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第188回 ~イエレン議長の胸の内~

2016年03月16日

 ドル円相場はどっぷりと112-114円のレンジ相場に浸かっているが、2月10日を高値(115.22円)に、翌日を安値(今年最安値:110.94円)として、日足のプライスアクションを見ると、その幅は徐々に縮小していることが分かる。いわば三角持合いが収束に近付いている形だ。


 今夜のFOMCは、3月10日から続いている中央銀行シリーズの最後だが、まさに大物の登場だ。市場のコンセンサスは政策変更なし。しかし3か月ごとに発表となる経済見通しの内容と、イエレン議長の記者会見の発言には、注意を要する。ポイントは、現在の世界経済と米国経済にどのような評価を与えるか、そして今後の利上げスケジュールを示唆する発言が出るかである。


 米国経済について、筆者の見方はこうだ。実は3月初めに、フェドウォッチャーとして神がかり的な著名人の見方を直接聞いたことにヒントがある。その人は、米経済誌ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記者、ヒルゼンラース(Jon Hilsenrath)氏だ。


 3月初めに同氏は、WSJのイベントで日本に来て東京支局長との対談を行った。その内容は既にマスコミを通じて報道されているので、改めて紹介はしないが、対談後に直接会話した中に重要な言葉があった。


 それは「あなたは、今の米国景気を一言で表すとどう表現するか? また1年後の米国景気を予想すると、どのような表現になるか?」を聞いた時のこと。これは、筆者がミーティングをするとき、いつも聞く質問である。特に海外出張などで、すべての人に聞くので、比較分析して包括的に判断でき、とても効果的だったので同じ形で質問してみた。


 このときの彼の答えは、”So So”であった。そして“Not bad, but not great!”と付け加えた。米国経済を肌身に感じ、政策当局者との頻繁に会話している当事者の言葉である。深読みすれば、FOMCメンバーが、米経済の成長路線に自信が持てず、利上げに慎重な様子であることがうかがえた。


 しかし、逆説的に考えると、発表される経済指標が、予想より評価できる数字が出た場合は、米経済への見方が改善され、利上げペースは市場が思うより強めに出る可能性が高いのではないかと考えた。最近の状況を見ると、ヘッドライン(最初のことば)で表れるより、内容な悪くないことが分かる。


 例えば先週発表になった雇用統計の一つ、「新規失業保険申請件数」。これは週報であり、より最新の動向が分かる。結果は259,000人(4週間平均267,500人)と、予想外の減少であった。2009年から毎年減少を続けているが、今年もその勢いは変わらない。その上、雇用者数との割合では0.17%と記録のある1967年以降最低水準となった。


 また昨日発表のあった小売売上高も、ヘッラインは“-0.1%(前月比)”と、失望感が出たが、内容は決して悪くないことが分かってきた。予想(-0.3%)より小さく、かつ前年比では+3.1%(前月+3.4%)と伸びているからだ。理由は、前月比-4.4%(前年同月比-15.6%)と大きく減ったガソリン販売の減少であり、重要視されるコアの小売販売は、前月比+0.1%(前年同月比では+3.5%)と、前月(+0.4%)より減少しているが、依然としてプラス圏である。


 筆者のFOMCの予想は、今回は利上げはない、ただしドットチャート(メンバー一人一人の予想)では、平均2.5回の利上げで、2016年末1.125%になる、である。また政策金利を現行の0.25-0.50%のレンジから、過去の方式である1本金利の0.5%にする可能性もあると考えている。


 そこで、今後1週間のドル円の相場レンジは、三角持合いを抜けて113.00-115.00円と予想。ユーロは対ドルでは、1.0850-1.1150、対円では124.50-127.00と予想している。

(2016/3/16、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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