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第206回 ~AIに気を付けろ~

2016年07月27日

※マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、今週の更新は4日(木)の予定となります。


 今週末の日銀決定会合に対する思惑がドル円相場を動かしている。ヘッドライン(ニュースの最初の見出し)が出た瞬間、プライスが飛び跳ねる。まさに市場は材料探しで血眼になっている感じで、中央銀行の政策動向の思惑や決定に左右される展開はこれからも続いていくだろう。


 ただ、ニュースにより動き出した最初の方向に、単純に追随することには注意が必要だ。なぜなら、最近、認識ギャップによるミスプライシングが多くなっていると思われるからである。


 今年から、三大中央銀行の政策決定会合の日が年8回に統一された。昨年までは、欧州(ECB)、日本(BOJ)は毎月開催されていたが、今年から両行とも米国(FOMC)に合わせた。今年は年末まで残り4回、7、9、10(FOMCは11)、12月に開催されるが、回数が少なくなった分だけ、一回ごとの注目度は高まる。


 特に今年は米国は利上げの有無や時期、日欧は追加緩和の有無、内容と、それぞれ課題があるため、発表のある月は事前の予想も多く、伝わるたびに相場が反応する。この度合いが最近特に極端になってきているが、この背景にはアルゴリズムによるAI取引(内容については、Forbes8月号に概略紹介されている)が大きく影響している。


 AI取引の考え方、仕組み、実際の行動などについては、「ライアーズポーカー」(1989)で有名になった作家マイケル・ルイスが書いた「フラッシュ・ボーイズ」(2014)が参考になるが、ベースにはビッグデータ分析の技術革新が大きな貢献になっている。


 筆者が理解している仕組みは、単語ごとに「売り」か「買い」に紐付けしておき、それらの単語ごとの量の多寡を瞬時に判断し、コロケーションを通して、1秒間に何千回という高頻度取引注文を出す方法だ。


 その一つの例が、「ヘリマネ(ヘリコプターマネー)」であり、「テロ」である。黒田総裁が英BBCラジオで「ヘリマネは、必要性もないし、可能性もない」との発言である。市場は、追加緩和がないと判断した結果、緩和を期待して積み上げたドル買い(円売り)ポジションの巻き戻しに走った。


 そして26日には日本から「テロで19人死亡」のニュースが世界を駆け巡った。単語を素直に反応する機械は瞬時にリスクオフと判断、円買い注文を出したことで、約2週間ぶりに104円まで円は買われた。


 このどちらとも、ヘッドラインだけで判断すると、確かに円買い要因となる、しかし、そのあとのニュースの内容を知ると、早とちりであるとわかる。「ヘリマネ」とは、一般的には、中央銀行が政府から直接国債を買う「直接ファイナンス」と考えられており、この方法は現在法律で禁止さられており、日銀総裁としては否定するしかない。このあとに、緩和の必要があれば実施すると話しているので、「ヘリマネの否定」が「追加緩和の否定」ではないことが読み取れる。


 また「テロ」についても、実態を知れば「テロではなかった」とわかる。ましてテロが発生した国の通貨が買われることにも違和感を感じる。円が再び売られたのもこの理由だ。今日になって、安倍首相による20兆円以上の大型経済対策の発表があるとのうわさが海外市場にも駆け巡り、一時106円半ばまで円が売られた。


 今晩はFOMCの結果が発表され、29日には、日銀の金融政策と展望レポート(中間評価)が発表になり、夜には米国の第2四半期のGDPが発表になる。FOMCは、変更は予想していないが、今後の利上げの可能性についての示唆があるかどうかが重要になる。


 日本は今回は財政面で大型支出が行われるとの前提で、大きな政策変更はないと予想している。ただ、小幅な変更(買い入れ額や種類)は実施される可能性がある。日銀としては市場に政策出尽くし感を出さないことが重要であり、今後の追加緩和の道を残す必要があると予想されるからである。


 今後1週間のドル円の相場レンジは104.00円-107.50円と予想。ユーロは、ユーロは金融機関の不良債権拡大懸念から、対ドルでは1.0900-1.1100と軟調推移を、そして対円では114.00-118.00円と予想する。

(2016/7/27、小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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