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第224回 ~今スペイン人、来年はイギリス人~

2016年12月21日

 日銀の政策決定会合で現状維持が決定されたが、これで予定されている今年の重要イベントはすべて終了した。これから1月2日までは本格的な休暇シーズンに入る。今年いっぱい、ドル円は117~118円を中心とするレンジで推移するものと考えている。

 ただ、ユーロは要注意だ。ショート維持、あるいはセル・オン・ラリー(ユーロが上がったら売り)の姿勢でいきたい。長い間、下値抵抗線となっていた1.05ドルを割り込んだからだ。昨日(12/20)は1.0352ドルまで売られ、2002年12月以来14年ぶりの安値を付けた。その時は、パリティ(1ユーロ=1米ドル)を付けており、いずれ早い時期にパリティ割れの場面があると予感させる。

 それにしても、ドルは強い! トランプ旋風から始まったドル高の流れは、11月末のOPECの減産決定でその勢いを増し、先週のFOMCでドルの強さを決定づけた。利上げ自体は予想通りであったが、ドットチャートで判明した利上げ頻度の増加見通しは市場の予想を超えたものであった。ドルを持たざるリスクが大きく意識され、その回避のために、一気のドル買いが起こり118.66円まで円は売られた。

 今年中に118円台には到達すると予想していた(日経マネー10月号に筆者のインタビュー記事掲載)ので、その通りに展開していることは有り難いことだが、ドルの上昇スピードは想定より早い。しかし今年中の120円乗せはないと考えている。これからは休暇シーズンに入ることでもあり、一呼吸をおいて年末まではレンジ相場で推移すると予想している。

 さて、トランプラリーの相場動向を見ていると、市場は完全にトランプ政策を信じていない、ただ「まず流れに乗り、来年のことは後で考える」という行動をとっていると言ってよい。まるでスペイン人のようだ、と感じた。これは笠信太郎氏の「ものの見方」(河出書房文庫)に出てくる言葉だが、人間の行動心理をよく表しており、筆者は好んで使っている。それは、
 イギリス人は、歩きながら考える
 フランス人は、考えた後で走り出す
 スペイン人は、走った後で考える
 というものだ。

 「動き出したらまず流れに乗る。ついてこなかったら戻ればよい」となる。これまでは、この発想でよかった。しかし、これからはイギリス人的発想が必要だ。トランプ大統領については、これまでの経験則が当てはまらない可能性が強いからだ。

 12/19の選挙人投票も無事に終了、トランプ氏は正式に次期大統領に選出された。トランプ氏もツイッターで、正式決定を感謝すると、その喜びを表している。1月になれば、トランプ氏が米国第45代大統領に就任し、トランプ時代の幕が開く。そこからが本番だ。

 世界中の投資家が、トランプ大統領の一挙手一投足に反応する。その発言や行動ごとにすぐ実行し、同時にその意味や影響度を考えていかなければならない。なにせトランプ氏はアメリカ株式会社のCEOであり、これまでのワシントンの政策決定プロセスとは違うと考えられるからである。

 今後1週間のドル円の予想レンジは、116.50円~118.50円、ユーロは対ドルでは1.0300-1.0500、対円では121.00 -123.00円と予想している。

 来週は、年内最後のコラムとなる。2017年のシナリオと相場予想を考えたい。
(2016/12/21、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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