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第218回 ~米国に二匹目のドジョウはいない~

2016年11月02日

 クリントン候補のメール問題はボディーブロウのようにじわじわと効いてきたが、大勢に影響はないと判断している。たしかに大統領選挙に対する不透明感が強まり、ブレグジット再来を懸念した流れから、週明けからドル円は売り優勢で推移し、今日は先週末の高値105.53円から約10日ぶりに103円半ばまで下落した。

 ただ個人的には、メール問題が出る前から、投票日前はポジション調整のドル売りが入り円高基調で推移すると予想をしていたので、この下落は個人的には想定内である。投票日までに本日のFOMCと4日(金)の雇用統計という重要なイベントが控えているが、よほど予想と発表数字に大きな差がない限り、方向性が変わることにはないと考えている。

 しかし市場のセンチメント的には、ドル売りにバイアスがかかっているので、予想に反する大きな悪い数字が出れば、過大な反応が起こる可能性がある。今、下値の目途を、103.20円(第一次抵抗相場)と102.70円(第二次)とおいている。最初の相場は、ブレグジット後の円高相場(98.95円)とその後の高値(107.49円)の半値であり、第二次は89日移動平均線相当(11/2現在102.68円)である。第二次相場(89日移動平均相場)が、より重要だが、NY引け値で二日間連続して下回らない限り、ドル高の流れは維持されると考えている。

 その背景は、今のドル下落は、大統領選挙不安を材料として、きわめて限定的なリスクオフ相場であり、クリントン候補の勝利が判明すれば、市場の視点は、米国景気や利上げに焦点が移り、ドル高の流れが再開すると読んでいるからである。

 確かに、世論調査では依然としてクリントン候補が優勢だが、先週末からトランプ候補が急追し、10月には最大7.4ポイントあった差が、11月1日には2ポイントと大幅に縮まってきた(リアルクリア・ポリティックス調べ)。一部には逆転したとの調査(ABC-Washington Postの合同調査では、46対45でトランプが優勢)もあるほどだ。しかし、大方の世論調査数は1000あまり、多くても4,000前後であり、米州全体の意見として判断するには少なすぎるとの見方もある。

 それに対し、投票の仕組みからは、クリントン候補がかなり有利であると判断できる。投票結果は州ごとに、より多くの選挙人を獲得した候補者がその州の全票を獲得する「勝利者全取り」の仕組みだが、クリントン候補は、当選に必要な過半数(全州で538人いる選挙人のうち270名)に極めて近い人数を得ている(WSJ紙)。それによれば、ほぼ確が238人で、民主党色のある州を入れると278名となっている(これに対し、トランプ候補は179名)。

 まだ、接戦州と言われるフロリダ(29名)、テキサス(38名)、オハイオ(18名)など未確定が約7州あるが、トランプ候補が当選するためには、これらを全部勝たなければならないと計算されている。この点から、個人的には、下がったら買い(Buy on dips)と考えている。

 今後1週間のドル円の相場レンジは、102.80円– 105.00円。ユーロは対ドルでは1.0900-1.1150を予想、対円では113.00-116.00円と予想している。
(2016/11/2、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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