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第331回 ~リスクオフは一時的~

2019年03月27日

 先週後半は、大きなニュースが重なった。まず3月20日には、FOMCの発表である。予想以上のハト派の決定。経済テコ入れ重視で正常化路線の大きな変更である。(トランプ大統領は、内心ほっとし、自分の力に自信を高めているに違いない)。今年中の利上げなしの見通しに加え、特にバランスシートの縮小予定の前倒しは予想外であった。

 それほど米国景気見通しに弱気なのか。金利は引き上げ転じて、次は引き下げになる、と想定されるほど、衝撃的な発表であった。米金利は急低下。10年国債の利回りは、2.442%となり、2年―10年の長短金利差は逆転した。これがリスクオフ①。

 シカゴ先物市場を基に計算されているFF金利の先行き予想で、引き下げ予想が高まっていることでも、その衝撃度が伝わってくる。その結果、6月引き下げ予想(2.00~2.25%へ)は3月27日現在.26.5%(一週間前3/20は、9.9%、以下同じ)、7月予想は32.2%(14.7%)、9月には42.2%(20.9%)と上昇、さらに2段階引き下げ(1.75-2.00%)予想も13.5%(2.1%)に高まっている。金利差を投資の基本とする立場からは、ドル売りが出るのは当然と言えよう。

 そして3月21日には、欧州から、ブレグジットの新たな展開を示す決定が流れた。迫っていた当初の離脱期日3月29日での合意なき離脱は回避されたが、新たな期日設定で、先行き不透明さは変わらずだ。昨日、メイ首相の退陣検討の見方も伝わってきた。これがリスクオフ②。今週中に「EUと合意した離脱協定案」が下院で可決されなければ、4月12日までに新たな離脱方針を定めなければならない。一難去ってまた一難、である。

 そして翌日3月22日には、欧州から別な悲観的な指標が発表になった。欧州3月製造業景況感(速報)が71か月ぶりの低水準(Markit社)を記録。好不況の境目である50を先月に次いで下回る47.6(2月49.3)と予想をはるかに悪い結果であった。世界景気後退の連想が高まり、これがリスクオフ③である。

 これらのイベントは、それぞれ予定されたことであり、渋滞理論でいえば、工事渋滞に相当するが、発表を受けて、世界的な景気の悪化が思い起こされて、リスク回避の動きが急速に強まった。株式市場は、先行き不透明感がさらに強まると株売りで反応、為替市場では円が買われ、ドルも上昇した。いわゆる有事のドル買いとなり、97.00目前までドルは上昇、円も買われて、約1か月半ぶりの110円割れとなった。

 今回の円高は、時間的には、ドルが売られてもおかしくないタイミングでもあった、異常値とはいえるが、今年の1月2日の円最高値104.56円から、ドルは約2か月上昇、3月5日には、112.14円の年初来高値を付けた。その後ドルは続落、三角持ち合いを形成した。しかし下値を切った瞬間に、エレベーターダウンとなった。個人的には、今回の円高は、次の相場のドル上昇/円安への正常な調整であり、次のタイミングで、ドルは底を付けて、また円安に転じると考えている。そのタイミングは、来週末の米雇用統計となると予想している。

 今後1週間の予想レンジは、ドル円は109.80~111.80円。ユーロは、対ドルでは1.1150~1.1350、対円では123.80~125.80円、そして英ポンド/ドルは、波乱含みとなり1.2950-1.3250と予想している。
(2019/3/27,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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