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第288回 ~米ドルのユーフォリア~

2018年05月02日

 4月は月初が円高値(4/2 105.659:Bid)で、月末が円の安値(4/27 109.532:Bid)と、円は一貫して売られ続けた。筆者は、本格円安前に一回は円高への戻りがあり、それをもって円安シナリオ全開にシフトすると考えていたが、これまでのところ見事に予想が裏切られる展開が続いている。

 トランプ大統領のこれまでの政治スタイルや性格から、北朝鮮問題や貿易戦争といった、ボタンの掛け違いが起こると一触即発となるようなリスクが市場を覆っており、日時や会談場所も定まらない米朝首脳会談が正式に実行されるまでに、いくつもの山を乗り越えなければならないと警戒している。

 それが南北首脳会談の予想以上の結果に、これまでの警戒感が大きく緩められ、隠れていた本来のドル買い要因が表面化したのが、今の姿であると考えている。そこで、為替市場に漂っている今の空気を読んでみた。

 「トランプリスクは、もう少し様子を見たい。意外と現実路線になっている。保護主義と言いながら、やはりアメリカ中心の世界を志向し、硬軟使い分けている。今のところ、政治リスクが後退していると判断したい」(ジョセフ・ナイ氏のトランプ政権の本質を分析した記事が面白い、4/29 読売新聞)

 「そうなると、ファンダメンタルズ(景気動向や金利差)から資金の流れを変えていかなければならない。米株の勢いは止まっているが、それは金利高の影響であり、これは良い金利高だ。米企業業績も悪くないし、景気指標も心配することはない」

 「ECB、日銀とも、金融緩和策を維持すると決定したこともドル高要因だ。ECBは10月以降の債券購入方法について触れなかったし、日銀は消費者物価の2%達成時期を削除した。これは単なる現状維持ではなく、金融緩和の強化とも取れる」

 「一方米国は物価の上昇が顕著になり、10年国債金利は約4年ぶりの3%まで上昇した。最近のインフレ指標(個人消費支出価格指数、4/30 発表)を見ると、今年のFOMCの引き上げ回数は4回(残り3回)の可能性が高くなってきた。結果、ますます米国との金利差が拡大している。企業買収による実需のドル買いも増加している。やはりドルは買っていかなければならないだろう」

 「しかし、それでもトランプリスクは残る。ドルをどんどん買って、はしごを外されたら、大きな痛手になる。あまり、米ドルの桃源郷に入り込むのは危険だ。米朝会談の成り行きを確かめたい」

 「そこで、トレード戦略は、今は<買いから入り売り抜ける短期トレード>としたい。夜中に何が起きるかわからないから、オーバーナイトポジションは極力小さくする」

 さて、今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は108.50円~110.50円、ユーロは、対ドルで、今年1月11日以降、約3か月半ぶりに1.20000、その流れは継続すると読み、1.1900~1.2100と予想、対円では131.00円~133.00円と予想している。
(2018/5/2、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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