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第202回 ~リーマンの再来に備えよ~

2016年06月29日

世界中が驚いた英国民の決断から数日経過して、市場はすこし落ち着きを取り戻しているようだ。確かに、離脱が効力を得るのは英国政府がEUに離脱申請してから2年後以降であり、今現在、英国とEUの関係は変わらないことを改めて認識したことで、買い戻しが出ているからかもしれない。


この背景として考えられることは、いつだれが、離脱を申請するか明確でないことである。離脱投票者から、反省の投稿が続出していることや、再投票への請願が400万人近くもなされているなど新たな展開も期待される事態も出ている。さらに不透明感を高めているのは、2020年まで離脱の通知はなされないもしれないとの見方がでてきたことだ。


それは、イ)離脱の決定に法的拘束力を付けるために新たに法律を作らなければならないが、審議する下院は、残留派が多数であり、可決が簡単でないと予想されること。ロ)下院の総選挙は特に変更なければ2020年5月(予定)であり、それまでは現在の力関係が続くこと、である。


一方で、ハ)キャメロン首相が辞任し、新首相が就任することで事態が変化することも考えられるが、新首相がEUとの交渉において、満足する協定が結べるかどうか確信が持てるまで離脱申請をしないこともありうる。(この点を先読みしてEU首脳会議で事前交渉は一切しないと、英国のチェリーピッキングを強くけん制している)


また、ニ)英国では次期首相を選ぶ日程も明らかになったが、やはり残留が望ましいという世論が沸き上がれば、キャメロンの再登場ということもありうる、ことも考えられる。


しかし、一方で、リーマンショックのようにならないとの見方もあるが、そう決めつけるには早すぎるのでないかと警戒感をゆるめていないことも注意していかなければならない点だ。離脱が決まったことで、世界は大きく変わる可能性があることも事実だ。何よりも、これまではEUへの参加案件ばかりであり、離脱は初めて、まさに未知の領域に飛び込んでしまったからだ。


リーマンショック時の相場展開をみても、今後落ち着くと安心することはできないとわかる。リーマンショック時は、株式市場では半年以上も下落を続けているからだ。米S&Pは、発生前の水準(1250.7)から、最安値の666.79(2009/3/6)まで46.7%の下落。また日経株価も、09/3/10の最安値(7,021.28)まで42%下続した。一方ドル円は株より早く底値を付けたが、107.92円から 87.12円(09/1)まで19.2%の下落を記録した。


それに恐怖指数(VIX)を見ると リーマンショック直後(2008/9/15)は31.70と跳ね上がった。今回(2016/6/27)は終値が21.30と上昇していない。その後 18.75(6/28)と低下し、これまでは混乱している気配が見えない。しかし、リーマン発生から40日後に89.53(2008/10/24)まで急上昇したことを考えれば、まだ警戒の手綱をゆるめることはできないだろう。


今後1週間のドル円の相場レンジは、100.50-103.50円と予想。ユーロは、対ドルでは、1.0900-1.1200、そして対円では112-125円と予想している。

(2016/6/29、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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