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第350回 ~パウエル議長の挑戦~

2019年08月21日

 まさに夏枯れである。今週三日間のドル円取引レンジは、わずか0.54円、過去1週間で見てもわずか1.13円(105.65-106.78)。相場に影響を与えるようなニュースが続出しているにも関わらず、値動きの乏しい市場が続いている。ただ、この現象は世界的に夏休み中で市場参加者が少ないという季節的な要因というよりも、リスクに対する反応がまだ出ていないだけと考えたほうが良いだろう。

 それに、今週後半からの世界的な注目イベントの結果待ちという面もある。明日8月22日から24日まで、中央銀行シンポジウム(いわゆるジャクソンホール会議)があり、その後週末24日からフランスでG7サミット(先進7か国首脳会議)が開催される。いずれもトップ(金融トップのパウエルFRB議長、政治トップのトランプ大統領)の発言=特にパウエル議長=がその後の相場動向を左右する可能性があるので、手を休めるわけにはいかない。

 そこで、パウエル議長の金融政策(利下げ)についての発言である。同シンポジウムの過去の例では、会議の趣旨からあまり生々しい話でなく、理論的に論じることが多い。このスタイルを踏襲すれば、具体的な金融政策については何も出ず、期待外れになるかもしれない。しかし、パウエル流を打ち出し、堂々と中央銀行の立場を前面に出して主張する可能性もある。今まで例のないほどの大統領からの圧力があるからだ。

 それはトランプ大統領からの「1%の利下げ要求」である。パウエル議長としては、世界的な景気下向きリスクへの対応として、当然のこととして利下げが視野に入っているであろう。ましては、FRBが重視しているとみられる10年/2年の長短金利差が、一時的とはいえ逆転した直後でもある。「Ahead of the Curve(先手を打つ)」の重要性を何よりも熟知している中央銀行マンとしては、講演で触れないわけにはいかないはずだ。

 そして、中央銀行の独立性を守る(確認)立場から、利下げはその政治的な圧力でなく、中央銀行としての義務としての判断であることを主張することになろう。どちらにしても、利下げは確実な環境であり、パウエル議長としては、金融政策決定に関する新しい考え方を披露し、利下げを理論的に論じていく、で予想している。

 また、先物市場では、9月の0.25%利下げ確率は、ほぼ100%(8/20現在99.6%)であり、利下げを完全に織り込んでいる。むしろ、0.25%か、0.50%か、どちらになるか、そして今後の回数について、どのような発言が出るか注目している状態だ。

 ところで、長短金利の逆転(逆イールド)とリセッションの関係についても議論が高まっている。これは、現在のドル安を説明する大きな理由となっている。過去の例では、確かに、「逆転」という現象に限って言えば、リセッションの前触れになっている。過去3回のリセッション期間は、近い所から言えば、2007/12~2009/6、2001/3~2001/11、そして1990/7~1991/3である。それぞれ、逆転の深さ(金利差)、逆転してからリセッションまでの長さ(期間)、10年債の金利水準、インフレ(物価)動向、株価や住宅価格と適正価値(フェアバリュー)との差など、すべて異なっている。

 個別例は、後日に譲るとして、現在は、過去と比べると、かなり小さく、少なくとも。逆転は今始まったばかりであることがわかる。リセッションになるとしても1年以上先と予想するほうが実感と思え、本格的なドル下落は来年以降の話と考えている。

 さて、1週間の予想レンジは、ドル円は、9月利下げ可能性が高まるとの見方からドル軟調で105.50~107.00円と予想。またユーロは、長期的に低下傾向は維持され1.1000~1.1200、対円では116.50~119.50円と考えている。また英ポンド/ドルは1.1950-1.2150と、1.20割れ挑戦が続くと予想している。
(2019/8/21, 小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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