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第184回 ~次の鍵はドラギ~

2016年02月17日

 ドル円相場の方向性を決めているのは市場の風、と言っても良いほど、安定感のない相場展開が続いている。短期的に見れば、110.94円(2/11)が、日銀のマイナス金利発表後の高値(121.69円)から始まったドル急落時の底値である。約10日間で、10.75円(8.8%)下落した。


 瞬間111円割れまでドル売りを加速させた張本人はイエレンFRB議長であった。ドル売りの材料を探していた参加者にとって、議会証言は格好の理由となった。発言内容はどっちでもよかった。先週述べた通り、どちらにしてもドル売りの理由になる。まさにその通りになった。


 では、はたして先週の110円台は本当に底値か、それとも次の底値をさぐる、一番底なのか。筆者の予想を言えば、110円台は今年中は二度と来ない水準と考えている。


 確かにディーラーの感覚で言えば、ドル売り材料には素直に反応する市場であり、レンジを決めて売り回転で取引すれば利益が出る相場である。たとえドル買い材料が出ても上昇したところで売り浴びせ、レンジの上限に近付いたところで売ればよい。


 そのレンジは、今は広く言えば111~115円、狭めれば112.50~114.50円と考えている。しかし問題は、この期間がいつまで続くかである。前述のように過去10日間の大幅な値動きを見れば、いつ何時、レンジが115~120円に変わるかもしれない。この変化を読み解くカギは、やはり政治、中央銀行の動向と考えている。


 その第一弾は、日銀のマイナス金利の評価、次にECBの具体的な緩和政策、FOMCの利上げの有無、そして奥の手は介入政策である。ここに筆者の110円台は二度と来ない根拠がある。


 まずマイナス金利の為替に対する影響であるが、たとえば2015年初頭のスイス銀行のマイナス金利導入後の動きである。2015年1月15日、スイスフラン相場(1ユーロ=1.20フラン)の上限撤廃と同時に、中銀に預ける要求払い預金の一定額を超える残高に適用する金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%に拡大した。スイスフランへの過度な資金流入を防ぐためにスイスフラン投資に対する罰則金利と言えるような金利政策を導入した。


 それでも直後に、スイスフラン相場は上昇(1ドル=1.02から0.716フランまで)した。しかしその後スイスフランは徐々に売られ、1か月半後には1.012まで下落した。日銀とは同じように比較はできないが、日銀が今後マイナス幅を拡大するような動きが出れば、円安は進展していく可能がある。


 その大きなカギを握るのが、3月10日に予定されているECBの政策決定会合である。マイナス幅の拡大を決めることになれば、日銀も追随しやすい。一方米国FRBにとっても、利上げをしなくても、金利差が拡大すれば、実質利上げと同じ効果とみなされる。ドラギ総裁は、3月の会合で新たな緩和策導入を示唆している。


 来週末(26~27、上海)末のG20財務省・中央銀行会議には、船頭多くして・・となるので、大きな政策決定は行われないと考えている。そこで、為替相場を決定づける次のイベントは3月の欧、日、米の中央銀行政策決定となろう。それまではレンジ相場で波に乗っていきたい。


 今後1週間の相場レンジとして、ドル円は113.00-115.00円、ユーロは対ドルでは、1.0950-1.1250、対円では125.50-128.00と予想している。

(2016/2/17、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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