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第215回 ~米国に芽生え始めたインフレ懸念~

2016年10月12日

 先週末のドルは、米雇用統計が雇用者数、失業率ともに予想以下になったことを材料に、9/26以来初めて下落、103円割れで引けた。下げ幅(1.25円)はそれまでの2日分をほぼ吐き出し、木曜日(10/6)までの7連騰の上げ幅(4.09円)の約30%と、比較的大きな下落と見えた。

 しかし値動きを時間的にみれば、NY市場の引け際に大きく下げたもので、ある意味週末によくみられる週末のポジション調整という独特の動きと言える。特に8連騰後であり、また3連休を控えていたことで、下落部分の多くはポジション調整の域を出なかったと考えても不自然ではない。

 その考え方は、月曜日以降の値動きで確認できた。月曜日(10/10)海外市場で103円台に回復後は、火曜日(10/11)以降今日現在103円を割ることなく、神経質ながらもドル上昇の勢いが消えたとは考えていない。

 その背景には、雇用統計の中身は決して悪いものではなく、利上げ見通しも11月(11/1-2)は消えても、12月(12/13-14)の確率は容易に維持されたことがある。ただ、それまでにまだ2回の統計発表があり、それ以外も経済指標が続くので、安心はしていられないが、個人的には米国経済の底堅い成長を確認できるのではないかと考えている。

 前月比とみると、確かにアップダウンがあるが、年率で見ると、着実に増加していることがわかるからだ。例えば、小売売上高(Retail Sales)は、前月8月分では前月比はマイナス0.3%だったが、前年同月比ではプラス1.9%、そのうえ過去6か月では、年率換算プラス3.2%と大幅な増加となっている。今週金曜日(10/14)に発表になる9月分は、前月比はプラス0.6%と、大幅な増加が予想されているが、これも利上げの見方をサポートする大きな要因となると考えている。

 ドルの堅調さを裏づけるもう一つの要因が、最近目立つようになったインフレへの警戒感だ。と言っても今日明日発生するとの見方ではないが、市場が気が付いた時には一気に爆発することになるとの経験を肝に銘じ、遅れずに準備しておく必要がある、との声に注目している。

 その一つのきっかけは、先月末に米国で発表された個人消費支出(PCE)価格指数の上昇である。コア指数が年率で1.7%に上昇、3か月1.6%続いた後、いよいよ動き出したとの見方だ。その前に発表された消費者物価指数(CPI)に次いでの上昇であったことで、物価動向が、より強く注目されてきた。

 CPIの8月コア指数は年率2.3%の上昇とFEDのターゲットとしている2%を超えている。特にエコノミストが注目しているのは、指数の中身である。住宅関連(Housing)が42.2%占めているが、その上昇率が今年4月以降毎月上昇していることだ。年率で、4月は2.12%だったのが、8月は2.58%の上昇である。

 原油価格の上昇も、気になる。50ドル以上がつづくと前年同月比でプラスになり、他の項目への波及も出てくれば、物価の上昇は避けられない。また、筆者が注目してる世界の食糧価格でも今年に入って上昇を続けている。最新発表された国連食糧農業機関(FAO)の価格指数は、総合指数で1年半ぶりの水準で、特に砂糖は今年に入って高騰しており、9月は約4年半ぶりの高い水準だ。

 中央銀行としてインフレの芽を摘むために、利上げは常套手段だ。物価上昇が続けば、12月の利上げ確率は各段に上がる。このためにも、ドル資産の保有は有効だ、と考えている。

 今後1週間のドル円の相場レンジは、102.80円– 104.80円(9/2高値104.32円を上回る)と予想。ユーロは、ポルトガルなどの政治情勢の懸念から、対ドルでは4か月ぶりの安値となる1.0900-1.1100を予想、対円では113.00-116.00円と予想している。
(2016/10/12、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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