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第323回 ~近い110円超えと「金」~

2019年01月30日

 ドル円は、1月18日以来、109円と110円に挟まれ、値幅は90銭にも満たない。まるで固定相場になったみたいだ。心理的には、米金利が軟調になっていることや、米欧の政局不安や中国景気の後退に伴うリスクオフの安全資産へのシフトなどから、円は買われやすい。しかし一方で、日銀の政策決定会合で緩和が維持され、キャリートレードやドル調達不足を補うドル需要もあり、円売りドル買い要因も強く、心理的に動きにくい環境になっている。

 今週は、この平穏なドル円相場が大きく動く出すイベントが続く。まず今日のFOMCである。米中通商交渉の影響から、中国経済もかなり悪化してきたことで、世界経済の縮小懸念で、米国の引き締めサイクルも打ち止めになると予想する声も多い。FRBが続けてきた保有債券の売却(満期債券の再投資なし)により、バランスシートの縮小を停止することになれば、為替市場はドル売りで反応することになるだろう。

 今年から、FRB議長は年8回のFOMCで、日銀、ECBに合わせて、毎回終了後に記者会見を行うことになった(昨年までは、3,6,9,12月の年4回のみ)。その第1回目から、注目会見となるが、今回は、米政府の閉鎖の影響でデータがそろっていないとの理由で、実行しないと予想している。そうなれば、ドルはいったん買い戻しが起こるだろう。

 今週末には、米雇用統計も発表になる。また閉鎖中に延期なっていた、貿易収支や小売売上高などの重要指標も発表を控えている。やや低調な指標が続いている中で、アメリカの現状が見え始めてくるので、その反応は過大になる可能背がある。

 ところで、ユーロや英ポンドは比較的大きく動いている。ブレグジットが重大な局面に入っていることで、市場の目が欧州に注がれ、売り買いが交錯しているからだ。これまで両通貨とも売られていたが、最悪事態は回避されるだろうとの読みから、「Sell the rumor, buy the fact(うわさで売り事実で買い)」となったものだ。

 しかし昨日の英議会は多くの案の採決で錯綜したことで、一定方向に定まったとはとても言えない状況、3月末の離脱期限の多少の延期という可能性はあるが、2019年は不安定な動きが続くことを避けられないであろう。また根本的には、どの形になるにしろ、ここまで混乱した状況を元に戻すには、相当のエネルギーが必要なことや、EU側とメイ首相のメンツ合戦の様相にもなっていることから、ポンド売り基調は変わらないと考えている。現在は1ポンド=1.30ドル近辺だが、2019年通しては1.40より1.20方向にポンドが売られると予想している。

 このような市場環境の中で、注目したい動きがある。それは金(ゴールド)相場だ。昨年2018年8月半ばに1,160ドル(直物1オンス)という、2017年1月以来の安値を付けた後、ほぼコンスタントに上昇、先週末25日に1,300ドルを超えた、昨年5月15日以来の大台超えだ。「金」はドル下落時の代替資産と言われているが、ドルはその期間はむしろ上昇傾向であった。この意味で、金は独自の路線を歩き出したのかもしれない。この背景は少し詳しく調べてみる必要がある。金上昇が、これまで通りドル下落の先行指標になるのか、また、金独自の資産価値の見直しとなるのか、大事な局面に来たとの思いだ。

 さて、今後1週間の予想レンジは、ドル円は108.80~110.80円。ユーロは、対ドルでは1.1300~1.1500、対円では124.00~126.00円と予想している。
(2019/1/30,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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