株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2019年 6月

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第165回 「近くと遠くと」

2019年06月03日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2019年 6月

 またぞろMMT(現代金融理論)などというもったいぶった名前を冠して財政赤字容認論が世界的にはびこり始めた。またかという感じでのっけから無視しようとする動きもあるし、アメリカのように大統領選挙の争点になると思っている人がいるところもある。日本の場合も消費税増税を十月に控えた時点での話だから裏の裏を読みたがる人が出てきてもおかしくない。

 しかし、そういう現代的雑音を別にしても、こういう議論が繰返して出て来るという事実を無視することはできないだろう。この話がもぐら叩きになっているのは、見方を変えれば、この理論を明快かつ完璧に論破することができないからである。減税にせよ支出増加にせよ財政刺激策がとられた結果、短期的には財政赤字がふえたとしても、そのために消費や投資が増加し、経済全体の拡大が実現するのであれば、中長期的には財政赤字のマイナス効果が抑制もしくは削減されることになる。問題はこういう楽観的なシナリオは絶対実現しないのだということをエクス・アンテに断言することが誰にもできないということである。経済現象が化学反応や数字の定理と異なるのは、経済現象の場合、その主体である人間の行動が事前に予測できないからである。AIの発達によって予測の精度は高まって行くだろうが、予測が過去のデータの蓄積から構築される限り、100%の精度はありえない。人間は「神の摂理」を知ることができるようにならない限り、自らの将来を知ることはないのである。

 財政政策が消費や投資にどう影響するかはやって見なければ判らない。過去における他国の経験は参考にはなるが100%依存はできない。行動心理学的分析も本質は同じであろう。

 こう云うと全く身も蓋も無い話になるが、現実の経済運営に際して必要でありかつ有益であるのは、消費者や企業の経済行動についての定性的な判断だろう。

 家計の消費行動がどういう要素に影響されるかを列記することは難しくない。所得、資産、物価、雇用、消費財市場等々、そしてそれ等すべての変数についての将来展望である。日本では2013年以来一貫して緩和的な財政金融政策がとられた。その結果、円安、輸出企業の収益増、株価上昇、企業・家計の金融資産増、雇用増等のポジティブな成果が表れた。

 ところが、残念ながら消費も投資も増えなかった。人口は減り始め、生産性も向上せず、従って潜在成長率も低下し、多くの分野での国際競争力が著しく低下してしまった。つまり、MMTの楽観的シナリオは日本では実現しなかったのである。

 現在日本人の心理で国際的に非常に特異なのは目先と将来のちぐはぐさであろう。とくに日本の若年層は現状についての不満がおどろく程低いのと同時に、将来についての希望がおどろく程乏しいのである。現状はそこそこだが未来は明るくないという環境の下でMMTの楽観的シナリオは実現するだろうか。どう考えても、今の日本に必要なのは説得力のある将来像を作ることだと思う。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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