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第192回 ~狩猟民族主義ディールは一休み~

2016年04月13日

※マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、今週の更新は21日(木)の予定となります。


 先週初は107円台までドルが売られるとは予想もしなかった。しかしその売られ方がこれまでと様相が異なってきたように見えたことで、今回の円高局面は終盤に近づいてきたと考えている。「いつまでもあると思うな円高相場」である。


 その理由の一つは、先週末の動きが株高、原油高での円買いとなったことである。無理やりにドル円の下値をつけさせようとする動きで、筆者には非常に違和感を感じた。そのきっかけは、安倍首相のウオール・ストリート・ジャーナル紙のインタビュー記事にあることは明らか。投機筋に、「これで介入はなくなった。どこまでいけるか試してみたい」との姿勢に火をつけたのである。


 これこそ、これまで筆者が何度も見てきた景色と同じ。それは、狩猟民族主義ディールと言う投機筋の最も得意とする戦略である。筆者の長いディーリング経験で、東京市場と欧米市場の相場展開には、明確な違いを見出すことができる。東京は農耕民族主義ディール、欧米は狩猟民族主義ディールである。農耕ディールとは、あるポイントに来るのを待ち構える逆張り防御型ディールであり、狩猟ディールとは、獲物を捕まえるまで追いかける順張り攻撃型ディールである。


 その投機筋の目は、105円~106円に向かっており、まずは105円を試す動きが出ると見られている。当面の相場として、フィボナッチ指数(ドル最安値75.32円と直近高値125.86円の0.382戻し)の106.55円が来て、次に200月移動平均線の105.70円近辺、アベノミクスが始まって円安に上昇した時の足踏み水準となった105円前半、そして節目の105円となる。それを割り込むと、途中に2/8ルールの102円があるが、大きくは前記フィボナッチの半値となる100.59円まで一気に行く可能性がある。


 話が戻って、無秩序に乱高下を繰り返す相場展開は、明らかに投機的であり、通貨当局が最も嫌う局面である。特に4月に入っての円高の勢いは、ドル安でなく円買いと言え、日本の立場として介入の支持を得やすくなっているのではないか。今週のワシントンのG20では、通貨安競争回避とともに、市場安定化について当然話し合われるものと読んでいる。すなわち、今後急激な円高が進んだ場合は介入はありうるとの見方である。


 また、チャート的にも円高一服が見える。今週月曜日まで7営業日連続陰線(ドル安円高)であり、円安に転換するシグナルが出ていた。今年に入って、円高日数は9日間(121.44円から110.94まで円高となった2/1から2/11まで)の記録があるが、それについでの長さである。今回はもう一つ107.68円(4/7)と107.60円(4/11)と週末を挟んで日足で二番底をつけたこともポイントとなっている。それに原油価格上昇を背景に、世界的に株高になったことを受けて、今日は6日ぶりに109円台まで円安となった。


 今週からG20(4/14-15 ワシントン)、産油国協議(4/17)、中央銀行政策決定会合(ECB 4/21; FOMC 4/26-27 ; BOJ 4/27-28)と政治関係の重要なイベントが続く。しばらくは大きなポジションテイクの動きに出にくいものと思われる。


 今後1週間のドル円の相場レンジは、108.50-110.50円と予想。ユーロは対ドルでは、1.1180-1.1380、対円では122.50-124.50と予想している。

(2016/4/13、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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