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第325回 ~ エレベーターダウンに備える ~

2019年02月13日

 先週、ドル安要因の一つとなった暫定予算の延長問題が、予想に反し解決の方向に動いたことを好感しドルは上昇、110円台の値固めの段階に入った。今日は110.75円まで上昇、昨年12月27日以来となる111円を伺うところまできた。果たしてこの勢いは続くのか?

 筆者は、「続かない、2月中に瞬間的に111円台を超える場面はあろうが、むしろ110円割れを警戒しなければならない」と考えている。その理由は、以下の3点だ。

 一つは、トランプ大統領への政治手法への警戒が続くという点だ。確かに、今回はトランプ大統領が折れた形だ。トランプは壁建設費用として57億ドルを要求していた。これに対し両党は13~20億ドルを用意することで合意した。トランプ氏にとっては、いわば「ないよりは、まし(better than nothing)」ということだ。やはり35日という史上最長の政府閉鎖の影響の大きさに今回は屈した。2020年の大統領再選を狙う立場では、あえてAll or Nothing(100%か、ゼロか)の選択はとらなかった。

 両党合意を聞いて、以前なら“veto (拒否権)も辞さない”のような発言が出るところだが、今回は「I can’t say that I am happy」と語った。その決定に満足していないことは見るからに明らかだ。今回は、(不満足な内容だが、壁建設資金も一部確保できたことから、政府閉鎖をもたらすことはしない)と、議会に花を持たせた。しかし、いつもそうにはならないぞ、という宣戦布告にも聞こえる。

 二番目は、米中通商交渉だ。次官級協議から、閣僚級協議に移り、会合は順調に進んでいるように見える。一方中国も、関税率を下げた。結果として工業製品の平均関税率は2017年の9.8%(WTO調べ)から、2018年は7.5%に低下する計算になる。両者、3月1日の期限を前に歩み寄りがみられる。

 しかし知的財産問題もあり、両国の溝は引き続き大きいとみている。壁予算は折れたが、米中問題は最後まで妥協しない、とトランプ大統領が考えても不思議ではない。米中関係で一波乱というリスクは残る。

 そして、最後は、チャート的な見方だが、時間的に、エレベーターダウンがいつあってもおかしくない状態だ。1月3日再安値から、すでに40日余り、まさにエスカレーターのように徐々にドルは上昇している。その傾向が一瞬に崩れる、すなわちエレベーターのように急降下するタイミングが近いとみている。そのきっかけは、ブリックス問題か、米国景気の悪化か、リスクオフ材料が出たときだ。

 さて、今後1週間の予想レンジは、ドル円は109.20~111.20円。ユーロは、対ドルでは1.1200~1.1400、対円では123.80~125.80円と予想している。
(2019/2/13,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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