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第298回 ~遅れてやってきた円安~

2018年07月11日

 昨日7月10日の海外市場で、ドル円が約1か月半ぶりに111.35円を付けた。しかし直近のドル高値111.40円(5月21日)を意識したことや、米国が中国の2,000億ドル相当に対する関税リストを公表するとのニュースで、ドルは反落。今日は110.80円割れまでドルは売られた。米中貿易戦争が深刻化するとの懸念が材料になった。

 しかし、その後、日本の株式市場が大きく下落し、リスクオフに備える気配が出たにも関わらず、ドルは111円台を回復、ドルの底堅さが改めて認識された。チャート的に注目されていた三角持ち合いが上方に抜けたことで、買い安心感が広がったこともその要因といえよう。個人的には、「ドルが上向く前に売られる、そのタイミングは米雇用統計が発表される時期」、と予想していたが、思いのほか下落幅は浅かった。発表後につけた110.30円で「ドル売りは終わり」となるか、考えてみた。
 
 結論的には、円の位置づけに変化が出てきたと考え、ドルの下値は固くなったと読んだ。ドルの当面の底値は110円。ただ、大きくドルが上昇するのではなく、じりじりとドルが買われていくような相場展開になるとの予想である。したがってリスクオフになっても円が買われる頻度が減っていくので、ドルが売られたらそれは絶好の買い場との見方である。

 資金運用の原則は、「高いところにお金を流す」だが、その高いところはやはり米国であることが改めて認識されてきた。経済の成長性が高く、金利面でも、企業業績面でもその傾向は強まっている。その代表的な例が、バフェット氏のアップル株への投資だ。これまで唯一懸念されたトランプ大統領の不規則性、予測不可能性にも慣れ、ドルの資産積み上げに躊躇していた多くの投資家が、持たざるリスクを意識し、資金を米国に傾斜してきたとみている。

 それに、トランプ大統領の手の内が読めるようになった、すなわちトランプ発の問題が起こってもその帰結が見通せることがわかってきたことで、リスクオフへの対応にも緊急性を求めなくなってきたことも大きな変化だ。2,000億ドルの案件も既に発表されていたことであり、その上に中国が大人の対応を見せ、市場を落ち着かせている。もちろんその背景には、米景気の好調さとドル金利の高止まりがあることは、重要なポイントでもある。

 そしてリスクオフで円が買われる理由がかなり縮小したことも理由に挙げられる。円はドルに次いで流動性が高く、かなりの金額でもいつでも売買可能な通貨であることから、危ない時の安全パイとの位置づけと言われている。そこで、市場の変動が起こった時に一時的に危険を回避するために、「現金は王様(Cash is King)」的な退避通貨となっている。

 しかしそれはあくまでも短期的、市場の混乱が落ち着けばあっという間に円から本来の運用資産に転換していく意味でもある。トランプ大統領への懸念が薄らぐにつれ、瞬間的に円は買われても、円の保有期間は、かなり短期化し、リスクオフ通貨としての円の位置づけもだんだん後退していると見ている。

 もちろん、世界を見れば、米中貿易戦争による混乱を嫌う投資家の資金流出に起因した人民元安や上海株の下落、英国のBrexit政策の違いによる閣僚辞任と政治的混乱、トルコのエルドアン大統領の中央銀行介入により台頭してきた通貨危機不安など、混乱材料が続出している。しかし、このような状況は、逆に米国の資金吸収力はむしろ高まると考えている。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は110.20円~112.20円、ユーロは、対ドルでは1.1650~1.1850、対円では129.50~131.50円と予想している。
(2018/7/11、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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