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第221回 ~候補から大統領へ~

2016年11月30日

 今日、ハタッ!と膝を打った言葉に出会った。それは、「トランプ大統領とトランプ候補は違う」である。

 ほとんどのメディアが予想していなかったトランプ候補の当選、そして勝利宣言での発言を受けてのトランプラリーの始まり。金融市場では「勝ち馬の乗り遅れるな」の合言葉のもと、株高、金利高、ドル高が始まり、先週末には114円寸前までの円安となった。

 当選確定以来、101円前半からほとんど調整もないままドルは連日買い進まれ、ドルインデックスは13年半ぶりのドル高水準。ドル円は、週足で先週までの3週間で12円のドル高と、過去5年でみると、かなり短い期間での上昇幅となった。

 また、移動平均とのかい離率も5%以上の異常ともいえる開きとなり、RSIも買われすぎの80以上をゆうに超え100近くまで届いていた。さすがに「それはいくらなんでもスピード違反!」ということで、大きな調整が考えられた。

 週明けには、期待(?)通りに111円前半までドルは売られた。しかし、翌日からは売られてもドル買い需要は根強く、再び113円台まで上昇している。OPEC総会、米雇用統計、イタリア国民投票という大型材料を控えても、である。ましてや、トランプ政権の全貌が見えず、トランプラリーの危うさが意識されてきたときにも、このドル買いの流れは続いている。

 こんな時に、頭書の言葉に出会ったのである。「トランプ政権がまだ不安定だ。就任しなければ、実態は判断できない」と考えていたのは、選挙期間中に発言されたトランプ候補の発言にとらわれているからではなかろうか、と思いついたからである。すなわち選挙期間中の言葉は、あくまでも選挙対策。これからはより現実的な対応が出てくると判断していると考えた。

 今日、財務長官がゴールドマンザックス出身のムニューチン氏が決定されたこともドル高への支援材料とも考えられる。過去の経験則から、財務長官がウォールストリート出身の場合はドル高、議員や事業会社出身の場合はドル安となる傾向が強い。「強いドルはアメリカの国益」を言い出したのは、同じゴールドマンザックス出身のルービン氏であった。

 今後は、ドルは112円~114円でしばらくもみ合うながら、重要なイベントをこなしていき、米ドル金利の上昇を背景に、一足早く「1年通して、行ってこい」を達成した日本株と同じように、年末までに115円~118円までドルは上昇するのではないかと予想している。

 今後1週間の予想レンジは、ドル円が111.50円– 114.00円、ユーロはイタリア国民投票が売り圧力となり、対ドルでは1.0500-1.0750、対円では117.50-121.00円と予想している。
(2016/11/30、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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