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第305回 ~ケブラー・エコノミーがドルの強さ~

2018年09月05日

 台風21号の被害にあわれた方へ心からお見舞い申し上げます。

 これまでほとんど経験したことのない猛烈な強さの風や急激に上昇した高潮の恐ろしさが改めて認識された。そしてこの被害の映像が今世界中に流れている。特に関西空港の閉鎖のニュースは衝撃的だ。物流、観光面で日本経済に大きな影響を与えることが懸念される。欧州市場が明けてから111円台後半に円安に動き出したのはこの影響もあるに違いない。まさに日本危機というリスクオフが為替市場を覆っている。

 これに対し、米国経済は圧倒的に強さが続いている。第2四半期のGDPは、4.2%に上方改訂(速報は4.1%)され、コンファレンスボードの消費者信頼感指数は、前月の127.9から133.4と大きく上昇、2000年10月以来の高水準になった。そして昨日発表になった、ISM製造業指数は、さらに大きな驚きをもって受け止められた。予想を大きく超える61.3を記録し、2004年以来の高さとなった。

 米国のあるエコノミストは、このような強固な経済を、「ケブラー・エコノミー」と呼んで、簡単には崩れないと分析している。つまり「ケブラーほど強い経済」ということである。ケブラーとは、分子構造が特別で、高強度・高耐熱性を持っている樹脂を言い、米国で発明された。ケーブルなどをカバーするために使われ、特に海底ケーブルに効果を発揮している。

 ちなみに、関連した論文に、米国カリフォルニア大学教授、ECBエコノミストらの共同執筆となる「ケーブル、サメ、そして外国為替市場の場所(Cables, sharks, and the geography of the foreign exchange market)」(2016、RIETI、独立行政法人経済産業研究所で簡略版和訳が検索可能)がある。これはグローバルな外国為替市場を事例研究として、情報通信技術によって距離などの取引障壁が軽減される実態を研究した論文だが、ここでケブラーの強さが取り上げられている。

 これほど米国は強いと考えているとすれば、米国経済の強さが続く限り、ドルは底堅い展開は続く。ドルの方向性においても、米国経済のファンダメンタルがますます重要になる。ドル円の取引レンジが徐々にドル高に移動していることも納得できる。4月後半から7月10日までは109円~111円のレンジだったのが、7月11日からは110円~112円に動いてきたと読んだ。112円台乗せは意外に近いかもしれない。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は110.50円~112.50円、ユーロは、対ドルでは1.1450~1.1650、対円では128.50~130.50円と予想している。
(2018/9/5,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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