数日前、NYダウ工業株30種平均株価の急落を受けて、日経平均株価もぐらつきましたが、今年は天候や自然現象に限らず、マーケットや世相も振れ幅が大きいものになりそうですね。
1月26日、ニューヨークダウは高値26616.71から2月6日にザラバ安値23778.74まで下落。3000ドル近く下にブレたわけですが、日足で見ると翌日は陽線で戻し、その翌日はクロス(寄りと引けは変わらず)という展開になっています。
しかし日本では陰線が4日続けて出て、戻りは鈍く、この動きから推定すると2カ月程度、調整する可能性もあるかと思います。
背景としては高値利確のタイミングを見ていた投資家が、アメリカの強すぎる経済指標による利上げ促進懸念やイエレンFRB議長の任期満了による今後の見極め、といった点からの利確行動が急落を引き起こしたと見るのも一つ。
が、数日前からVIX指数連動型のETFに動き出ていたので、多分に人工知能の指し手による波乱、さらにアルゴリズムによる増幅など、「ソフトウエア絡み」、いわば人工的な市場展開であったといえるかと思います。
今回、見たような値振れ、今後も再々起こると思いますので、リスク管理は怠れません。
「一体どうやって? 」という点を考えてみましょう。
人工知能、アルゴリズムは人間の認知能力の間隙をついてきます。
急落が起こる前の状況を思い起こすと
・過度な楽観論が蔓延していた
・専門家の多くが同じような楽観論に寄っていた
ことが思い出されます。
上記の傾向から
・異端を言える空気が減少
・投資家の多くは恐ろしく儲かっており、含み益を眺めて弛緩していた(油断発生)
人工知能はこうした状況を作って、「逆」を指してくるわけです。
したがって、今後も、
不思議なくらい楽観が蔓延し、異端意見が見られなくなり、幸せなトレンドや均衡がこの先もずっと続くかのような状況に陥った時が危ない、といえます。
「では、今はどういう状況なのか」ですが「懐疑期間」ではないでしょうか。
臆病風に吹かされて、戻れば売り、戻れば売りしているうちに市場はトレンド転換し、また、「心配しているほうがおかしい」という楽観論に引きずり込まれていくのです。
「人のうわさも75日」という程度の日柄が必要なので、今は懐疑期間だと思うわけです。
このセオリーは為替にも使えそうです。目下、110円方向に戻りそうで戻らない、かといって108円から下に突っ切るのかというとそれもない。
しかし、こうした「小動き」もどこかで、ズバーンと上か下に突っ切ると思われます。
そのきっかけが株式市場発なのか、平昌オリンピックをきっかけとした各国首脳の顔合わせ等、国際問題発なのか、あるいは各地で頻発する自然災害発なのかはわかりません。
が、株式の次は為替かもしれない、との注意はしておきたいですね。
トランプ大統領は軍事パレードの実施を指示。それに対し、民主党は「まるで北朝鮮みたいだ」と反発しているそうですが、「我慢の外交でアジアでの地歩を後退させたオバマとは違う路線」を行くトランプ氏の意図は国威の向上にもあると推察します。
ちなみに金価格は現在のところ、有事を示唆していません。かといって、平和そうだから為替変動が平板とはいえない難しさがあります。人間の「うっかり」に乗じて突いてくる人工知能の仕掛けに油断せず、くれぐれも気を付けたいものだと思います。
今週の為替予想レンジは以下の通りです。
●ドル円
上値抵抗110.337
均衡109.689
下値支持108.446
●ユーロ円
上値抵抗 136.048
均衡135.304
下値支持133.073
●豪ドル円
上値抵抗86.172
均衡85.275
下値支持84.132
※当コラムは毎週木曜日の更新です(木曜日が祝日の場合は休載となります)。
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プロフィール
木村佳子(きむらよしこ)
・経済評論家 (専門分野)個人投資家向けの資産運用、投資情報分析。 ・日本IRプランナーズ協会CIRP(同協会 理事) ・日本ファイナンシャルプランナーズ協会上級資格/CFP取得/ ・国家資格/一級FP技能士 ・国際テクニカルアナリスト連盟認定MFTA ラジオ日経社において個人投資家向け経済情報番組のキャスターを担当。現在、経済アナリスト、資産運用アドバイザー、評論家として活躍。経済誌、マネー雑誌等で執筆機会が多く、国内外で講演。公的機関、大学などで講師も務める。多摩大学大学院経営情報学研究科博士課程前期終了・経営情報学修士MBA。2015年、早稲田大学大学院フアイナンス研究科修了(学位/専門職MBA/フアイナンス修士)。 【公式HP:木村佳子のマネープラン※当社管理外のサイトに遷移します】
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