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第186回 「薄くなった脂肪」

2021年03月01日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿
二〇二一年 三月   行天 豊雄

 バイデン政権発足一ヶ月で早速内外の難問に悪戦苦闘している。そのうちの一つが民主党の選挙公約である最低賃金の引き上げである。
 米国の連邦最低賃金は十一年前から一時間七ドル二五セントで変わっていない。民主党は左派のサンダース議員などを中心に、経済格差を解消し、貧困層をなくすためには、最低賃金の引上げが必要であると強く主張してきた。バイデン大統領も左派の支持を取込むためにこれに同調し、当選すれば「二〇二五年迄に、段階的に、現在の時給七ドル二五セントを十五ドルに引き上げる」ことを公約した。
 そして目下上院で審議中の一兆九千億ドルのコロナ対策経済措置法案にこの引上げ条項を挿入したのである。
 ここ迄の話だとそれ程大騒ぎをするようなことではないとも思えるが、実際にはこの最低賃金引上げには非常に根強い反対が今でも続いているのである。
 反対論は二つある。一つは、最低賃金を引上げると雇用が減るという議論である。賃金コストが上がると、経営力の弱い中小企業はパートタイマーとか、黒人や女性の雇用を減らそうとするから、結果はむしろ反社会主義的だという。議会予算局の指針だとこの引上げで一四〇万人は職を失うが、一七〇〇万人は賃上げの恩恵を受け、九〇万人が貧困層を抜け出すだろうという。要するにプラス・マイナスがあるということだ。
 もう一つの反対は、そもそも政府が私企業の賃金に介入するのはおかしいではないかという議論である。経営者は、コロナがあろうとあるまいと、自社の収益力とさまざまなステークホルダーとの関係の中で賃金コストの適不適を判断せねばならない。政府の介入は無用である。
 最低賃金引上げをめぐる議論がたけなわであった二月十八日に世界最大の雇用者である小売販売のウォルマート(社員数米国で一五〇万人、その他世界で二二〇万人)がオンライン受注部門の約四〇万人の時給を現在の十四ドルから十五ドル以上に引上げると発表した。コロナの結果業容が拡大している他企業にも波及するだろうと予想されている。
 米国は初動の失敗でコロナの感染者数も死者数も多かった。しかし経済への被害という面では先進国中一番軽微であったし、今年以降の回復も一番早いと思われる。そしてその原因は家計消費の強さなのである。
 変化する需要に素早く対応できる企業が沢山あること、可処分所得の増加が常に大きな社会的関心の的であること。こういう社会には自然と危機に対する抵抗力が自然と蓄積されるのである。危機が起こった時にそれにどう対応するかの巧拙の違いが重要であるのは当然だが、より大事なのはその経済が打撃を受け止める余力をどれだけ持っているかである。
 トランプ時代からの米国経済を見ていると、やはりこの国は昔から貯め込んだ脂肪の層がかなり厚いなと思わざるを得ない。それに比べると日本は「失われた三十年」の間にずいぶん基礎体力がなくなってしまったようで、心配である。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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