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第369回 ~中央銀行首脳の発言に注目~

2020年01月22日

先週、昨年5月以来はじめて110円を突破して、とりあえず安心したのか、その後伸び悩んでいる。ただこれは予想の範囲内。先週のコラムで指摘したように、110円台の定着には時間が必要だ。今月いっぱいは、ドル円は110円を挟んだ小動きに終始するだろう。

これからは政治、経済とも重要イベントが続き、今、市場はうかつに手が出せないでいる。政治面では、昨日から、冬の定例行事、ダボス会議が始まった。トランプ大統領が2年ぶりの出席で、話題を振りまいている。また米国国内では、大統領への弾劾裁判が始まった。こちらは結果が見えているが、正式に終わるまで、見守ることになるだろう。

一方金融政策では、昨日の日銀政策決定会合に始まり、明日のECB、来週のFRBと中央銀行の政策決定会合が続く。日銀については現状維持で結果が出たが、他の二行も、コンセンサスでは政策変更は予想されていない。この点では今月の注目度は低い。しかし今回は2020年最初の記者会見となるので、各々の現状認識、リスク項目、そしてこれら課題の解決への方向性など、今後の政策変更を示唆する内容が明らかになるか注目していきたい。

まず日銀。黒田総裁のもと大規模金融緩和を始めて7年、また禁断のマイナス金利を導入してすでに4年経過した。しかし一向にその成果が表れていない。会合後の声明を見ても、さらなる緩和をちらつかせながら、マイナス金利継続への弊害も意識し、次なるステップに踏み切れない悩みを読み取れる。この点で、年間80兆円の国債購入目標を維持するとは言いながら、実際は徐々に減少していることが気になる。

毎年年度末(3月末)の長期国債残高でみると2016年こそ82兆円の純増だったが、それ以降。75兆円、50兆円、33兆円となり、今年度も12月末では、わずか12兆円の純増で、この現象をステルス出口戦略と呼んでいる筋もあるほどだ。一方で、日銀の資産残高は2018年度に入って500兆円を超え、日本のGDPに匹敵するほどの金額になっている。この点で、新たな資産積み増しに困難な状態になっていることも純増額の減少に結びついているとの読める。

次に欧州中央銀行(ECB)については、ラガルド総裁になって初めての昨年12月会合後の記者会見で、2020年は金融政策について戦略的レビューを行うと明言しているので、大幅な政策変更はレビューが終わってからになると考えられる。今月はレビューに関する新たな材料が出るか、注目したい。

また、FRBでは、昨年3回の利下げを終えて、今年は現状維持を継続するとフォワードガイダンスを出しているので、市場は、パウエル議長がこのガイダンスを変更する理由として何を考えているか、また何が指標かを、声明文や記者会見で触れるかを探ることになるだろう。 いずれにしても記者会見の発言に注目していきたい。

ところで、円ドルは小動きだが、ドル自体、強い基調はしっかりしていることは頭に入れておかなければならない。特に筆者が注目しているのはユーロ、豪ドル、スイスである。ユーロは1.11割れ、豪ドルは1か月ぶりの0.68前半までと、低下基調への動意がみられる。またスイスに至っては、対円で114.39円の2018年12月13日以来のスイス高を付けた後の急落となり、調達通貨が円からスイスへのシフトを思わせる動きとなっていることが注目だ。

このドルの勢いが、円へ波及することを否定できない。その時こそ111円に近付くときであり、そのタイミングとしてこれら諸行事が終わり、米国景気の好調さが確認される2月に入ってから、と考えている。

今後1週間は、ドル円は、109.50~110.50円、ユーロは、対ドルで1.0950~1.1100、対円では120.50~122.50円、また英ポンド/ドルは、EU離脱後の交渉が本格的に始まることを受けて、1.2800-1.3100とポンド軟調を予想している。

(20/1/22, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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