スーパーSQを控え、相変わらず小幅レンジでのドル高・ドル安が続いています。「モノの消費」をベースとした経済指標の上下ではよほどのサプライズな数字が出ない限り、為替や株式のボラテイリティには小幅の影響力にしかならないのは致し方のないところです。
もっと別の切り口から予想もしなかったニュースが飛びだすと、その意外性によって大きなボラテイリティが生み出されるわけですが、そうした事態に身構えておくのに有効な注目すべきニュースが中国の年に一度の国会、全人代(3月16日まで)から拾えそうです。
全人代は10月の共産党大会に次ぐ中国の重要会議ですが、経済成長が鈍化している同国の今後についてはわが国の1990年代で体験したとおり、構造改革が必務と見られます。
毎日新聞が伝えるところによると
(出所 http://www.sankei.com/world/news/160305/wor1603050053-n1.html)
習近平政権が初めて独自策定した中国の新たな中期経済政策「第13次5カ年計画(2016~20年)」では、年平均6・5%以上の安定成長を維持しながら、国有企業の統廃合、人員整理など、構造改革を断行する「新常態(ニューノーマル)」を宣言したとのことです。
わが国でも1990年代に構造改革に付随するリストラで多くの人々が痛みを伴う影響を受けましたが、日本国民は暴動に走ることなく、粛々と改革が進められました。
しかし、中国で、ゾンビ企業への国家融資の禁止や過剰生産性の改革、リストラが国民の激しい抵抗なく進められるかどうかは未知数です。
仮に思いがけない事態となった場合、「アラブの春」の中国版というような展開になるかも知れず、それが6月23日のイギリスのeu離脱を問う国民選挙の周辺問題としてのスコットランド独立問題と相乗した場合、どうなるだろうか、と為替のストラテジーの見地から検討してみる必要があると思います。
6月といえば内閣支持率低迷傾向がでてきた安倍総理にとっても正念場です。日米同盟強化でアメリカと連携してきたアベノミクスもアメリカ大統領選挙を迎えた今年はそろそろ賞味期限が来たのではないかと思います。
このまま手をこまねいていると7月の参議院選挙での票にも響いてきそうです。
かつて、なぜか急いだ尖閣諸島国有化の後、あっという間に総理の座から去ることになった野田佳彦氏の二の舞を安倍氏が踏まないとは限りません。日米同盟強化を思うあまり、強引に改憲や消費増税などを急ぐと、第二の野田氏現象になるリスクがあるでしょう。
その風を読んでいるのか最近の安倍首相は沖縄問題に迅速に対応し、消費増税にも柔軟性を感じさせる姿勢をとり始めています。
背景にはアメリカ大統領選挙の動向があるのだろうと推測します。
もしも、椿事があるとすれば参議院選挙票読みに影響しそうな4月ごろかと思います。中国・全人代での課題に根ざしたものなのか、その中身まではわかりませんが、為替水準が凪いでいる今こそ、来るべき大変動に備えたシュミレーションと堅実なストラテジーの構築が望まれます。
いつレンジが大きく変わるかはわかりません。113~114円での凪ぎ相場に慣れすぎるのは用心したいですね。
さて、今週の為替レンジを以下のように推測してみました。ご参考になれば幸いです。
●ドル円
上値抵抗115.162
均衡113.320~113.525
下値支持112.229
●ユーロ円
上値抵抗125.197
均衡124.603
下値支持121.080
●豪ドル円
上値抵抗86.994
均衡83.516~84.482
下値支持82.000