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第294回 ~ドル高への号砲、そして米朝の次は米中~

2018年06月13日

 「会談の行方は最初の1分でわかる」といったトランプ大統領だったが、終わってみれば全スケジュールをこなし、最後は共同宣言までやってのけた。これはいわば隠し玉だった。話し合いの結果次第では、ただ会っただけ、となるかもしれないという事態に備えて、最後まで予定の公表はなかったものだ。ただ、これは米朝間の事前協議が最後までまとまらなかったから、というより、トランプ大統領の得意のショーアップの材料として使われたとみてよさそうだ。報道によれば、ワーキングランチのあと金委員長と二人で小道を散歩したときに、突然「これから署名だ」とマスコミを慌てさせたことでも、その意図が感じられる。

 今回の歴史的会談の評価に対し、具体性がないということで否定的な意見があるが、筆者は会談ができたこと自体、歴史的であり、まずはスタートの号砲がなったことが大きな一歩になったと評価したい。金融市場もまずは結果を好感し、ドル高、株高でお返しをした。しかしまだおっかなびっくりであり、本当の評価は、非核化のスケジュールや確認手段、制裁の解除の時期内容、朝鮮戦争の終結の仕方など、決めなければならないことが延々と続く。これからが本番だ。最初の会談が無事終わったことで、安心してはいられない。ただはっきり言えることは、朝鮮半島を起点とする地政学的リスクは大きく低下したと判断ができることだ。リスクオンがソロリと動き出した。

 ドル指数も上昇に転じたが、ドル円は、今日は110.70円近辺まで買われ(編集者注:原稿執筆時点)、約3週間ぶりとなる5月23日以来のドル高水準までドルは買われている。市場が再びファンダメンタルに目を向けたことで、米国の堅調な経済を背景に、今日発表になる米FOMCでの利上げを先取りしたものだ。200日移動平均線(110.20円)をしっかりと超え、21日線が上昇に転じてきたことで、ドル上昇を示すゴールデンクロス実現も近い。

 強いドルのベースとして、今月発表になった拡大基調のISM景況感、堅調な雇用市況、改善した貿易赤字を背景に、強い米国経済がある。そのうえで、昨日発表になった、5月米消費者物価指数(CPI)は経済の強さを裏付けるもので、ドル上昇の引き金となった。CPI総合では、年率2.8%(前月は2.5%)と2012年2月以来の上昇となり、コアでも前月より0.1%高い2.2%の上昇となった。

 この結果、今日発表になるFOMCの会合では、0.25%の利上げはほぼ決定的になり、場合によっては、急激な拡大を抑えるために0.50%の利上げの可能性もあるとの予想も出るほどだ。筆者はそこまで決めることはないと思っているが、引き上げ回数は年4回(残り9月と12月の2回)は確実になったと考えている。シカゴ先物市場(CME)で計算される利上げ確率でも、6月は96.3%(6/12、前日は92.5%、以下同じ)に跳ね上がり、ついで9月が71.4%(←68.0%)と上昇した。ただ、12月は利上げ予想の40.9%(←38.8%)に対し、利上げなしが42.6%(←43.8%)とまだ利上げには否定的な見方が多いが、その差は5ポイントから1.7ポイントと大きく縮小している。政策当局の考え方が表れる今日のドットチャートに注目したい。また、今週はECB、日銀と決定会合が続くが、どちらも緩和終了に大きく舵を切るとは考えにくく、ドル上昇をサポートする決定になると予想している。

 さてトランプ大統領の次なるターゲットは、貿易戦争に違いない。中でも貿易赤字が圧倒的に大きい中国に狙いを定めた戦いが本格化する可能性がある。中国は、米国の貿易赤字の約45%を占めている(2018/4実績、米商務省発表)。2位以下の国とは圧倒的に差がある。ちなみに全体の赤字に対する割合で見ると、2位はメキシコの8.7%、日本は3位で8.6%、次いでドイツの8.1%となっている。北朝鮮問題では中国と米国はある意味、同床異夢との趣であったが、これからは世界の覇権をめぐってガチンコ勝負になると予想している。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は109.50円~111.50円、ユーロは、対ドルでは1.1600~1.1800、対円では128.80~130.80円と予想している。
(2018/6/13、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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