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第335回 ~トランプの揺さぶりで円高基調継続~

2019年05月08日

 10連休の最終日に突然降ってきたトランプ砲で、今週は110.57銭と先週比約50銭の窓を開けてスタート。その激震は、5/6NY市場の株価下落幅縮小で一瞬和らいだかに見えたが、その後のポンペイ国務長官の発言が、リスクオフは一時的だとの期待が砕け散るほどの大きい余震となり、今日は3/25以来の110円割れとなった。今後ドル安円高が続くのか、考えてみた。

 最初は、10%から25%への関税引き上げを今週金曜日から適用するとの決定に、「そんな短期間にシステムの修正ができるはずがない。トランプ発言は、単なるブラフ(脅し)」との見方が優勢だった。しかし内容がわかるにつれて、米中の交渉戦術が垣間見え、トランプの本気度を感じた市場は、第二弾のリスクオフ作戦に出た。それが昨日のNY市場だった。株価続落、円続伸である。

 一方、先月から始まった10連休は、ドル独歩高であった。その理由は、3.2%のGDPに始まり、ハト派トーンをやわらげたFOMC、1969/12以来の低い失業率(3.6%)と、26.3万人という予想(19万人)以上の雇用者増が続き、好調な経済情勢が維持されていることだ。ドルインデックスは、一時は98.33(4/26)と約2年ぶりの高水準となり、円に対してはドル安だが、欧州通貨、オセアニア通貨、新興国通貨に対してはドル高を維持し、総合的にはドル高基調は変わらない。例えば、NZが本日政策委金利を0.25%引き下げ、過去最低の1.5%としたことで、NZドルは今年1/2の特例日を除くと、昨年11月1日以来の安値(0.6526)/米ドル高となった。また対スイスフランでは、3月下旬から上昇を続け、現在は2017年1月以来のドル高水準となっている。

 これらのことから、リスクオフの観点から、信用力が一番高いとみなされる円が買われているが、総合的には、現在最も強い通貨は米ドルである。通貨の強弱は、基本的には、高いところにお金が集まるとの考え方から、信用性(格付け、流動性)、成長性(GDP)、利殖性(実質金利)の高さで決まってくる。そのうえで、主要参加者の手持ちポジションを考慮して、この高さが続くのかを考えている。

 今、ドル相場を決める一番の要因は成長性であり、その要因となるのが、米中通商協議である。関税戦争は、昨年7月から始まっている。第1弾は340億ドル(関税率25%)、第2弾が 昨年8月から160億ドル(同25%)を追加。そして第3弾として昨年9月から 2,000億ドルを追加。ただし第3弾は当初10%でスタート、今年3月から25%に増加する予定であった。そのうえで中国との交渉で、条件次第では25%を回避することも考えられていた。今問題になっているのは、第3弾の対象商品が、家電、家事等日常用品であることから、米国への影響度が大きく、成長率の低下が懸念されることだ。時間を経て世界へ波及していくことなれば、相対的に米国の地位は高止まりすることになるが、その影響は米国から起こると考えれば、25%への増税が決まれば、ドルの低下は避けられないと考えている。明日9日から中国副首相の訪米で解決への一縷の望みがあるが、最低限として適用日の延期ぐらいで、この問題はしばらく続くと予想している。この場合、ドル安円高基調は避けられない。

 今後1週間の予想レンジは、シカゴ投機筋の円売りポジションの大きさを考慮、ポジションの巻き戻し(円買)が出ると読んで、ドル円は109.00~110.50円。またユーロは、対ドルでは1.1100~1.1300、対円では122.50~125.00円、そして英ポンド/ドルは、メイ首相が欧州議会選挙参加を決めたことで、英国内の混乱が加速するとの懸念から1.2750-1.3050とポンド安が継続すると予想している。
(2019/5/8,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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