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第182回 ~時間がかかる複雑骨折完治~

2016年02月03日

 まさに黒田流。先週末の金融緩和第3弾の発表は、市場を驚かせ、羅針盤のない航海に就航するドラ(合図)となった。スタートではマイナス金利適用は限定的となる可能性が高いが、重要な点は、その低下幅に理論的には限界のないことである。日銀は限界説が出ていた量的緩和だけでなく、金利調節と言う質的緩和の手段を手に入れたことになり、これこそ本当に「異次元の新金融調節」と言える。


 今現在119円台の円高水準に戻しているが、少なくとも発表当日のNY市場で121円台で終えたことで、世界的に評価されたと判断している。昨晩からの円高は、その評価が落ちたと言うより、原油低下と米国金利低下が主な要因と考えている。この点については後半で記すが、その前に、なぜ評価が落ちていないかについて筆者の考え方を述べたい。


 その理由は、一言で言えば、まさに「逆ボルカ―ショック」。今回の政策は日銀の一時しのぎでなく、大きな金融政策の変更だということである。ボルカ―議長が引き締め政策を、金利でなくマネーサプライの量的管理に換えたことに対し、黒田総裁は緩和政策に金利政策を加えたという点である。


 そのボルカ―ショックであるが、1979年8月、FRB議長に就任したポール・ボルカ―氏(Paul Volcker Jr. 議長在任期間は1979/8/6~197/8/11)が金融政策を変更したため、フェッドファンド(FF)金利が未曾有の水準に高騰したことがそのゆえんである。


 金利の制限を外したことで、それまで11%台であったFF金利は一気に20%に達し、1981年7月にはFF金利は22.36%(最高値)まで上昇した。この政策を3年間続けたが、その結果、米景気は悪化したものの、オイルショック等で陥っていたスタグフレーションを退治、ボルカ―氏の大きな功績となった。


 この経験を敷えんすれば、今回の政策変更の効果が出るには、相当期間待たなければならない。今日の円高進行が新しい政策の評価が否定されたとは言えない理由がそこにある。


 ところで、現在のドル円変動要因はまさに複雑骨折の様相である。原油、中国、米国等の重要事項の発表に対しては、ヘッドラインだけでは悪材料か好材料か、単純に考えられなくなってきた。中央銀行の政策決定会合や雇用統計に対しても、以前なら教科書通りに相場が動いていたのが、一方向に動かなくなってきたことも市場の変質と言える。1月の米雇用統計が29.2万人という予想以上に強う数字が出たにも拘わらず、ドルが売られたことがその例だ。後で細かい内容を分析した結果、賃金が上がっていないという事実がドル売りの理由になったことでもその複雑さが分かる。


 米国利上げ問題の他、原油価格の低下により産油国の資金繰り悪化で世界的な株売りが進んでいることなど、一つの要因が他の要因と複雑に絡み合って、その時々の需給関係で相場の方向性が出ている状態であることを認識していかなければならない。


 骨折の治療は、完治まで時間がかかる。一日一日単位でなく、週、月単位で考えると言う。このような乱高下の激しい状態が落ちつくまでには、相当時間がかかると覚悟した方がよい。しかしこんな時だからこそ、市場に居続ける(すなわち少額でも売買を繰り返しポジションを持ち続ける)ことによって、流れを捕まえることができるのである。レンジを決め、売買を繰り返し、それが破れたときに新たな方向が出たか、新たなレンジに移行したか考える手法だ。個人的には「2/8理論」が有効と活用している。


 今週金曜日には、米雇用統計が発表になる。予想は19万人。今後1週間の相場レンジとして、ドル円は118.80-120.50円、ユーロは対ドルでは、1.0800-1.1020、対円では129.00-132.00と予想している。

(2016/2/3、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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