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第209回 ~円高コンセンサスの盲点~

2016年08月24日

※マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、今週の更新は9月1日(木)の予定となります。

8月月初から8月12日まで続いていた101円~103円のレンジ相場が、8月16日から100円~101円のレンジにシフトし、少ないレンジ幅内での取引に終始している。その期間には100円割れも何日か出てきたが、8月17日以外NY市場の終値ベースで100円割れはない。

しかし市場のコンセンサスから判断すると、100円割れ定着というドル下落見通しが着実に高まっている。世界的に夏休みシーズンで、日本はお盆シーズンという季節要因から、毎日小動きが続いているが、イエレン講演をみてドル売りを仕掛けるとの構えだ。

すなわち、参加者の心のうちは、すでにドル売りのきっかけを待っている心理状態であるとも言える。市場参加者の相場見通しを総合すると、ほぼ90%が円高派であり、これが、市場のコンセンサスだろう。市場参加者の心理ポジションは、すでにドル売り持ちであり、イエレン議長の内容が利上げを確実とする明確な言葉がない限り、ドル売りを再開する体制になっているとみている。

現在のドル円見通しを決める要因は、米国利上げの有無である。今は米国景気の好不調の波があり、成長率も低迷しているため、利上げの有無も不透明となっており、円高でなくドル安基調だとの判断だ。しかし、最近は、地方連銀総裁や、フィッシャーFRB副議長から9月利上げに向けて地ならしが出てきたことで、次の材料が出てくるまで模様眺めの姿勢になった。CMEのフェッドウォッチで見ても9月の利上げ確率は21%(8/23現在、前日は15%)に上昇していることでもわかる。

一方で、少数派に心理あり、という言葉もある。そこでドル高派にとっての材料を上げれば、先週18日に明らかになった。グリーンスパン元FRB議長の発言がある。
「今は、スタグフレーション(高いインフレを伴った低成長経済)の初期段階。今のような金利水準は長く維持できないだろう。近く、金利上昇は、おそらく、驚くほど急速に起こるだろう」と警告したことだ。

グリーンスパン氏は、FRB議長当時、アジアの通貨危機が起こった後、ロシアのデフォルトが起こる前の1998年前半に、それはITバブルが破裂する約2年前になるが、世界的なITバブル破裂(2000年)をかなり的確に予言していた。そのグリーンスパン氏が、今、米国の低金利について異常なほどの警戒感を示している。

世界的な低金利の時代、すぐ金利が一気に上昇していくとは考えにくいが、言葉を変えていえば、今は“低金利(債券)バブル”とも言える。バブル破裂となれば、急激な金利上昇は避けられない。「バブルは破裂した後に、バブルだったと気が付く」と言われる。

金利上昇が始まる時期は、FRBが連続して利上げを決めたとき、そして米政府財政問題が拡大するときと予想している。これについては後日詳しく説明したいが、金利上昇時期は今ではないが、遅くとも新しい米大統領が就任する2017年第四半期に起こる可能性があると、分析を進めている。

この意味で、今後100円割れはあるだろうが、それが定着するとは、個人的には考えていない。今後1週間のドル円の相場レンジは99.20円-103.00円と予想。ユーロは、対ドルでは1.1180-1.1320、対円では112.00-114.50円と予想している。
(2016/8/24、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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