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第217回 ~ヒラリー誕生後のドル円~

2016年10月26日

 先週、予定通りゴールデンクロス(短期21日線が中期89線を上抜け)が発生した。先週から一週間は大きな経済指標もなく一休みと考えていたが、予想以上にドル買いの勢いが続いた。

 ECB理事会(10/20)で12月再緩和の可能性が出て、昨日10/25にはほぼ3か月ぶりに104.87円までドルは買われた。取引レンジも103~105円に上方シフト、徐々にドルの底値を切り上げてきた感じだ。

 この背景には、第一に米利上げ期待からの米ドルシフトがあげられるが、それに加えて、米大統領選挙後の金融市場において構造的な変化を見据えた動きが出始めたのではないかとみている。

 といっても、市場の予想は、依然としてドル安派が多い。その典型的な見方の一つに、円高要因になる国を英語のアルファベットで並べて見通したものがある。それらの国(カッコ内はリスク要因)は、米国(利上げ続かず)、英国(ハードブレグジットの混乱)、中国(中国内の金融・不動産破たん懸念と新興国の景気減速)、ドイツ(金融不安の世界的波及)であり、リスクオフの事態を懸念(円高派は、それ以上にその可能性を指摘)したものだ。

 リスクという点では、基本的にまったくその通りと筆者も同意見であるだが、多くの参加者が身構えているということは、程度の差こそあれ、すでに市場に織り込まれていると考えられる。しかし、為替市場は理論通りにいかないことはこれまで何度も目にしているので、ここではあえて、ドル高と考える見方を述べてみたい。

 そのヒントになるのが、米大統領選挙の見方だ。最近までは、トランプ候補勝利の可能性も捨てきれず、トランプリスクなる言葉も使われていた。しかしここ一週間で支持率が大きく変化してきた。例えば、ニューヨークタイムズ紙によれば、ヒラリー勝利の確率が93%と打ち出した。そして今日聞いた米国識者の発言が、「クリントンが勝つ」と断定したのには驚いた。

 クリントンが勝利するということは、不透明要因が消滅するということになる。以前は、どちらが大統領になっても、ドル安政策をとるとの見方であった。確かにトランプの場合は、ためらいもなくドル売りとなろうが、クリントンの場合は、トランプとは逆になるのでないかとの見方だ。むしろ政権の安定と日米関係重視で日本(安倍首相)の困ることにならないような政策をとるとの考え方だ。今日の米政府元高官の話しを聞いて、“ハタッ”とそれを実感した。

 引き続き、少しの情報でも乱高下となる相場展開は続く。例えば25日に104.87円までドルが上昇した後、コンフェレンスボードの消費者信頼感指数が大幅に予想以下(予想101に対し98.6)になったことや、BOEのカーニー総裁のポンド安けん制発言などでドルは急落、今日は瞬間104円割れまでドルは続落したことだ。

 そして、短期的には、大統領選挙まで、ドル円相場に大きな影響を及ぼすイベントが続く。米国第3四半期GDP(予想2.5%、10/28)、日銀会合(変更なしと予想、ただし展望レポート発表、10/31-11/1)、米FOMC(変更なし予想、11/1-2)、米雇用統計(11/4)、そして米大統領選挙(11/8)となる。選挙前には、ポジションを少なくする行動に出ると予想されることから、それまではドルは売られやすい地合いが続くと考えている。

 今後1週間のドル円の相場レンジは、103.00円– 104.50円。ユーロは対ドルでは先週と同じで1.0880-1.1100を予想、対円では112.50-115.00円と予想している。
(2016/10/26、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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