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第179回 ~円安へのアノマリー~

2016年01月06日

 円安派にとっては、新年からきつい洗礼を浴びた思いである。しかし過去2年、1月は円高となっている。その流れに従えば当然の動きとも言える。過去4年の12月(前年)、1月、2月の円相場(月足)高安推移(各月の寄り付きと引け値の比較)は以下の通りである。


 12月(前年)  →  1月  →  2月
 2012年  円高  →  円高  →  円安
 2013年  円安(*)  →  円安  →  円安
 2014年  円安  →  円高  →  円高
 2015年  円安  →  円高  →  円安
 2016年  円高  →  ?  →  ?

(*) 安倍政権誕生

 2012年12月に安倍首相が誕生して以来、2013年から2015年までの3年間は12月(前年)は円安だった。アベノミクスが始まって以来、路線は円安、基本は12月まで円安ポジションを維持して越年する流れが続いていたからだ。しかし年をまたいだ翌月(1月)は、過去2年、その反動で主要変動要因である米景気指標の停滞などを背景に、一旦の持ち高調整が入り円高に転換した。

 しかし昨年(2015年12月)は初めて円高となった。その理由として、日米金利差、日本の再緩和期待などこれまで円安を生み出していた要因の賞味期限が近づいてきたとの見方が増えたからである。市場にはそれまでと違った流れが意識され始めた。新年の株式市場では昨年末のNY市場の大幅安を引き継いだうえ、上海市場でサーキットブレーカーが発動され、中東からサウジのイラン断交の発表など、きな臭いニュースが伝わってきた。そして、北朝鮮の核実験(水素爆弾)のニュースである。一気にリスクオフモード全開となった。

 過去の相場方向を新しいアノマリーとみれば、今年は、2012年の再来(1月円高)か、過去2年の流れ(1月は12月の逆方向)を引き継ぐか、注目される。その大きなポイントの第一弾が今週末に来る。米国の雇用統計である。改めて過去の発表月(前月の雇用者数、単位:千人)を調べると、以下の通りである。


 発表月  12月(前年)  1月  2月
 2012年  146  226  380
 2013年  164  293  205
 2014年  317  109  166
 2015年  423  329  201
 2016年  211  *

*1月8日発表 予想:200

 個人的には、200千人を大きく(例えば250千人以上)超えてくれば、ドル安に歯止めがかかり、1月(寄り付き120.20円)の円安の可能性が出てくるが、200千人を割るようなことがあれば、しばらく120円は遠くなるほどのインパクトが出てくると予想している。

 為替市場は、典型的なリスクオフ相場でドル高、円高となっている。この方向が変わるには、どちらにしてもより大きな材料が出てこない限り実現しないと見たほうがよさそうだ。それは、短期的には大幅な雇用者数増加だが、日銀の大幅な再緩和、原油価格の上昇、中国景気の底打ちから回復基調への転換、中東問題の平和的解決などより長期的世界的な観点が目白押しだ。どれも早急に解決することが期待しにくい課題である。まずは米国景気(下表参照)が順調に回復していくことが前提条件になる。

 今後1週間の相場レンジとして、ドル円は117.50~119.50円、ユーロは対ドルでは、1.06~1.0850、対円では126.00~128.00と予想している。


(2016/1/6、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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