巧みにメディア戦略を駆使して争点をぼかした形での参議院選挙で自民党与党の勝利となり、この勢いに乗って近い将来、安倍首相が衆議院選挙にも打って出る可能性も出てきました。「勢い」がしおれないうちに結党以来の改憲問題をクリアしたいというのが安倍首相サイドの本音かと思います。
若い世代は自民党支持が多く、シニア層には自民懐疑派が多いとも言われますが、若い有権者には自民党が一番わかりやすいのかもしれませんね。
次は都知事選挙です。自公が推薦する増田寛也氏と野党連合が推薦する鳥越俊太郎氏の得票がどの程度になるか、今後の政権運営には見ておきたい点でしょう。
増田氏は自民党長老の森・元総理の薫陶よろしき人物とされ、鳥越氏はアンチ自民党のの受け皿になるとみられます。バランス感覚として参議院選挙であれだけ与党が躍進したのなら、都知事は非・自民という選択肢も考えられるため、バランス感覚をと望む人たちには予断は許さぬ状況といえます。
さて、為替・株ともブレグジット後から参議院選挙前のあの荒れ方は何だったのかといううような流れが続いています。
マーケットトレンドの主導権を握っているのは人工知能を駆使したヘッジファンドと言われます。参議院選挙を無事乗り越えたご褒美とも映る円安、株高ですが、個人投資家の中にはこの流れに乗り切れていない人も多いとみられます。
ちなみにお化け屋敷の仕掛け人がテレビ出演されていましたが、「怖い、怖い、怖い」の3段階を踏んで、出し物を出すと人は勝手に恐怖する、というような種明かしをされていました。
ブレグジット後~参議院選挙がボラテイリテイを大きくした第一段階とすると、今の円安、株高に慢心せずに次の恐怖の仕掛けに思いをはせ、心の準備をしておくのもリスク管理からは重要です。
次といえばフィリピンと中国の南シナ海での対立やブラジル経済、イタリアの国民投票、そして11月の大統領選挙、合間のFOMCでしょうか。
南シナ海は重要なシーレーンですから、ここでいさかいごとが起こると原油、金価格に影響があるほか輸入大国・日本にとっては一大困窮事になります。そうした事態が折からの改憲問題に影響を与える可能性があるかもしれません。
FOMCの金利引き上げは遠のいたとする意見が大勢を占めますが、その「虚」をつかれる心配もしておかなくてはなりません。
リスクオン中、「慢心」し、一気に顕在化するリスクオフ状況への大転換で資産を吸い取られる形になるのは残念すぎます。よって、リスクオンの市場動向をここはシニカルに見て、距離をおくぐらいが望ましいのではないでしょうか。
FRB元議長のバーナンキ氏が日銀黒田氏、安倍首相と会談したことからヘリコプタマネー実施の現実味も増す今日この頃。
実際にヘリコプターマネー政策が実施されれば、少子高齢化というデフレ構造を解消できないまま悪いインフレが日本を襲い、為替の水準は大変なことになる、とは、あふれんばかりの聴衆の前で著名エコノミストらが懸念を表明している事柄です。
ドル建て商品の一つである金価格が上昇、高止まりしている点からも、気になる円の先行き。人工知能がかく乱する目先の為替相場は読みにくいのひと言につきますが、今週のチャート分析による為替見通しは以下の通りです。
チャート形状からは ユーロと豪ドルのボラテイリテイが非常に高まっていて何を示唆しているのか気になるところです。
●ドル円
上値抵抗105.460
均衡102.886
下値支持101.309
●ユーロ円
上値抵抗119.279
均衡114.497
下値支持107.913
●豪ドル円
上値抵抗81.928
均衡76.734
下値支持72.884