を認めないと云いながら、指導国家としての負担と責任は回避して大国主義に邁進した。日本は、アメリカ外交に全面的に追随しながら、米国市場へのアクセスと米国の核の傘を確保し、アジア諸国との完全な修復がないまま、大国として復帰した。

 要するに、戦後の70年は、非常に特別な国であったアメリカと、その他の普通な国達との奇妙な凭れ合いの時代であったのである。この構図は1990年代から徐々に変り始めていた。その背景は云う迄もなく第一に中国の目ざましい抬頭であり、第二にはアメリカ経済と社会があちらこちらで齟齬を生じ劣化が進んだことだった。その結果、アメリカ人の間でも、もう今迄のような特別な国であり続けることはできないし、それを求める必要もないのではないかという想いが生まれて来たのも事実であった。

 しかし、ブッシュ、クリントン、オバマという大統領達は依然として特別な国としての理想を語り続けた。それは確かに美しく、正しいものだったのである。

 しかし、指導者層のエリート達が語る美しい言葉と虚飾と格差に満ちた現実とのギャップは拡がるばかりであった。多数の一般的アメリカ人にしてみれば、特別な国として尤もらしく振舞っているアメリカは実は偽善の塊りだったのである。トランプ対クリントンという大統領選挙は正に、恰好をつけて特別な国に止まるのか、正直に普通の国を目指すのかという選択だったのである。アメリカの有権者は普通の国を選んだ。

 トランプ政権の外交政策はたしかに大きな転換を意味する。「アメリカはもう特別な国ではない。あんた方と同じように自分のことを第一に考える普通の国になるのだ。だからもうアメリカに頼ったり、利用しようとするのは止めてくれ」というのがトランプのきわめて単純明快なメッセージなのである。

 これから少くとも4年間、世界はこの新しい「普通の国アメリカ」とどう付き合うか模索しなければならない。

 EUは目下高まっているナショナリズム、ポピュリズムの流れが短期的には更に勢いを得るかも知れない。しかしいずれそれが自らの経済的・政治的な劣化と凋落につながることを思い知らされて、必要悪であっても再び統合への流れに変ってくるのではないか。

 中国にはこれを機会に米国と共同で世界を分割統治する大国関係の樹立に注力するだろう。そのカードは世界最大の市場と貯蓄である。トランプとの交渉の過程で、本当に核心的利益、とくに領土問題、については譲歩しないが、将来取り返せる可能性があるような件については思い切った譲歩もするだろう。

 そして日本である。ユーラシア大陸の東縁、太平洋の西縁に位置するということが地政学的にも経済的にもチャンスとリスク、自由と制約の源泉であることは明らかだろう。だが、日本は今迄この自らの立ち位置について真剣に考えることが充分でなかった。トランプのアメリカが本当に普通の国になることを目指しているのであれば、それは日本に自分の将来を考える良い機会を与えてくれるのかも知れない。


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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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