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第211回 ~利上げしたいFRBとあきらめた市場~

2016年09月07日

 これで、9月利上げの可能性は、限りなくゼロに近くなったのではないだろうか。それほどまでに、昨日発表のISM非製造業景況感指数は衝撃だった。予想を大きく下回る低下を見て、市場は104円台から今日の101円割れ寸前までドルの急落で反応、利上げに傾いていた市場参加者の心理を根底から覆した。

 この発表までは、先月後半のジャクソンホールでの一連の利上げ機運の高まりや、今月初の雇用状況の堅調さを背景に、今年中の利上げが意識され、データによっては9月、12月の2回の利上げもありうるとの見通しも出ていたし、個人的にも同じ考え方であった。

 しかし、この期待は急速にしぼんだ。米景気の先行きへの懸念は、9月1日に、49.4と今年2月(49.5)以来の50割れとなったISM製造業指数の発表から始まった。そして6日のISM非製造業指数の下落の発表である。予想の54.9に対し、51.4と大幅な低下、ヘッドラインを見ての判断は「売り」、一瞬に103.20円から102.60円に急落した。その数字は、2010年2月の低い水準、米景気の先行きに不安を再燃させるのに十分な数字であった。

 一方で、CMEのフェドウォッチによれば市場の85%は9月利上げなしと前日の79%から上昇した。しかし15%は利上げの可能性があるとみている。その背景は、低下したといっても総合指数はまだ50以上、個別の18項目で見ると、先月の15より減少しているものの11項目は50以上あるとの判断だ。ただ、経済活動と新規注文の減少が大きかったことが大幅な低下に結びついたことが今後に課題を残している。

 合わせて、FRBが発表している労働市場情勢指数(LMCI)が、先月の+1.3(当初の+1.0から上方改定)から再びマイナス0.7に低下したことも、心理を悪化させた。この指数はイエレン議長お好みのデータで、19の雇用関係指数の総合指数であり、毎月雇用統計発表直後の翌営業日に発表される。先月は今年になって初めてプラスになったが、今月またマイナス圏に逆戻りしたことになる。

 利上げの有無は、9月20-21日のFOMCで決定されることになるが、今後はそれまでに出てくる経済指標に注目していくことになる。今日7日には、米ベイジュブック(地区連銀経済報告)があるが、その後は15日(木)まで重要な指標の発表がない。しかし15日は、小売売上高、生産者物価指数、鉱工業生産指数など、多くの指数が発表になる。

 そこで、この間に注目されるのはFRB当事者の発言である。すでに昨日はSF連銀のウィリアムズ総裁(2016年投票権なし)が、「緩やかに早めの利上げ望ましい」と述べ、金利が低いままでは、将来ショックが起きたときに、金融政策の発動余地が乏しくなると、利上げの合理性も説いている。その後9日にはボストン連銀総裁(投票権あり)、12日にミネアポリス連銀総裁(投票代理権あり)の記者会見が予定されているので、注視したい。

 ドル円相場は、NY市場では102円台をかろうじて維持していたが、東京に入り、寄り付きから101円台に急落、この値動きは短期利ザヤ取りを得意とするアルゴリズム取引そのものだ。今の為替市場においては、力任せのような相場動向に抗うことはできない。短期的には素直にその流れに沿って動くしかない。

 そこで、今後1週間のドル円の相場レンジは100.80-102.80円と予想。ユーロは、8日に連銀理事会があるが変更なしと考え、対ドルでは1.1080-1.1300、対円では113.00-116.00円と予想している。
(2016/9/7、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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