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第329回 ~ 英ポンド安はまだ道半ば ~

2019年03月13日

 ECBの再緩和決定は導入必至と予想されていたとはいえ、金利据え置き期間の今年末までの延長はともかく、TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)の導入に、市場は驚いた。その発表は、景気動向など他の環境変化を受けて、もう少し後との見方が優勢だったので、まさに予想外の決定だった。

その結果、ユーロは短時間で150ポイント落下、2017年6月以来となる1.1176ドルまで下落した。ただその後は、実施が9月と判明したことや、英国のEU離脱協議に不透明さが増してきたことから、市場の目は英ポンドに向かい、ユーロは徐々に値を戻し、4日目の今日は1.30台へ回復した。

その英ポンドは乱高下が続いている。議会採決の前日11日は、メイ首相とEUと新たな合意の報道を受けて、1.2939ドルから1.3269ドルへと、約330ポイント(2.55%)上昇した。しかし12日の否決後には、その反動で約240ポイント(1.85%)ポンドは売られ、再び1.30割れ寸前となった。そして今日は、採決第2ラウンドである「合意なき離脱の是非の採決」を控えている中で、再びポンドは上昇、いわば方向感のない動きとなっている。

さて、イギリスはどこに向かっているのか? ポンドの適正相場はいくらなのか。

ポンドの最安値は、1985年3月につけた1.0550ドルだ。当時ドルは金利高を材料に上昇しており、ドル円は260円前後の高値だった。そのドル高が1985年9月のプラザ合意に結びついた。そしてポンドはその安値を付けた後に上昇、1992年8月、あの有名な事件=ソロス氏がBOE(英欄銀行=英国中央銀行)との戦いに勝ち一晩で約10億ドル儲けたポンド大量売り=には、1ポンド=2ドルまで上昇した。

その後、2001年7月に1.3926ドルまでポンドは下落したが、2007年11月に再び2.1160ドルと2ドルを超えた。そしてリーマンショックでのポンド下落を経て、あのEU離脱を決めたブレグジットにより、2016年10月には1985年5月以来の1.20ドル割れを記録した。現在は1.30ドル前後であり、最安値には、まだ遠い相場水準にある。考え方によっては、合意なき離脱となれば、ブレグジットを決めた選挙時をはるかに超える打撃と混乱が予想される。

今後の採決スケジュールは報道の通りだが、3月29日の離脱日に向けて、これからは一日一日が勝負だ。EU政府が、「妥協は今回が2度目だったが、3度目はない」と明言している一方、英国政府は、議会が一枚岩になっていない。このまま合意なき離脱に向かう確率が日に日に高まっている。途中、離脱日の延期の可能性が残っているが、その採決は今日の合意なき離脱が否決されたあとの14日。英国の大混乱は目の前に迫っているおり、世界は合意なき離脱への備えを加速させている。ポンドの命運はこれからが本番である。

今後1週間の予想レンジは、ドル円は110.75~112.25円。ユーロは、対ドルでは1.1200~1.1400ドル、対円では124.50~126.50円、そして英ポンド/ドルは1.2900~1.3200ドルと予想している。
(2019/3/13,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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