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第183回 ~構造変化の懸念にシフトしてきたリスクオフ相場~

2016年02月10日

 さて、今日のイエレン議長は何を言うか。現地時間の午前10時(日本時間深夜0時)から米下院金融サービス委員会(明日は上院銀行委員会)で、半年に一回の議会証言が行われる。その内容と市場の反応の行方を考えてみた。


 今はどんな材料でもドル売り・株売りにしてしまう一方通行の市場である。イエレン氏はこの状況をよく認識していると考えられるので、利上げペースを「変更する」とか、「換えるつもりがない」など、どちらか一方を示唆するような発言にはならないと予想している。

 言葉としては、どちらのケースももありうるが、「まだ決定する段階ではない。3月のFOMC直前までは、今後の市場動向と、世界の経済状況を注視していく。それまでは判断を保留する」と言うようなものになるのではないか。


 中申される利上げについての選択肢としては、1)利上げ回数を削減、2)利上げペースは変更なしで、年4回を維持、となる。しかし、1)なら→金利低下のドル売り、2)でも→金利上昇→株下落→ドル売りと、そのどちらでも、ドル売りに結びつく可能性が大きい。


 結果として、もう一段のドル売り円買いが発生すると考えられる。しかしその場面こそセリングクライマックスとなり、今回にドル暴落の最終局面になると予想している。その時のドルの安値は112.50円と計算している。昨年8月のドル急落時(128.28→115.90)は約2週間で約7.5%だったが、今回は下落は121.69(1/29)から114.18(2/9)までの下落率は約6.2%、前回同様の下落率とすると、ドル円は112.58円となり、1年3か月前のドル安値112.57円とほぼ一致する。しかしそれを抜けると、一気に107円台まで下落する可能性もある。


 今の市場は、何を言っても、ドル売りの力に対抗する術はない。先週の予想は全くの的外れになってしまったが、まさにバンドワゴンに乗り遅れるなの言葉で、売り回転が効く市場センチメントになっている。しかしその下げ局面は、終盤に近付いているように見える。


 しかし、それで120円方向に戻っていくかと言うと、それは簡単な話ではない。相場の材料が、数字を見た短視眼的な要因から、マイナス金利が金融システムに影響をもたらすことで、世界経済に、より根の深い問題となるとの見方に変化してきたからである。


 これまでは、原油価格そのものや、中国の経済指標の結果をみて動いていた。しかしその段階から、原油価格下落が世界経済に及ぼす悪影響、世界的に拡大してきたマイナス金利の弊害、中国経済の減退や人民元の下落が引き起こす資本移動の影響など、より構造的問題を懸念して資金移動を行う段階にシフトしてきた。


 特に、欧州の金融界の信用力の低下が著しい。また中央銀行の金融政策もZIRP(ゼロ金利政策)からNIRP(ネガティブ=マイナス金利政策)に変化してきたことで、マイナス金利が消費者の消費意欲の低下が進むとの懸念も増えてきた。


 一方、原油価格の低下により、米国のシェールガスの採算悪化、操業中止が広がってきた。毎週発表になる全米リグ本数も7週連続して減少、最新(2/5)統計では、467基(前週比31基減)と過去最低を記録した(2015年末は536基、1年前は1,140基、米国石油調査会社Baker Hughes社調べ)。このように企業業績の悪化→株安→リスクオフの高まりが、株売り、ドル売り・円買いを加速してきたと言える。


 今後1週間の相場レンジとして、ドル円は112.50-115.80円、ユーロは対ドルでは、1.1050-1.1350、対円では128.00-131.00と予想している。

(2016/2/10、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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