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第155回 「未完の帝王」

2018年08月01日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2018年 8月

 相変わらず世界中がトランプに振り回されている。金正恩、プーチンとの首脳会談が行なわれると、世界中のメディアが「してやられた」「失敗だ」と喧しい。高関税の脅しを武器にした世界を相手に繰り広げる米国の赤字削減交渉に対しては、時代遅れの保護主義で世界経済を破壊するヒットラー並みの危険人物だという罵詈雑言の一斉射撃。対ソ接近やNATO軽視に対しては、自由な民主主義を共有する同盟国を敵に追いやってしまう歴史的愚行という具合である。

 実際これ程海外で評判の悪かった米国大統領は歴史上存在しなかったし、にもかかわらず、これ程その言動が世界的な注目を集め、世界情勢に影響を及ぼした大統領もいなかった。トランプが「劇場型」の政治家であることは間違いない。問題はそのパフォーマンスが何を成就し、何を残すかであろう。日本にも今世紀始めに小泉純一郎という劇場型の首相が現れた。彼は日本の政治家としては稀有の才能の持ち主で、郵政民営化に象徴されるような「日本の改革」の歴史的足跡を残した。しかしまことに残念なことに、彼は疲れたと称して、いわば橋頭堡を残しただけで戦線離脱してしまい、日本の改革は未完に終わった。

 トランプのパフォーマンスが何を成就するのか現時点では全く判らない。彼の言動が少なくとも他者の眼からすれば予見不能であり、一貫性に欠けることは明らかである。彼の、米国そして世界の将来についての米国大統領としての明快なビジョンが見えないことも事実である。

 そういう意味でトランプは米国大統領として、就任一年半経ってもまだ相当に「未完」の状態にあると云うべきなのかもしれない。この一年半のトランプに対する世界の騒々しい毀誉褒貶をふり返ると、この未完の大統領の実像を掴みかねて右往左往する「有識者達」の殆ど滑稽ともいえる姿が印象的である。しかし、最近次第にはっきりしてきたことは、有識者達が少なくともトランプを実在する米国大統領として「真面目に」判断しなければならないと考え始めてきたことだろう。

 その大きなきっかけが、何処迄トランプの功績であるかは兎に角、絶好調の米国経済にあることは間違いない。それは2009年の中国の4兆元の景気維持策以上の説得力を持っている。経済は一番判り易い政治なのである。それと、解釈はいろいろあるにせよ、トランプの外交政策が、少なくとも明白な失敗ではなく、次第に成果を生むのかもしれないという雰囲気が生まれていることである。その一例が対中国関係だろう。中国の有識者の間で、トランプが意図しているのは世界秩序の創造的破壊であり、中国は習政権の下でいささか功を焦った「行き過ぎ」を犯した。そのためトランプの改革に対して貿易、軍事、イデオロギーの三面で劣勢を強いられているという声があるというのは面白い情報だった。

 米国国内でも明らかに空気が変ったのを感じる。素人外交を最も軽蔑するキッシンジャー元国務長官がトランプを評して、「彼は歴史が時として生み出す、時代の終りを告げその見せかけを捨てさせるたぐいの人物かもしれない」と言ったという話を聞いて成程と感じ入った次第である。未完の帝王は本当に何処へ行くのだろうか。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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