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第185回 ~恐怖からの脱却=米GDPナウに注目~

2016年02月24日

 「危険を察した時は、損得は二の次。まず生き残ることが大事」。


今の金融市場はこの言葉で動いている。これはヘッジファンドの神様とも言われた、ソロス氏の言葉でもある。その根底にあるのは先行きが見えないという「恐怖」だ。ほとんどの市場参加者は、2008年に起こったリーマンショックの悪夢を、実際経験したか、あるいは最悪の事態はこのようになるのだ、と頭に刻み込んでいるはずだ。


今年の年初から、市場は、まさにこのリーマンショックという忌まわしい過去の再来を恐れ、最悪を回避するために動いている。この現象は「リスクオフ」という言葉でまとめられているが、これは「行動」と「心理」を表す言葉でもある。しかし問題はこの動きが「伝播、伝染」していくことであり、かつその速度、範囲が、リーマンショック時に比べて、格段と高まっていることである。


またその震度がはっきりしないことがその恐怖を高めている。産油国をはじめとするソブリン・ウエルス・ファンド(SWF、国家投資資金)が、原油価格の低下を補てんするために、保有資産の売却を進めていることは周知の事実だが、その総資金は約7.1兆ドル(2015/12末、SWFインスティチュート推定)。株式運用分の内、これまでどのくらいの金額が売却され、今後どの程度増加されていくかはっきりとつかめないことが、市場に疑心暗鬼を深めている。やはり株価の下落が止まらないうちは買い進めていけないという心理が市場を覆っている。


しかし、一方で売却の影響度も小さくなっているのではないかの推測もでてきた。たとえばクウート投資会社(Kuwait Investment Authority,資産5,920億ドル、2015年末推定)では、昨年10月から既にその流れが始まっていることが明らかになっており、原油価格が安定から上昇に転じれば、売却の動きも縮小すると予想できる。


そこで次の要因は何か?やはり、個人的には、アメリカの成長性の確認が大きな要因となり、その意味で米国の金融政策、景気動向が重要となる。この点で、米国の長期投資家で注目され始めているのが、GDPナウ(*)である。

(「*」、https://www.frbatlanta.org/cqer/research/gdpnow.aspx?panel=1


これは米アトランタ連銀が定期的に発表している、現在時点で計算されるGDP成長率予想数字である。経済指標が発表されるたびに、GDPの構成割合を修正し、当該期(現在で言えば2016年第1四半期)のGDP成長率をアップデイトして発表している。


最新データでは、2月17日に発表された「住宅着工」と「鉱工業生産」を加味して、2016年第1四半期のGDPを予測すると年率2.6%になるという。2月1日計算の1.2%から、雇用統計発表時(2月5日)に2.2%に引き上げられ、それが2.6%に拡大(2/12の2.7%からは低下)している(最終的に正式に発表されるのは4月後半)。


今後発表される、米経済指標を注目していきたい。この数字が続くようであれば、3月のFOMCで再利上げがなされ、ドル高再燃の見方が出てくる。

今後1週間の相場レンジとして、ドル円は111.00-113.00円、ユーロは対ドルでは、1.0800-1.1100、対円では121.00-123.50と予想している。


(2016/2/24、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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